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2008年6月9日号
戻り高値更新も実感は伴わず
方向感の掴みにくい展開ですが東京市場はしっかりした動きになっています。一時は調整局面入りかと思われたのですが、先々週からの地合いを引き継ぎ、日経平均は先週末に前日比148円高の14489円となり4日ぶりに戻り高値を更新しました。週間の上昇幅は151円(1.05%)。3/17の年初来安値からの戻り率は22.9%にもなっています。1/4の大発会の終値(14691円)が今年の最高値ですが、それにあと202円と迫る水準。TOPIXは既に年初来高値を更新していることから、いつ新値更新してもおかしくない状況になっています。
しかし売買代金は活況の目安とされる3兆円を大きく下回ったままで、相場がそこまで回復しているという実感はあまりありません。先物主導の相場展開になっているからです。
裁定取引に伴う現物株の買い残は3/7の1兆6306億円から5/16には3兆1383億円へ1兆5077億円増加、ここへ来ては債券売り・株式買いの動きが活発化、これが新たな裁定買いを呼び込む構図となっています。こうした中、主力株中心に外国人のバスケット買いが続き、これが株価指数を押し上げる格好になっているわけです。個人投資家のあずかり知らぬところで空中戦が行われているというのがいまの相場の実態でしょう。
ここは調整が欲しいところ
いま米株式市場ではサブプライム問題よりも原油や食料品の高騰などに伴うインフレ懸念に敏感に反応するようになっています。しかしGS証券など米大手証券4社が保有している時価評価が困難な高リスク資産は2月末で2994億ドル(約31兆円)に達しています。買い手が付かない住宅ローン担保証券など「レベル3」と呼ばれる資産のことで、市場取引で値が付いた時点で巨額の追加損失の計上を迫られる可能性は残ったまま。サブプライム問題については最悪期を脱したとの見方が大勢になっていますが、「火種」を抱えながらの最悪期脱出と考えなければなりません。
6日の米株式市場でNYダウが394ドル(3.1%)安、ハイテク株の比率が高いナスダック指数が75ポイント(3.0%)安とそれぞれ急落しました。NYダウの下落幅は昨年2月の世界同時株安(416ドル安)以来の大きさで、ナスダック指数も今年1月以来の大きさ。同日発表された5月の雇用統計で失業率が5.5%と前月比0.5%急上昇したことや原油先物相場が1バレル139ドル台に急伸、過去最高値を大きく更新したことが嫌気されました。
景気低迷が長引くとの懸念や原油高が消費や企業業績に悪影響を及ぼし、景気低迷とインフレが同時進行するスタグフレーションへの懸念が強くなったことが重しとなっています。いまの米市場は景気後退懸念とインフレ懸念、そして金融不安がないまぜになっているような状態であり、とても株価が上昇していくような環境ではありません。東京市場も基本的には米市場と同じと考えていいでしょう。上場企業の今期業績は7年ぶりに減益となる見通しです。利益が減少する中で株価が上がるにはPERが上昇しなければなりませんが、東京市場のPERは既に17倍台と世界でも割高な水準まで買われています。一段高は期待しにくいと見るのが普通でしょう。
安値から22%も上昇しているため東京市場はいつ調整してもおかしくはありませんが、不思議なことに調整らしい調整がありません。下げそうで下げない、かといって強いかと尋ねられれば首を傾げたくなるような相場になっていますが、こういう相場は調整がなかったことに起因しているのかもしれません。
株価回復に伴い個人投資家は回転が利き始め、リスクを取ろうという姿勢に変わりつつあるため、ここは米国株の急落を契機に調整して欲しいところです。2番底を付けたと市場が確認したら先行きに対する見方も変わって来ます。従ってここからは調整局面入りが予想される主力株は避け、戻りの鈍かった銘柄や出遅れ感のある東証1、2部の中小型株、新興銘柄などが狙い目ではないかと考えます。
2008年6月2日号
実感なき相場回復が続く
方向感の掴みにくい展開です。調整局面入りかと思われたのですが、日経平均は先週29日、30日と大きく戻し、戻り高値を更新してきました。日経平均の先週末の終値は14338円で、週間の上昇幅は326円(2.3%)に達しています。1/4の大発会の終値(14691円)が今年の最高値ですが、それにあと353円と迫っています。1日当たりの売買代金が活況の目安とされる3兆円を大きく下回っているため、相場がそこまで回復しているという実感はありませんが、日経平均は3/17の年初来安値からは2557円、21.7%も上昇しています。
実感なき回復が続いているのは先物主導の相場展開になっているのが原因。裁定取引に伴う現物株の買い残は3/7の1兆6306億円から5/16には3兆1383億円と1兆5077億円増加していますが、ここへ来て債券売り・株式買いの動きが活発化、これが新たな裁定買いを呼び込む構図になっています。
米金融不安が最悪期を脱したとの見方が広がる一方、原油高などで世界的なインフレ懸念が台頭していることから債券市場では長期金利が上昇。それまで債券先物買い・株価指数先物売りのポジションを取ってきたヘッジファンドなどがあわててポジション解消や債券先物売り・株価指数先物買いに走り、裁定買いを呼び込んで株価指数を押し上げる格好になっているわけです。個人投資家を置いてけぼりにして空中戦が行われていると言ってもいいかもしれません。
個人投資家は身動きができる状況まで回復
いまマーケットはサブプライム問題よりも原油価格高騰などに伴うインフレ懸念により敏感に反応するようになっています。しかし、ゴールドマン・サックス証券など米大手証券4社が保有している時価評価が困難な高リスク資産は2月末で2994億ドル(約31兆円)に達しています。買い手が付かない住宅ローン担保証券など「レベル3」と呼ばれる資産のことで、市場取引で値が付いた時点で巨額の追加損失の計上を迫られる可能性は残ったまま。同問題の解決に見通しが立っているわけではないので、「爆弾」を抱えながらの最悪期通過と考えなければなりません。
止まるところを知らない原油価格の上昇について米商品先物取引委員会(CFTC)が原油取引の監視強化策を発表、同時に一部トレーダーの相場操縦についても調査していると公表しました。原油価格、言い換えればWTIがどう動いていくか、先行きは非常に読みにくくなってきたように思います。米市場は金融不安とインフレ懸念、そして景気後退懸念がないまぜになっているような状況で、株価が上昇していくような環境にはありません。
東京市場も基本的には米市場と同じでしょう。上場企業の今年度業績は7期ぶりに減益となる見通しです。利益が減少する中で株価が上がるにはPERが上昇しなければなりませんが、東京市場のPERは既に17倍台と世界でも割高な水準になっています。一段高は期待しにくいと見るのが普通でしょう。
安値から21%も上昇しているため東京市場はいつ調整局面入りしてもおかしくはありませんが、不思議なことに調整らしい調整がありません。先々週から先週半ばまでが調整場面だったと考えても、ボリューム面の乏しさから上を追っていけるだけの力を持っているとも思えません。
下げそうで下げず、上げそうで上げずといった感じの相場展開になっていますが、3/14に▲22.64%に達していた信用取引の評価損益率が5/23には▲10.15%に改善するなど個人投資家は身動きが取りやすくなっているため、物色の流れには変化が出て来る可能性があります。主力株は戻りいっぱいとなりつつありますので、戻りの鈍かった銘柄や出遅れ感のある東証1、2部の中小型株、新興銘柄などが狙い目ではないかと考えます。
2008年5月26日号
これまでは実感なき相場回復
東京市場は頭が重くなってきたようです。先々週までは順調な戻りを見せていたのですが、上げそうで上げず、下げそうで下げず、こういった感じの動きになっています。チャートからは戻りいっぱいの形になりつつありますが、かといって調整局面入りしたともいいにくい動きです。
日経平均は3/17に付けた安値(11787円)から5/15の高値まで2ヶ月足らずで2464円、20.9%も上昇しています。2割超の上昇率と要した時間から考えると数年に1回あるかないかの凄い戻り相場だったと言っても過言ではありません。
株価回復の背景になっているのは金融不安の後退ですが、サブプライム問題に解決のメドが立っているわけではありません。米大手証券4社が保有している時価評価が困難な高リスク資産は2月末で2994億ドル(約31兆円)に達していることも明らかになっています。買い手が付かない住宅ローン担保証券など「レベル3」と呼ばれる資産のことで、市場取引で値が付いた時点で巨額の追加損失の計上を迫られる可能性は残ったままです。
今回の急速な戻りを要因分析しますと以下のようになります。上昇要因は①裁定買い残が1兆6306億円(3/7)→3兆1383億円(5/16)に1兆5077億円増えたこと、②外国人が4月第1週から日本株買いに転じ、5月第3週(16日)までで累計1兆6935億円買い越したことなどです。この間、信用買い残は6428億円減少しており、個人投資家の投資マインドが回復しないなか、先物や外国人主導で大きく戻してきたことが窺い知れます。それゆえ個人投資家にとっては相場が回復したという実感はないはずです。
狙い目は出遅れ感のある銘柄
上場企業の今期業績は7期ぶりに減益に転じる見通しで、経常利益は現時点で5~6%減少すると見られています。株価は1株利益×PERによって算出されますが、現在のように1株利益が減少する状況下ではPERのかさ上げがなければ株価は上昇しません。東証1部のPERは既に16.9倍まで上昇していますが、ここからさらに上昇していくとなると17倍、18倍と跳ね上がっていかざるを得ません。現在でもNYダウの14倍や英FTの11倍、独DAXの11倍に比べ割高感が目立っているだけに、ここからの一段高はあり得ないと考えるのが普通でしょう。裁定買い残が積み上がっていることも考えなければなりません。
また、ここへ来てサブプライム問題よりも原油高騰などに伴うインフレ懸念が株価の足かせになっていることにも注意を払う必要があります。先の米FOMC議事録では、4月の利下げが一連の連続利下げの終わりになる可能性を示唆しています。インフレを放置できず、今後は金利据え置きから利上げへの政策転換を図るとみられますが、1970年代の石油危機とは異なる新興国の経済成長に伴うエネルギー需要の高まりを背景にしたインフレ懸念だけに、政策対応は極めて難しくなっています。
1バレル130ドル台に上昇しても原油価格の先高懸念は根強く、米市場では原油高の影響が個人消費や企業業績に及ぶとの「原油高の恐怖」が市場を覆い始めています。こうした状況下では懸念材料を跳ね返せるだけの確たる事実がなければ株価は上昇しません。
米国株の大幅上昇なしに日本株が上がる構造にはなっていないので、東京市場もここから大きく上昇する可能性は乏しいと見た方がいいでしょう。騰落レシオが6日連続で「買われすぎ」とされる120%を上回っていることから考えても、調整局面入りは近いと思われます(既に入っているのかもしれませんが)。3月中旬以降の相場の戻りを牽引したのは東証1部の主力株でした。調整局面入りが近づいているとみられるので、ここからは戻りの鈍かった銘柄に目を向けるべきでしょう。出遅れ感のある1、2部の中小型株や新興銘柄などが狙い目と考えます。
2008年5月19日号
金融不安が後退
東京市場は順調な戻りを見せています。3月までとは市場の雰囲気が完全に変わったといっていいでしょう。ています。下がると思っていた株価が逆にどんどん上昇するのを目の当たりにして、相場に対する見方を修正せざるを得なくなったというのが本当のところなのかもしれません。「相場は悲観の中で生まれ、懐疑の中で育つ」という相場格言を地で行った格好です。
日経平均の先週の上昇幅は476円(3.5%)。3/17に付けた安値(11787円)から5/15の高値までの上昇幅は2464円、20.9%にも達しています。2割を超える上昇率と要した時間から数年に1回あるかないかの戻りと言っていいでしょう。
株価回復の背景になっていのは金融不安の後退。3月半ばの米ベア・スターンズの救済劇を境にサブプラム問題が最悪期を脱したの見方が広がり、行き過ぎた悲観が修正されたのが原因です。
とはいえ同問題に解決の見通しが立ったわけではありません。ゴールドマン・サックス証券など米大手証券4社が保有している時価開示が困難な高リスク資産が2月末で2994億ドル(約31兆円)に達していることも明らかになりました。市場で買い手が付かない住宅ローン担保証券など「レベル3」と呼ばれる資産のことで、市場取引で値が付いた段階で巨額の追加損失の計上を迫られる可能性も残ったままです。ただこの件に関しては、証券会社のリスク資産の絶対額が明らかになったという点を前向きに評価すべきではないかと考えます。
出遅れ感のある銘柄が狙い目
サブプライム問題が最悪期を脱したとはいえ、米国市場を取り巻く環境が好転しているわけではありません。住宅市場は低迷したままで、景気後退懸念は根強く残ったままです。原油価格や穀物価格の高騰などからインフレ圧力が急速に高まるなどスタグフレーションの様相を見せ始めています。景気減速に対応した金融緩和や資金供給が投機マネーを刺激して資源価格の高騰を招く形となっているだけに、政策対応は難しくなっています。
現状ではこれ以上の利下げは困難とみなければなりませんが、景気後退局面で利下げ期待がなくなれば株価は上昇しません。いまの経済状況を考えれば好業績を支えに米国株が上値追いの動きを強めていくとのシナリオは描けません。
米国株の大幅上昇なしに日本株が上がる構造にはなっていないので、東京市場もここから大きく上昇する可能性は乏しいと見た方がいいでしょう。日経平均は底値から2割強上昇してはいますが、テクニカル的にはいつ調整局面に入ってもおかしくないところまで来ています。ただ外国人の日本株買いが復活しつつありますので、調整があったとしても下げ幅は大きなものにはならないと思われます。
3月中旬以降の株価の戻りを牽引したのは東証1部の主力株でした。調整局面入りが近づいているとみられるので、ここからは戻りの鈍かった銘柄に目を向けた方がいいと思います。出遅れ感のある1、2部の中小型株や新興銘柄などが狙い目となります。ただ相場に力強さが出ているわけではないので深追いは慎んだ方が賢明でしょう。
2008年5月12日号
金融不安が後退
GW期間中の米国株相場が堅調だったこともあり、東京市場には安心感みたいなものが感じられるようになって来ました。3月中旬までとは市場の雰囲気が完全に変わったといっていいでしょう。下がると思っていた株価が逆にどんどん上昇するのを目の当たりにして、相場に対する見方を修正せざるを得なくなった方も多かったのではないかと思います。
まさに「相場は悲観の中で生まれ、懐疑の中で育つ」という相場格言を地で行った格好です。日経平均は3/17の安値から5/7の高値まで2ヶ月足らずで2315円、19.6%も上昇しています。上昇率と要した期間を考えたら数年に1回あるかないかの戻りだといえます。
株価回復の背景になっているのが金融不安の後退。3月半ばの米ベア・スターンズの救済劇を境にサブプラム問題が最悪期を脱したの見方が広がり、行き過ぎた悲観論が修正されたのが原因です。英中央銀行のイングランド銀行が「サブプライム問題による世界の金融機関の損失を市場は過大に見積もっている」と指摘し、証券化商品などの価格が貸し倒れリスクから乖離した非現実的な水準まで下落していると発表したことも不安心理を後退させる要因となっています。
調整一巡感のある新興市場が狙い目
米国発の金融危機を震源にした世界的な株価動揺局面からひとまず抜け出したとはいえ、米国市場を取り巻く環境が好転しているわけではありません。米国景気が後退しつつあるだけでなく、原油価格の高騰や穀物価格の急騰などからインフレ圧力が急速に高まるなどスタグフレーションの様相を見せ始めてきたからです。スタグフレーションは景気後退と物価上昇が同時に起こる現象。景気減速に対応した金融緩和や資金供給が投機マネーを刺激して資源価格高となる悪循環を招いているだけに、政策対応は難しくなっています。
はっきり言えばこれ以上の利下げは無理ということでしょう。景気後退局面で金利引き下げ期待がなくなれば株価は上昇しません。当面の米国市場はサブプライム問題で売られすぎた分の修正以外は通常の「業績と株価」の関係で動くと見なければなりません。こうした状況下では好業績を支えに株価が上値追いの動きを強めていくという見方は成り立ちません。
米国株の大幅上昇なしに日本株が上がる構造にはなっていないので、東京市場もここから大きく戻す可能性は乏しいと見た方がいいでしょう。日経平均は底値から2割近く上昇してはいますが、チャートは戻りいっぱいの形になっており、調整局面入りした可能性を示唆しています。今週早い段階で戻さなければその可能性は大と言っていいでしょう。
3月中旬以降の日本株の戻りを牽引したのは東証1部の大型株でしたので、ここからの狙い目は戻りの鈍かった新興株とみます。新興株は東証1部銘柄より1年半も早く下落に転じたことで調整一巡感もあります。ただ相場に力強さが出ているわけではないので深追いは禁物でしょう。
2008年4月28日号
潮目が変わった可能性も
先週号でもコメントしましたが、まさにあれよあれよという展開です。日経平均は週末にかけて急伸、戻り高値を更新してきました。週初に続く先週2回目の戻り高値更新です。週間の上昇幅は387円、2.9%に達しています。商いは細く、売買代金は活況の目安とされる3兆円を大きく下回ったままですが、市場の雰囲気は3月ごろとは比べものにならないくらい好転しています。
雰囲気が好転してきたのはサブプライム問題を発端とした世界的な金融不安に一服感が出てきたことが背景。悪材料が出ても株価は下げず、逆に悪材料出尽くし感から買われる動きに変わったことで、相場の潮目が変わったのではとの見方が広がったからです。
世界の金融・株式マーケットではサブプライム問題はすでに峠を越えたとの見方が前から出ていましたが、株価がそれを反映した動きになっていなかったため、悲観的な見方が市場を覆っていただけだったのかもしれません。冷静にみれば欧米金融機関のサブプライム関連の損失処理はかなり進展しており、毀損した資本の増強も進んでいます。サブプライム問題ではこれまで出てきた悪材料を上回る悪材料が出てくる可能性は乏しいため、同問題は株価に織り込み済みと考えていいのではないかと思います。2003年春ごろの日本もちょうどそういう感じでした。
力強さには欠ける展開か
信用不安の後退でリスクの高い株が売られ、債券が買われるこれまでの流れが逆回転し、世界的に株式を買い戻す動きが活発になってはいますが、株式市場を取り巻く環境が好転しているわけではありません。世界経済のエンジン役である米国の景気は後退しつつあり、欧州も景気減速感を強めています。こうした中、国際商品相場の高騰で世界的にインフレ懸念が高まっており、米国も今月末のFOMCでの利下げを最後に利下げ打ち止めになるとの見方が広がっています。
景気後退局面で金利引き下げ期待がなくなれば株価上昇は困難ですが、先週末のNYダウは12891ドルと1月3日以来の高値となり、あと153ドルで年初来高値を更新するところまで戻しています。金融機関の1-3月期決算発表が一段落し、金融不安が後退したためですが、金融以外のセクターは決算発表を受けて売られたり買われたりと様々です。要するにいまの米国市場はサブプライム問題で売られすぎた分の修正以外は、通常の「景気と株価」の関係で動いていると捉えなければなりません。ダブルボトム型のいいチャートになってはいますが、米国株のここからの大幅高は期待しにくいのではないでしょうか。
米国株の大幅上昇なしに日本株が上がる構造にはなっていないので、東京市場も同じような動きになる公算が大。ただ米国市場以上に悲観的な見方が充満していましたので、売り方の買い戻しは今後も続くと思われます。騰落レシオが130.2%に上昇したことから相場の過熱感も指摘されていますが、過熱ゾーンを超えたからすぐ調整するというわけではないので、当面は戻りを試す展開が続く公算大とみます。相場の雰囲気がよくなっているとはいえ、力強さがあるわけではないので、深追いは禁物でしょう。なお、次号は5月12号からとなります。
2008年4月21日号
日経平均は戻りを試す展開か
あれよあれよという間に東京市場は戻して来ました。先週は週初に日経平均が406円と急落する場面がありましたが、その後は4日続伸となり、終値は13476円。週間の騰落幅は153円(1.0%)ですが、14日の安値からは559円、4.3%も上昇しています。ただ商いは細く、売買代金が2兆円を下回る日も多くなっています。
17、18日の上昇で日経平均は2番底を形成しました。3/17の11787円が1番底、4/14の12917円が2番底です。4/7に付けた戻り高値13450円を上回って来たことで、チャートからは戻りを試す展開になったといえそうです。
米国市場も堅調。ここへ来て上値追いの動きを強めています。サブプライム問題で昨年から何度も売り叩かれてきましたので、悪材料出尽くしとなったからでしょう。8日にIMFがサブプライム問題による世界の金融機関の損失が9450億ドル(約97兆円)程度に達するとの報告を発表しましたが、市場は反応しませんでした。各金融機関の早め早めの損失処理と資本増強策により、同問題は峠を越えたとの見方が広がってきたためです。
こうした中、NYダウが年初来高値を更新して来たほか、ハイテク株の比率が高いナスダック指数も戻り高値を更新するなど強い動きをみせています。株式市場がサブプライム問題に絡む金融機関の損失などではなく、それ以外のニュースに反応するように変わってきたからでしょう。見方を変えればいまの米国株は通常の「景気と株価」の関係で動くようになっています。ここを押えなければいまの相場はなかなか理解できないと思います。
深追いは禁物
日経平均は先週末にかけての上昇で戻りのフシ目となる75日線を突破して来ました。25日線に続くフシ突破であり、チャートからは上昇余地が広がる形となっています。週足チャートも底入れの形になっており、ここからは弱気になる必要はないと考えます。
といっても強気一貫ではダメでしょう。そのぐらいいまの相場には力がありません。株式投資ではトレンドを取らなければ大きくは儲かりませんが、トレンドが取れるほどここから上がるとは思えないからです。東京市場は3/17の11787円で大底は打ったとみられますが、その後の戻りは芳しくありません。バブル崩壊後の安値から昨年7月高値までの上昇幅の7割近くを今回の下げで失ったのに、反発らしい反発がない状態が続いています。
米国株の大幅上昇なしに日本株が上がる構造にはなっていないので、東京市場は底は入れたものの、反発力の乏しい動きが今後も続くのではないでしょうか。米国株については上値追いの動きになってはいますが、基本的には景気は後退局面入りしていますので、楽観は出来ません。当面は売り込まれた銘柄や割安感のある銘柄を狙い、上がったら売る、深追いはしない、こういう投資スタンスがいいのではないかと思います。
2008年4月14日号
底割れの可能性は乏しい
落ち着きを取り戻してきた東京市場ですが、方向感はまだ定まってはいないようです。先週は調整場面入りかと思われたのですが、11日に日経平均が大きく上昇、思いのほか強いという印象も受けました。同日はオプション4月物のSQ算出日ということで売買が膨らみましたが、それでも売買代金は約2兆5400億円と活況の目安とされる3兆円台には届いていません。ただ売買高については先週号でも指摘したように、そう気にする必要はありません。相場が暖まってくれば次第に回復してくるはずです。
日経平均の先週の変動幅はわずか30円。3/17の安値11787円から13450円まで1663円(14.1%)上昇したあとの調整場面で週末、大きく上昇したためですが、意外にしっかりしていた動きを受け、ここからの見通しについては考え方が分かれてきそうです。そのひとつは①しっかりはしているが明確な方向性はないという考え方、②相場の基調は弱く株価は再び下向きで安値更新も充分あるとする考え方、そして③いまの相場環境を考えるとどこまで下がるか分からず、さらに下値を切り下げるという考え方、大方、この3つではないかと考えられます。
未来のことを検証することは出来ませんが、当社は①の考え方を取っています。前号でも触れましたが、簡単に言えば以下のように考えているからです。バブル崩壊後の長期下落相場が終わった03年4月を底に始まった今回の大上昇相場で日経平均は1万円強上昇したのに今回の下落でその約7割を失った。その結果として「往って来い」に近い状態になってしまった-これが基本認識です。03年は日本の金融システムや経済が崩壊するとまでいわれていた時です。いまの日本の金融システムや経済は当時とは比較にならないくらい強化されているため、③の考え方を取るのは悲観派ぐらいでしょう。
底は入れたがという動きか
「相場は悲観の中で生まれ懐疑の中で育つ」 という相場格言を思い起こすときでしょう。サブプライ問題に直撃されている米株相場が方向性のない動きを続けているため、弱気というよりは悲観的な見方が勢いを得て来ているだけではないでしょうか。米国株は先週末256ドル(2.0%)安と急落しました。ハイテク株の比率の高いナスダック指数も61ポイント(2.6%)安。月曜日の相場に影響しそうですが、それほど心配する必要はないと思います。
米国株急落はダウ採用銘柄のGEの決算及び業績見通しが予想を下回ったこと、消費者態度指数(ミシガン大学調べ)が予想を下回ったことなどが原因です。米国株はサブプライム問題で昨年から何度も何度も売り叩かれてきました。3月の急落から数えれば4回、7月の急落から数えても3回になります。この間、最低9ヶ月以上経過しているわけで、想定される悪材料はほとんど織り込んでいるはずです。あとは個別企業の問題であり、全体相場については通常の 「景気と株価の関係」 と捉えるべきでしょう。8日に IMFがサブプライム関連の世界の金融機関の損失が約9450億ドルに達する可能性があると発表しましたが、市場は反応しませんでした。
4月第1週に外国人は7週ぶりに日本株を4000億円近く買い越しましたが、これで買い越しに転じたとはいえません。第1週は日経平均が大きく上昇した週でもあり、ヘッジファンドなどの買い戻しが活発に入ったと考えるべきでしょう。
国内機関投資家が自信を喪失しているため、日本市場は外国人が買ってこなければ上がらない構造になっています。外国人が買ってくるには米国株が大きく上昇して投資家のリスク許容度が増すことが必要になりますが、いまの経済及び相場環境ではそれは無理でしょう。それゆえ東京市場も底は入れたものの上値も限定的という方向感の定まらない相場が続くのではないでしょうか。
2008年4月7日号
東京市場は目先の底を入れる
東京市場は落ち着きを取り戻してきたようです。海外市場に左右される状況から抜け出したわけではありませんが、市場には安心感のようなものも感じられます。先週は日経平均が473円(3.7%)上昇。3月中旬から続いているリバウンド相場が継続しました。買い戻しといってもいいかもしれません。米金融システム不安を背景にファンドなど投機筋が売りを膨らませていた日経平均先物を買い戻す動きが活発化、これが全体相場を引っ張る形になっています。
先週末の日経平均株価は13293円。週末にかけ伸び悩む動きだったことからまたぞろ弱気な見方が勢いを得てきそうですが、基本的には相場は底を入れたと考えています。日経平均が3/17の安値から4/3の高値まで短期間で1602円(13.6%)上昇したため目先は調整局面入りする公算大とみますが、これを悲観する必要はないと思います。株価は縮まなければ上がらないのですから。
バブル崩壊後の安値7607円(03年4月)から昨年7月の高値18261円まで日経平均は10654円上昇しましたが、今回の下落相場で6474円失っています。上昇幅の6割超です。03年は日本の経済や金融システムが崩壊するとまで言われていた時です。日経平均が11000円台を割って更に下に行くとは到底思えません。日本経済及び企業の収益体質は当時とは比較にならないくらい強化されています。
薄商いに象徴されるエネルギー不足を懸念する声もありますが、見当違いでしょう。03年4月の大底を付けたときの売買高は7億5900万株。その後の急騰場面でも低水準の出来高が続き、14億株台に乗せたのは6月に入ってからです。現在は活況の目安とされる20億株を下回ってはいますが、18億株前後はキープしています。底値圏から這い上がる局面での薄商いは相場に付きもの。相場が「悲観の中で生まれ、懐疑の中で育つ」という相場格言からもなんら気にする必要はないと考えます。
消化不良的な動きも
先週末の米雇用統計で非農業部門の雇用者数が3ヶ月連続のマイナスとなり、米国の景気後退が現実味を増してきました。かなりの確率で後退期に入ったともいわれています。米FRBはすでに3%もFF金利を引き下げており下げののりしろは限られていますが、今月末のFOMCで0.25%は下げざるを得ないともいわれています。
こうした厳しい経済環境下でも米国株は下げません。サブプライも問題でこれまで何度も何度も叩かれてきたので、想定される悪材料をほとんど織り込んでいるからでしょう。リーマン・ブラザーズ証券やUBSの資本増強策が発表されたため米欧金融機関の財務体質や資金繰りへの懸念が後退、あく抜け感も広がっています。個別では損失拡大とか資本増強とかの発表はあるかもしれませんが、サブプライム問題で米国株が急落するような局面は遠のいたと思われます。あとは景気と株価の関係に収束してくると捉えた方がいいかもしれません。
外国人買いに依存する日本市場は米国株の大幅上昇なくして上がる構造にはなっていません。それ故、底は打ったものの上値も限定的という消化不良気味の相場が続くのではないでしょうか。こうした中で狙うとすれば米国景気の影響を受けにくい銘柄とか外国人持ち株比率の低い銘柄、売り込まれた銘柄などでしょう。新興市場の主力銘柄や東証1、2部の小型株などが有望ではないかとみられます。
2008年3月31日号
東京市場は目先の底を入れる
東京市場は再び落ち着きを取り戻してきたようです。海外市場に振り回される不安定な状況から開放されたわけではありませんが、米国株が乱高下しなくなったことで売られすぎた足元を見直す余裕が出てきた感じです。先週は日経平均が338円(2.7%)上昇。先々週からのリバウンドの動きが継続しました。しかし商いは盛り上がらず東証1部の売買高は6営業日連続で活況の目安とされる20億株を割り込み、売買代金も2兆円を下回る日が目立っています。
しかし市場には安心感が徐々に広がっています。3/17に付けた11787円で目先の底を打ったのではとの見方が広がってきたためです。3月24日号で「今回の大上昇相場が始まった03年4月から昨年7月高値までの上昇幅の3分の1押し水準が11155円。上昇幅の黄金分割比率の0.618まで下げると11677円。ほとんどぴったりかそれに近い水準ま下げています」と底入れした可能性を指摘しましたが、まったく同じことをラジオ日経の解説者やテレビ東京出演者も話しており、これがアナウンスメント効果となって市場に広がったからかもしれません。
先週末の米投資週刊誌「バロンズ」が世界の株式市場で底打ち観測が浮上していると報じたほか、ゴールドマン・サックス証券が日本株の下値リスクは後退したと発表したことも投資心理に好影響を与えています。足元の米株式相場は4日続落となっていますが、最悪ともいえる投資環境の中で下値を切り下げることなく、逆に買い場を探る動きになっていることにも目を向ける必要があります。サブプライム問題で4度も売り叩かれてきましたので、想定される悪材料はほとんど織り込んでいるからでしょう。
しかし日経平均がここから大きく上昇していく状況でもありません。日証金は東京市場の逆日歩銘柄数(東証とJQ市場の合計)は25日申し込み時点で485と過去最高になったと発表しました。それだけ市場では相場の先安感が根強いことを示していますが、いまの市場には大量の売り物をこなして上昇していく力はありません。外国人投資家の日本株売りが止まり、そして買い越しに転じない限り不可能でしょう。
狙い目は新興市場の主力株
日本株から外国人の資金引き上げの動きは一段落した感もありますが、売りが止まったわけではありません。米国市場が落ち着きを取り戻し大きく反騰するような動きにならない限り、買い越しには転じないと見るべきでしょう。従って東京市場については下値リスクは後退したものの、上値も限定的と見なければなりません。
こうした相場環境では東証1部の主力株は避けなければなりません。米国景気や為替などの影響を受ける銘柄が多いだけでなく、外国人投資家の持株比率が高く、いつ外国人売りで急落するか分からないからです。狙うとしたら外部環境の影響を受けにくい新興銘柄や東証1、2部の小型株などでしょう。
日経平均が昨年来安値を更新した3/17以降、ジャスダック市場では時価総額の大きい主力110銘柄で構成するJストック指数が大きく上昇しています。2月末を100とすると28日が102.8。全銘柄の値動きを示す日経ジャスダック平均(93.7)や日経平均(94.2)と比べても堅調さが際立っています。株価が先行して大きく調整していたこともありますが、決め手になったのは流動性。流動性の低い銘柄は機関投資家も手掛けづらく、買われるのは時価総額の大きい主力株だけだと考えなければなりません。
2008年3月24日号
悲観一色の状況からは抜け出す
波乱の動きが続いていましたが、東京市場は少し落ち着きを取り戻してきたように思います。先週は先々週末の不安定な流れを引き継ぎ、週初から日経平均が454円安と急落して始まりましたが、その後は順調に戻し、終わってみれば約1ヶ月ぶりとなる3日続伸となりました。週間の日経平均の上昇幅は241円で上昇率は2.0%。ただ商いは盛り上がらず、東証1部の売買代金は大発会の半日立会いを除くと今年の最低を更新する状況になっています。
「閑散に売りなし」という相場格言通りの動きですが、先々週のような悲観一色というか、売り優位の展開からは抜け出したようです。米証券大手ベア・スターンズの実質破綻とその救済報道に代表されるサブプライム問題の深刻化、1ドル=95円台への円高進行、国際商品の高騰、米国株安、日銀総裁人事の混迷など様々な悪材料が重なり、マーケットはそれに振り回されっ放しでした。今月に入っての株価急落はその悪材料を織り込んだ結果といえなくもありません。
投資主体別売買動向によると外国人は3月第2週(10-14日)に9226億円、日本株を売り越しています。これはブラックマンデー時の1987年10月第3週(1兆1220億円)に次ぐ過去2番目の規模。第1週も2949億円売り越していましたから、3月に入っての株価急落は外国人の大量の日本株売りが原因だったことがはっきりしました。サブプライム問題もあって世界的に株式市場を取り巻く環境が厳しくなり、日本株売りを加速したのでしょう。ただそうした外国人売りも米国市場が下値を切り下げることなく底堅い動きを見せていることで、今後は沈静化してくると思われます。
米国株は下降トレンド入りした可能性が大きいと思われますが、今年に入って下げ渋る動きに変わっています。サブプライム問題でこれまで4度も売り叩かれてきただけに、想定される悪材料は織り込んだからでしょう。先週あたりは第2のベア・スターンズ探しもあったようですが、基本的には個別金融機関の問題です。米市場でいま最大の問題となっているのはモノラインと呼ばれる「リスクの最後の引き受け手」の救済をどう図るかに移っていますが、これはサブプライム問題がローンの借り手から貸し手へ、そしてその買い手(投資家)、その保証先へとリスクが移転してきたことを示しています。公的資金の投入なしには解決しない類の問題かもしれませんが、これはサブプライム問題が最終局面に差しかかってきたからにほかなりません。米国株は景気と株価の関係に収束しつつあると考えていいのではないでしょうか。
目先の底を入れた可能性も
外部環境は最悪ともいえる状況ですが、3月17日号でも指摘したとおり東京市場はここから一段安する可能性は乏しいと考えます。昨年7月高値からの下落率が35.4%と世界の主要市場の中でも際立って大きく、しかも反発らしい反発もなく一本調子で下げるとはとても思えないからです。今回の大上昇相場が始まった03年4月から昨年7月高値までの上昇幅(10654円)の3分の1押し水準が11155円前後。3/17にはそれに近い11787円まで日経平均はすでに下げています。上げ幅の黄金分割比率である0.618倍まで下げるとして計算した値が11677円前後。ほとんどぴったりのところまで下げています。
このことからも東京市場は目先の底を付けた可能性があります。外部環境が悪すぎるためそのような感覚は持ちにくいのが現状ですが、振り返ってみればこれまでが異常でした。2/27に136.0%まで上昇した騰落レシオが3/17に77.8%まで低下してきたことなどからみて
もその可能性は充分あります。
ただ米国では景気後退が現実味を増しており、基本的には株価の本格反騰が期待できる状況ではありません。米国株の反転なしに日本株の本格上昇も考えにくいいので、東京市場は目先の底は付けたものの、伸びきれない相場が続くことになるのではないでしょうか。こうした中で狙うとすれば、米国景気の影響を受けにくい銘柄や円高の影響を受けにくい銘柄、そして売り込まれた銘柄などでしょう。
2008年3月17日号
再び不安定な動きに
東京市場は再び不安定な動きになって来ました。日経平均は週初(10日)に1/22に付けた昨年来安値12572円を割り込んだだけでなく、13日、14日とさらに下値を切り下げる展開となってしまいました。日経平均の週間の下落幅は541円(4.2%)。13日に427円安と急落したあと反発することなく再び191円も下げたことで、市場は売り優位の展開に変わってきたようです。
先週末の急落は円高進行やトヨタ自動車の米国工場の減産報道を受けたもの。円相場が一時、1ドル=99円台に突入したことで企業業績の先行き懸念が高まっただけでなく、競争力の高いトヨタまでが減産をしなければならないほど米国の消費需要が悪化していると捉えられたのが原因です。勿論、その背景にはサブプライム問題を発端とした米国の金融不安、景気後退懸念があるのは言うまでもありません。
雇用統計や景況感指数など様々な経済指標からみて米国景気は急速に悪化しています。このことは前から予測されていたことで驚くことではありませんが、米国時間14日のニューヨーク連銀とJPモルガン・チェースによる米証券大手ベア・スターンズの救済報道は米国市場にはある意味ではショックだったのかもしれません。それを受けて14日のNYダウは一時310ドル以上下げる場面がありました。しかし最終的には194ドル安で終わっており、そう心配する必要はないと考えます。急落によって既に相場に織り込まれたこともありますが、米金融当局が異例のスキームを使ってでも、金融システムを維持するため、流動性危機に陥った金融機関を「つぶさない」と意思表示したのが最大の原因です。
こうした中、米S&Pがサブプライムローンを組み込んだ証券化商品の評価損は世界の金融機関全体で2850億ドルにのぼる可能性があるとした一方、大手金融機関の評価損計上は峠を越えたとするレポートを発表したことは注目されます。バブル崩壊後の日本を教訓に各金融機関が早め早めの損失処理を行ってきたからで、実質的にはサブプライム問題は最終局面に入っていることがこのレポートからも明らかになりました。
いま米市場で最大の問題になっているのはモノラインと呼ばれる「リスクの最後の引き受け手」をどう救済するかに移っていますが、これもサブプライムローンの借り手から貸し手へ、そしてローンの買い手(投資家)、その保証先へとリスクが移転してきたことを示しています。公的資金の投入なしにはこうした問題は解決しないかもしれませんが、サブプライム問題による下げは今回で4巡目。基本的には米市場の問題は景気と株価の関係に収束しつつあると考えていいのではないでしょうか。
休むも相場
日経平均が昨年来安値を更新してきたため東京市場は下値を探る展開になりそうですが、基本的にはここからの一段安はないと考えます。市場は弱気一色ともいえる状況ですが、昨年高値からの下落率が33%と日本市場は世界の主要市場のなかでも突出して下げが大きくなっているため、反発らしい反発もなく一本調子で下げるとはとても思えないからです。日経平均は安値を更新してはいますが、下げ渋るような形の下げでの安値更新であり、きっかけさえあれば急反転もという動きをみせています。騰落レシオも80.98%に低下。下げたとしても下値は限定的とみた方がいいでしょう。
ただ肝心の米国株がよくありません。チャートからはNYダウもナスダック指数も下降トレンド入りした可能性大です。米国経済が景気後退局面に入った公算が強まってきましたので、米国株の急反転も当面はないと思われます。
外国人投資家が再び日本株を売って来たこともあり市場は買い手不在の状況になっています。買いにくい相場付きになって来ましたが、こうした中で狙うとすれば、まずは米国景気の影響を受けない銘柄や円高の影響を受けにくい銘柄、そして外国人持株比率の低い銘柄などでしょう。休むも相場といいますから、暫くは様子見に徹してもいいかもしれません。
2008年3月10日号
弱気の連鎖が断ち切れない状況が続く
落ち着きを取り戻すかに見えた東京市場ですが再び波乱の展開となって来ました。先週は週初の3日に日経平均が今年4番目の下げ幅となる610円安になったのに続き週末の7日には432円安を記録。1週間で821円(6.0%)も下げる厳しい下げに見舞われました。1/22につけた年初来安値(12572円)にあと209円という水準になっています。
サブプライム問題を発端とした米国の信用不安がくすぶるなか、円高・ドル安の進行や原油など国際商品市況の高騰が株式市場を揺さぶる構図となっています。7日の欧米市場では円相場が一時、1ドル=101円台まで上昇、8年ぶりの高値をつけました。米景気後退懸念に伴うドル売りという米国要因による円高ですが、ここまで円高が進むと企業だけでなく消費者の心理も冷やしかねません。
堅調に推移していた米国株もここへ来て日本市場と同じような動きになって来ました。7日のNYダウは前日比146ドル安の11893ドルと1/22につけた11971ドルを割り込み、06年10月以来の水準まで下落。ハイテク株の比率が高いナスダック指数も8ポイント安の2212ポイントと今年の安値を更新しただけでなく、06年9月以来の低い水準まで下落しました。昨年10月の高値からみればNYダウは16.0%の下落、ナスダック指数は22.6%の下落となります。
先週末の米国株の下げは2月の雇用統計で非農業部門の雇用者数が6万3000人減と2ヶ月連続のマイナスとなり、景気後退懸念が改めて意識されたことが主因。雇用統計では建設、製造、流通、金融と総崩れの状況で、市場ではマイナス成長が続く景気後退局面に入ったとの見方も出ています。こうしたなか米投資ファンドの資金繰り不安も漂い始め、世界的に株式市場の「弱気の連鎖」が断ち切れない状況になっています。
今週は正念場に
日本株は昨年、他の先進国市場に先行して大きく下落しました。米S&P社の調べでは世界の主要52カ国の株式市場の中で日本株は51番目のパフォーマンスだったと報告しています。他の市場も今年に入って大きく下げていますが、日本株の下げが突出している状況は変わっていません。日経平均の年初からの下落率は16.5%ですが、昨年7月高値からでは31.1%にも達しています。
高値から大きく下がった水準にあるため、東京市場がここから一段安する可能性は乏しいとみますが、米国株が昨年来安値を更新してきたことや日経平均が年初来安値まであと209円と迫ってきたこと、さらに7日のCME日経平均が大証終値比110円安の12650円で返ってきたことなどから見て、10日の東京市場がどう反応するか要注目でしょう。まさに正念場を迎えたと思います。
踏み止まればダブルボトム形成の可能性が強くなってきますが、12572円を下回れば底割れとなり、日経平均は再び下値を探る展開となってきます。外国人投資家の日本株売りは止まりつつありますが、買いにくい相場環境になって来たように思います。こうした中で狙うとすれば米国景気の影響を受けない銘柄や円高の影響を受けにくい銘柄などでしょう。今週末には会社四季報・春号などが発売されるため、底値圏にある好業績銘柄なども狙い目と思われます。
2008年3月3日号
相場の雰囲気は徐々に好転
東京市場は上げ下げを繰り返す不安定な動きながら次第に落ち着きを取り戻しています。どこまで下がるか分からないようなかつての状況からは完全に抜け出していますが、といって明るさが戻っているわけでもありません。損失が大きすぎて身動きが取れない投資家が多く、投資マインドが回復するまでには至っていません。市場にはまだ疑心暗鬼が残り、何かあったら逃げ出そうというムードさえ感じられます。
しかし市場の雰囲気は徐々に良くなっています。1/22の12572円で1番底を、2/8の13017円で2番底を付けたとの見方も広がっています。1番底を付けたと見られる1/22以降も東京市場は何度も揺さぶられる場面がありましたから、ある意味では悪材料にも負けない強さを備えつつあるとも云えます。
外国人の日本株売りも止まりつつあります。投資主体別売買動向によると、外国人投資家は2月第2週(12-15日)に日本株を1618億円買い越しました。買い越しは7週間ぶりで今年初めて。日本株の下落はひとまず終わったとみて投資スタンスをそれまでの売りから中立に戻したのが原因でしょう。第3週は再び売り越しになりましたが、割安感の出た日本株を注目するSWF(政府系ファンド)が増えてきたこともあり、昨年11月以降続いていた大量の日本株売りは終息しつつあると見られます。
当面は調整場面か
ただ日経平均が2/27に14000円の大台を回復し、ひとまず市場に目標達成感が出ているうえに、騰落レシオが相場の過熱感を示す120を大きく上回る136.00まで上昇したことから、東京市場がこれ以上、上値を追うのは難しくなっています。サブプライム問題を背景に主要通貨に対するドル安傾向が強まり、円相場が1ドル=103円台に突入してきたことや、原油高など企業業績への不安材料が山積していることから、市場心理は弱気に傾きやすくなりつつあります。東京市場は当面、調整場面が続くのではないでしょうか。
米国株にも変調の兆しが見られます。29日のNY市場は315ドル安と今年2番目の下げを記録しました。米保険最大手AIGが07年10-12月期で1兆5000億円の損失を計上したことが響きました。
AIGの問題はサブプライム関連の証券化商品を買った投資家との間で損失を引き取る一種の保険契約を結んでいたのが原因ですが、こうした保険契約は専門の保証会社(モノライン)だけでなく、ヘッジファンドや多様な金融機関・投資家が手掛けており、これが嫌気されたわけです。サブプライム問題はローンの借り手から銀行、証券化商品の買い手(投資家)へとリスクが移転、こうした「最後の引き受け手」にリスクが移る最終局面に入っていますが、公的資金の投入なしには解決しない類の問題かもしれません。
1月の雇用統計で非農業部門の雇用者数が4年5ヶ月ぶりに減少したことや、非製造業の景況感が01年10月以来の低水準に低下したことなどから、米国では景気後退が現実味を増しており、基本的には株価の本格反騰が期待できる状況ではありません。米国株の反転なしに日本株の本格上昇も考えにくいので、東京市場も伸び切れないような相場が続くことになるのではないでしょうか。
2008年2月25日号
相場の雰囲気は徐々によくなる方向に
東京市場は上げ下げを繰り返す不安定な動きながら次第に落ち着きを取り戻しています。どこまで下がるか分からないようなかつての状況からは完全に抜け出したと云えますが、といって明るさが戻っているわけでもありません。これまでの下落相場の影響が大きすぎて相場を冷静に見れなくなっているような感じもします。損失が大きすぎて身動きが取れない個人投資家が多く、投資意欲も回復するまでに至っていません。市場にはまだ弱気ムードが充満しており、何か悪い兆候でもあると一斉に逃げ出そうという様子さえ感じられます。
しかし相場の雰囲気は確実に良くなっています。先月には騰落レシオを始め、あらゆるテクニカル指標が異常な値を示していました。その後の株価の動きを見ると、1/22の12572円で1番底を、2/8の13017円で2番底を付けたのではとみられるような動きになっています。1番底を付けたと見られる1/22以降も東京市場は相当叩かれていましたから、悪材料にも負けない強さを備えつつあるとも云えます。
そして注目されるのはマスコミの論調です。日経新聞では1/22に底を付けたのではないかとみる市場関係者が増えてきたと報じていますし、TVでも同じニュアンスのことを発言する解説者が出始めてきました。TV解説者が少数派の考え方を自分の意見として堂々と発言することは勇気の要ることですが、こうした発言が相次げば市場のムードは確実に良くなって来ます。
外国人の日本株売りも止まりつつあります。投資主体別売買動向によると、外国人投資家は2月第2週(12-15日)に日本株を1618億円買い越しました。買い越しは7週間ぶりで今年初めて。日本株の下落はひとまず終わったとみて、投資姿勢をそれまでの売りから中立に戻したからではないかと言われていますが、そうした中、いま話題のSWF(政府系ファンド)が割安感の出た日本株を買ってきたのが原因でしょう。年初からの株価急落は外国人売りが主因だっただけに、それが止まるだけでもインパクトは大きなものになります。
10-12月期の実質GDPが市場の予想を大きく上回る内容になったこともあって、日本経済に対する過度の不安感も後退しています。2月18日号に「市場には希望といいますか、期待感みたいなものが出てきたのではないでしょうか」と書きましたが、それがより現実味を帯びてきた感じです。
伸び切れないような相場展開も
米国株も比較的底堅い動きを見せています。サブプライム問題でこれまで何度も叩かれてきましたが、株価が底割れしそうな状況ではありません。これまでの下げ過程でサブプライム関連の悪材料はかなり織り込んだからでしょう。相場は常に先、先を織り込もうとしますので、市場は我々が見ているよりも先を見て動いていると考えた方が的を射ているのかもしれません。
サブプライム問題で株価が下げるのは今回で3巡目に当たります。今回問題になっているのはモノラインと呼ばれる金融保証会社の救済問題と景気後退懸念ですが、これは見方を変えればサブプライム問題が最終局面に来たことを意味します。このうちモノライン問題については公的資金の投入なしには解決しない可能性もありますが、それを除けば、あとは景気と株価の関係になってきます。
1月の雇用統計で非農業部門の雇用者数が4年5ヶ月ぶりに減少したことや、非製造業の景況感が01年10月以来の低水準に低下したことから、米国では景気後退が現実味を増しており、基本的には株価の本格反騰が期待できる状況ではありません。米国株の反転なしに日本株の本格上昇も考えにくいので、東京市場は底入れした可能性はあるものの、伸び切れないような相場が続くことになるのではないでしょうか。
2008年2月18日号
東京市場の先行きには明るい兆しも
東京市場はまだ不安定な動きが続いていますが、一時のどこまで下がるか分からないような状況ではなくなっています。市場にはまだ弱気ムードが充満しており投資家心理は冷え切ったままですが、先週の動きからは先行きに明るい兆しも見えてきたように思います。
先週は14日に日経平均が558円高と今年最大の上げを演じ、週間の上げ幅は605円(4.6%)となりました。15日は3円安で引けましたが、大引け直前まではプラス圏で終わりそうな動きで、これまでとは相場付きが少し変わってきたのではと思わせるような展開でした。マーケットには希望といいますか、期待感みたいなものが出てきたのではないかと思います。
相場付きに変化みたいなものが出てきたのは前日の日経平均が大幅高し、NYダウが175ドル安となったあとの動きが尋常ではないと感じられたからです。当然、売り先行で始まりましたが、売り一巡後は買いが優勢となり、ジリジリ戻し、大引け直前まではプラス圏で終わるのではという勢いでした。売買高も大幅高した14日を上回り、外国人買いが入ったことを窺わせるような動きでした。
投資主体別売買動向を見ますと外国人は年初から6週連続日本株を売り越していますが、売越額はここへ来て大きく縮小。2月第1週(4-8日)は前週の3724億円から268億円に売越額が縮小しています。米メリルリンチの調査では日本株を割安と見る機関投資家が増えており、そうした買いが入っているのではないかと思われるような上げでした。14日の寄り付き前に発表された10-12月期の実質GDPが市場の事前予想を大きく上回る内容になり、日本経済に対する過度の不安感が後退したことも見直し買いを入れるきっかけになったようです。
先週の株価急伸で日経平均は2番底を付けた可能性が出てきました。投資家心理は冷え切ったままであり、個人投資家に投資意欲があるようには思えませんが、チャートを見る限りその可能性が強まってきたように思います。14日に出た大陽線もそれを暗示するものでしょう。底値圏での大陽線出現はそれまでの流れの変化を意味します。
新興市場もいい動きになっています。マザーズ指数は先週末7.3%高となりました。指数が一日でこれほど上がったのは過去にはそうないでしょう。新値3本足も陽線が2本立ってきました。底値圏での大陽線出現も底入れのシグナルではないでしょうか。
本格上昇には米国株の反騰が必要
米国株も底堅い動きを見せています。サブプライム問題でこれまで何度も叩かれてきましたが、株価は底割れするどころか逆に下値を切り上げる動きになっています。チャートからは2番底形成から戻りを試す展開に入ったのではと思えるような形です。これまでの下げ過程でサブプライム関連の悪材料はかなり織り込んだからではないでしょうか。相場は常に先、先を織り込もうとしますので、市場は我々が見ているよりも先を見て動いていると考えた方が的を射ているのかもしれません。
サブプライム問題で株価が下げるのは今回で3巡目に当たります。今回問題になっているのはモノラインと呼ばれる金融保証会社の救済問題と米景気後退懸念ですが、これは見方を変えればサブプライム問題が最終局面に来たことを意味していると言えなくもありません。このうちモノライン問題については公的資金を投入しなければ解決しない可能性もありますが、あとは景気と株価の関係とみなしていいのではないかと思います。
1月の雇用統計で非農業部門の雇用者数が4年5ヶ月ぶりに減少したことや、ISM非製造業景況感指数が01年10月以来の低水準に低下したことから、米国では景気後退が喫緊の問題になっているため、基本的には株価の本格反騰が期待できる状況ではありません。米国株の反転なしに日本株の本格上昇も考えにくいので、東京市場は底は入れた可能性があるものの、上値も重いといったような相場展開になるのではないでしょうか。
2008年2月12日号
東京市場は振り出しに近いところまで戻る
東京市場は不安定な動きが続いています。一時のどこまで下がるか分からないような底なしの動きからは抜け出してはいますが、投資家心理は冷え切ったままです。日経平均は先週、週初こそ大きく上昇しましたが、5日には今年2番目の急落(646円安)を演じ、週間では480円(-3.6%)の下落になってしまいました。1/22の12573円を底に順調な戻りを見せていた日経平均ですが、振り出しに近いところまで逆戻りした感があります。
米国市場に底入れ感が出ないことがこうした相場を現出しているといっていいでしょう。今3月期決算見通しが予想以上に悪く、減額修正が相次いでいることも市場のムードを悪くしています。買いでは儲けにくくなっている現状から、業績の下方修正などの悪材料を発表した銘柄を集中的に売り叩くことによって値幅を取ろうとする動きまで活発になっています。
まさに異常な状態となっていますが、相場の先行きに弱気な見方が広がっているため、売られすぎだと思っても買いを入れられるような雰囲気ではなくなりつつつあります。前にも指摘しましたが、いまの市場には弱気というよりは悲観的な見方が充満し、起こっていることを冷静に見ようとしない傾向があるのではないでしょうか。悪い方、悪い方へと物事を考え、悲観一色になっているように思えます。
チャートをみれば分かりますが、東京市場も米国市場も前の安値は割り込んでいません。両市場ともサブプライム問題で何度も叩かれてきました。今回の下げは3巡目に当たります。最初は信用収縮懸念や個別金融機関の損失拡大懸念、次も大体同じような理由でしたが、今回は米景気後退懸念や金融保証会社(モノライン)の経営不安などが原因となって売られています。
同じサブプライム問題で下げるにしても下げる理由が違っているわけです。これは同問題が消化されていることにほかなりません。早急に手を打たないとバブル崩壊で苦しんだ日本と同じようなことになると米政府や金融当局、個別金融機関が揃って早め早めに手を打ってきたため、サブプライム問題は景気と金融保証会社の救済問題という最終局面のところまで到達したのだと言えなくもありません。
このうちモノライン問題については公的資金を投入しなければならない可能性もありますが、あとは景気と株価の関係とみなしていいのではないかと思います。ただ住宅バブル崩壊による景気後退懸念が問題となるわけですから、通常の景気後退懸念とは意味合いが大きく異なります。
一段安の可能性は乏しい
株価は常に先、先を織り込もうとします。現時点ではサブプライム問題で予想される不安要因はかなり先まで織り込んだと見られるので、米国株がここから大きく崩れる可能性は乏しいと思います。それゆえ日本株もここから一段安する可能性は乏しいとみていいでしょう。市場は悲観一色になっていますが、騰落レシオが52.8%の記録的水準まで下がり、あらゆるテクニカル指標が売られすぎのシグナルを発していた先月中旬の状況を思い起こす必要があります。
マーケットにとっての最大の不安要因である決算発表は今週で一巡します。そうなれば好業績銘柄を中心に買い安心感のようなものも生まれて来るでしょう。いまの相場は2番底を取りに来ていると考えることも出来ます。
ただ1月の米雇用統計で非農業部門の雇用者数が4年5ヶ月ぶりに減少したことや、ISM非製造業景況感指数が01年10月以来の低水準(41.9)に低下したことから、米国では景気後退が差し迫ってきたことも事実。こうした状況下では米国株の本格反騰は期待できません。米国株の反転なしに日本株の本格上昇も考えにくいので、東京市場は下げようにも下値は乏しく、上げようにも上値の重い、方向感の定まらない動きが続くのではないかと考えられます。
2008年2月4日号
悲観的な見方が充満しているものの、株価は底入れした可能性も
不安定な動きが続いていますが、東京市場は先々週までのようなどこまで下がるか分からないような動きからは抜け出してきたようです。週初こそ日経平均が541円安と急落しましたが、その後は上げ下げを繰り返し、終わってみれば週間の下落幅は132円(1%)。年初からの下げ方からみれば下げ止まったといっていい動きだったと思います。
いまの市場には弱気というよりは悲観的な見方が充満しており、起こっていることを冷静に見ようとしない傾向がるあるのではないでしょうか。悪い方、悪い方へと物事を考え、悲観一色になっているように思えてなりません。
チャートをみれば分かりますが、東京市場も米国市場も底を入れた可能性が十分ありますが、そうした見方はほとんど出ていません。両市場はサブプライム問題でこれでもか、これでもというくらい叩かれてきました。今回の年初からの下げは3巡目にあたります。最初は信用収縮懸念や銀行など個別金融機関の損失拡大懸念、次も大体同じような問題、そして今回は米景気後退懸念や金融保証会社(モノライン)の経営不安などから売られる動きになっています。
同じサブプライム問題で下げるにしても下げの理由が違っているわけです。これはサブプライム問題が消化されていることにほかなりません。同問題に早急に適切な手を打たないとバブル崩壊で苦しんだ日本と同じような経験をするとの恐れから、米政府や金融当局、個別金融機関が揃って早め早めに手を打ってきたため、サブプライム問題は景気と金融保証会社の救済問題という最終局面のところまで市場の目(=懸念要因)が移ってきたと言えなくもありません。
このうちモノライン問題については公的資金を投入しなければならない可能性もありますが、あとは景気と株価の関係とみなしていいのではないかと思います。ただ住宅バブル崩壊による景気後退懸念が問題となるわけですから、通常の景気後退懸念と同じような扱いは出来ないでしょう。
戻りは限定的なものか
株価は常に先、先を織り込もうとします。現時点ではサブプライム問題で予想される不安要因をかなり先(半年から1年近く先)まで織り込んでいると見られるので、米国株がここから崩れる可能性は乏しいと思われます。したがって日本株もここから一段安する可能性は乏しく、当面は底値を固めながら徐々に戻りを試す動きになるのではないでしょうか。
といっても戻りは限定的なものになる可能性が大。1日発表した1月の米雇用統計で非農業部門の雇用者数が4年5ヶ月ぶりに減少に転じるなど、米国が01年以来の景気後退局面に入る可能性が高くなっているからです。こうした中では株価の本格反転は期待できません。米国株の本格反騰なしに東京市場の反騰は考えにくいので、東京市場は底は入れたものの上値は限定的といった動きが続くのではないかと予想されます。
2008年1月28日号
底なし沼のような下げは収まる
東京市場は先週も波乱の展開となりました。週初から急落が続き、どこまで下がるのか分からないような動きでしたが、23日からは下げ止まり、その後は一転して急伸するという展開。週間を通じた日経平均の騰落幅はマイナス232円となりましたが、先週末の終値は13629円と1週間ぶりに13000円台を回復して引けました。22日に日経平均が今年最大の752円安を記録するなど週初の2日間で1287円下落、あとの3日間でその8割超を回復する乱高下の動きとなりました。
底なし沼のような下げが収まったのは米政府と議会が景気対策で合意し、米景気の先行きに対する悲観論が弱まったため。FRBの緊急利下げに続き総額1500億ドル規模の景気刺激策への期待感から米国株が下げ止まり、これが好感され急速に戻す形となりました。米金融・株式市場でサブプライム関連の証券化商品の保証を専門に手掛け、経営難が表面化している「モノライン」と呼ばれる保険会社の救済策が動き出したことも安堵感を広げました。
東京市場は目先の底を入れる
株式相場については先行き不透明感からなお下ブレ懸念がくすぶっていますが、東京市場は22日の12573円で目先の底を入れたのではないでしょうか。21、22日の急落と23日からの戻り、そして25日の急伸は騰落銘柄数から見ても記録的なものでした。売買代金も11日以降はほぼ連日、活況の目安とされる3兆円を超えていました。そうした中、騰落レシオが売られすぎとされる70%を大きく下回る52.8%まで低下したほか、あらゆるテクニカル指標が売られすぎのシグナルを発していました。セリング・クライマックスとその後の反転が一気に来たという感じでした。
先週の株式市場は仏銀2位のソシエテ・ジェネラルの株売却が下げを加速した面もあります。ディーラーの不正取引で株価指数先物で15億ユーロの損失が発覚、この損失確定のため同行が21日からポジション解消の売りを急いだため、アジア・欧州株の一段の急落(米市場は休場)を招き、損失額が3倍超の49億ユーロ(約7600億円)に拡大したとのことです。米FRBが0.75%の緊急利下げを発表したのもこれが一因だったと日経紙が報じています。このことからも先週前半の下げは異常だったといえます。
25日の米市場はサブプライム関連の損失が出尽くしていないとの懸念からダウ平均が171ドル安、ナスダック指数が21ポイント安と大きく下落しました。28日(月)の東京市場にこの影響が出る可能性はありますが、米国株については基本的にはここから大きく下げるような状況ではないと考えます。サブプライム問題や景気後退懸念からこれまで2度も売り叩かれ、今年に入ってさらに売り込まれる動きが続いていることから、懸念材料はかなり織り込まれたと思われるからです。
ただ米景気が減速する中では米国株の本格反発が期待しにくいのも事実。日本株は目先の底をつけた可能性が強まってきましたが、米国株に底入れ感が台頭しない限り本格的な戻りは期待しにくいかもしれません。
2008年1月21日号
東京市場は潮目が変わった可能性も
東京市場は先週も波乱の動きとなりました。17、18日はやや下げ渋る動きとなりましたが、週半ばまでは下落が止まらず下値が見えないような動きでした。年初から16日までの日経平均の下落幅は1803円(11.8%)になっており、この間上昇したのはわずか2日だけでした。新興市場では9月に大底を付けたとみられていたマザーズ指数やヘラクレス指数までが安値を更新する有様で、買い手不在が際立った週だったように思います。
ただ、先週の相場を注意深く見ると、前半と後半とでは潮目が変わったのではと思わせるような動きも見られました。週前半は追い証を迫られた個人投資家の手仕舞い売りだけでなくロスカットルールに抵触した機関投資家の損切りの売りも相次いだようです。松井証券の信用評価損益率はマイナス29%強と02年9月以来の水準まで悪化していたそうで、株安に耐え切れなくなった売りが一気に出てきたようです。マザーズ指数やヘラクレス指数が再び安値を切ってきたのは買い手不在の中、こうした売りが出てきたからでしょう。
どこまで下がるか分からないような恐怖感さえ漂う相場でしたが、17日(木)は日経平均が278円高と反発。取引終了にかけて締まるいい動きで、地合いが変わってきそうなことを予感させる動きでした。翌18日は77円高。前日の米国株が今年最大の下げになっていた中、400円超下げていたところから急速に戻す形となりました。底入れした可能性が出てきたのではと思わせる内容でした。
注目されるのは売買代金が膨らんできた点。先週は活況の目安となる3兆円を5日連続で上回りました。これは昨年8月以来ほぼ5ヶ月ぶり。底値圏での出来高急増はセリング・クライマックスと言われますが、先週1週間の動きは、売りたい向きの売りを誰かが下値で拾い、後半にかけて買いが優勢になったことを物語るものでした。
投げ売りのような売り物が続きテクニカル指標は異常な値になっています。騰落レシオは売られすぎとされる70%を大きく下回る59.6%まで下落しているほか、移動平均線からのカイリ率、信用評価損益率、新安値更新銘柄数など多くの指標が売られすぎのシグナルを発しています。市場が異常な状態になったときは「買い」が基本ですので、ここは売られすぎと判断するところではないでしょうか。
米市場の底入れ確認までは懐疑的な形の戻りか
もっとも今回の急落を始め昨年以降の相場下落はサブプライム問題を受けた米国株の下落が主因となっていますので、米国株の動きから目を離すわけにはいきません。ただサブプライム問題は今回で3巡目に入り、個別金融機関の損失拡大や資本増強策等は株価に大方織り込まれたと考えられます。
いま市場で問題になっているのはサブプライム問題がもたらす景気への悪循環です。はっきり言えば米景気がどうなるかに問題が絞られつつあるわけです。米景気を支えたとまで言われる住宅市場がバブルの崩壊で回復のメドが立たない状況になっているため、その後遺症が甚大なものになるのは避けられないでしょう。ただ適切な手を打たないと日本のバブル崩壊と似た経験をするとの恐れから、米国では政府や金融当局、個別企業がそろって早め早めの対策を打ち出しているのは評価しなければなりません。今月末には財政と金融政策を連動させた異例の景気対策も発動される予定で、マーケットはその効果を徐々に織り込む動きになるのではないでしょうか。
米国株についてはまだ下げ止まったという感じではありませんが、株価が下がるということは懸念される悪材料を織り込んでいることを意味します。米国株も底入れが近いと見ていいのではないでしょうか。東京市場は米国株などに先駆けて下げていたので今後は底入れ反転の動きになると思われますが、米国株に底入れ感が台頭するまでは懐疑的な形の戻りになるのではと考えます。
2008年1月15日号
東京市場は早晩底入れも
2008年の幕開けは波乱の始まりとなりました。今年初めての取引となった4日の大発会は日経平均株価が616円安する異常なスタート。戦後、東証の取引が再開されて以来の下げとなりました。7日以降も不安定な相場が続いており、底値が見えないような動きになっています。
毎日新聞社の報道によりますと、世界52カ国・地域の主要株価を比較した調査で日本は昨年6.55%(1700銘柄で指数化)の下落となり、下から2番目の51位の成績だったそうです。下落したのはわずか5カ国で、最下位はアイルランド(-19.62%)。米格付け会社S&Pが指数化して調査したもので、先進国全体では7.11%の上昇、新興国全体では38.76%の上昇となっています。首位はナイジェリア(+110.6%)で、3位はインド(+78.98%)、4位はブラジル(+74.64%)、6位は中国(+66.91%)、そして米国も43位ながら4.02%の上昇となっています。
日本市場が下から2番目になるほど経済のファンダメンタルズが悪いとはとても思えません。外需依存の経済構造や円高・ドル安の進行、海外投資家に市場を牛耳られている等、様々な要因が重なり、投資心理が弱気に傾いたことがこうした下げを演出したのではないかと考えられます。
大発会の急落で弱気に傾いた投資心理はさらに冷え込み、市場には悲観的な見方が充満していますが、いつまでもこんな状況が続くはずはありません。いま市場では「日経平均リンク債」のようなリスク限定型投信への警戒感が高まっています。一定の条件を満たせば元本を確保しつつ高い利回りが期待できるが、日経平均など株価指数があらかじめ決められた価格(ノックイン価格)を下回ると償還額が株価指数に連動するため元本割れの可能性が高くなる性格の金融商品です。90年代に生保などが配当を行うため大量に購入し何度も話題になったような商品ですが、この種の商品が話題になると大概そこが底になっていました。想定していなかった水準まで株価が下がったことが投資家の不安心理を煽り、心理状態を「陰の極」にしてしまうからでしょう。
先週末の相場がまさにそれでした。騰落レシオが売られすぎとされる70%を下回る66.7%まで低下したことや、ボリンジャーバンドなどテクニカル指標からも日経平均は売られすぎ状態になっていますので、東京市場は早晩目先の底を入れる可能性大と思われます。
米市場の懸念はサブプライムの先の景気に
とはいえ日本株不振の原因は景気減速懸念が強まった米国株にあるため、米国株に底入れの機運が出ない限り日本株にも本格的な底打ち感が出にくいことも事実。米国株はサブプライム問題でこれまで何度も売られており、今回で3度目の下げとなります。下げの過程で同問題はかなり織り込まれたとみられ、個別金融機関のサブプライム関連損失についてはヤマは完全に越えたと思われます。自己資本が不足する一部の金融機関が追加の資本増強を発表する可能性はありますが、資本不足に伴う信用収縮懸念から金融・証券市場が混乱したかつての日本のような状況ではなくなりつつあります。
いま懸念されているのはサブプライム問題の先にある景気で、住宅市場の不振やガソリン高を通じて景気後退に陥らないか否かが最大の焦点になっています。米景気を支えたとされる住宅市場がバブル崩壊で低迷しているため、その後遺症が甚大なものになるのは避けられません。ただ適切な手を打たないと日本のバブル崩壊と似た経験をするという恐れから、米国では政府・金融当局・個別企業がそろって早め早めの対策を打ち出していることは評価しなければならないと思います。
日本政府が行ったように米政府も最終的には公的資金を投じることになる可能性はありますが、冷静に考えてここから米国株が一段と下げる展開になるかどうかです。サブプライム問題のかなりの部分は既に織り込まれ、最終段階の「景気」に焦点が当たってきた以上、通常の景気にプラスαしたことを問題にした動きになってきたと捉えるべきではないでしょうか。そうなれば今後は景気と金利の関係となってきます。ただ足元の米国株は三尊天井を形成しているためチャートからは下振れリスクが強まる形になっています。もう一段安があるかもしれませんが、NYダウが12100ドル程度まで下げれば底入れ感も台頭するので、そう悲観的になる必要ないと考えます。
2007年12月25日号
海外要因に左右される状態が続く
先週の東京市場は週末になってやや落ち着きを取り戻しましたが、市場の雰囲気は陰の極といってもいい内容でした。12日から始まった日経平均の下落は6日間続き、19日までで1014円(6.3%)の値下がりとなりましたが、反発に転じた翌20日の値上がり幅はわずか1円。市場は悲観ムードに覆われたかの感がありました。それが変わってきたのは週末の21日から。米メリルリンチがシンガポール政府系投資ファンドから出資を受け入れると報じられ、米金融機関の経営不安の後退から一段と買い進まれる展開となりました。国内に株価を上げていく材料がないため海外要因に過剰に反応している状態がずっと続いているわけです。いまの東京市場はサブプライム問題を過度に悲観した状態になっていますが、いつまでもこうした状況が続くとは考えられません。
東京市場は先週末時点で年初から1968円(11.4%)も下落しています。NYダウが同期間に7.9%、ナスダック指数が11.4%それぞれ上昇しているのに対し信じられない下げになっています。株式市場の有力プレイヤーに国内勢の姿がなく、東京市場が外国人に牛耳られていることがこうした事態を招いています。サブプライム問題で日経平均が急落した7~8月と10~11月の投資主体別売買動向を見るとよく分かりますが、同期間に外国人は日本株を大量に売っており、これが日経平均を押し下げる原因になっています。
従って東京市場の先行きも外国人がどう動くか、これにかかっているといって過言ではありません。国内機関投資家の自信のなさ、また相場不振にかこつけこれまで運用担当者を育成してこなかった咎めが出ているわけです。
資本増強策の進展でサブプライム問題は最終局面に
米政府がサブプライムローンの借り手救済策を発表したことに加え、シティグループやUBS、そしてモルガン・スタンレー、メリルリンチと米欧の金融機関が相次いでサブプライム関連の損失計上に備えた資本増強に動いています。米銀大手のサブプライム問題に対応した500億ドル規模の基金も近々設立されます。このことはサブプライム問題の根の深さを物語るものですが、見方を変えればこれは同問題が終盤に近づいていることを示しています。
日本の不良債権処理の歴史を思い起こすと分かります。みずほFGグループの1兆円の資本増強を柱とした経営改善策の発表(03年1月)後、三井住友FGやUFJグループ(当時)が相次いで資本増強策を発表し経営基盤が揺らぐのを防ぎました。サブプライム問題で揺れる米欧の金融機関も同じ推移を辿っているわけで、抜本策を取るまでの時間が違うだけです。
株価については資本増強を発表している間は軟調な展開でした。しかし大手金融機関が資本増強によって揺るぎない経営基盤を構築した段階では、損失処理の拡大は悪材料出尽くしと捉えられ、株価急上昇の要因となりました。このことからも、サブプライム問題に対する米欧金融機関の信用不安は最終局面を迎えつつあると捉えていいと思います。
とはいえ米国景気の先行きには楽観は出来ません。サブプライム問題は単に信用度の低いサブプライムローンだけの問題ではなく、他の住宅ローンやクレジットローンなどへも広がる可能性があり、米景気後退に繋がりかねない危険性をはらんでいます。
現在のところサブプライム関連の悪材料は相当程度株価に織り込まれていると考えられますが、米景気へ問題が波及してきたときには内外の株式市場は再び揺さぶられる可能性を残しているともいえます。こうした中では米国市場の影響を受けにくい内需系銘柄に目を向けた方がいいと思われます。なお次号は来年1月15日号からとなります。
2007年12月17日号
海外要因に過剰反応する状態が続く
東京市場は落ち着きを取り戻しつつはありますが、方向感が感じられません。先週の市場は週初はしっかりした動きで日経平均が約1ヶ月ぶりに終値で16000円台を回復する場面がありましたが、週半ばからは再び売り込まれる展開。週間では442円(2.8%)の下落でしたが、同期間のTOPIIXが4.0%下落しているように、実感としてはかなり厳しい下げだったと思います。
週半ばからの急落には様々な要因が考えられます。14日のSQや日銀短観発表を控えて内外の投資家が積極的な売買を控えていたところに、投機筋と見られる売りが断続的に出て下げを加速したこと。またサブプライムローン問題の解決に向け米銀大手が設置する基金に日本の3大メガバンクが融資要請を受けたことが伝わり、銀行株が急落したこと。そして市場予想を下回る内容になった日銀短観を巡って市場参加者の見方が分かれたことなどがその主なものでしょう。
煎じ詰めていけば国内に株価を買い上げていく材料がなく、海外要因に過剰に反応している状態が続いているわけです。一時の弱気一色という状況からは脱してはいますが、いまの市場はサブプライム問題などを過度に悲観した状態になっているといっても過言ではありません。といっても相場がここから底割れすることはないと思います。たびたび指摘しているように、東京市場はこうしたことをあらかた織り込み、11月22日の14888円で既に目先の底を入れたと考えられるからです。
サブプライム問題は最終局面に
米政府がサブプライムローンの借り手救済策を発表したことに加え、米シティグループや欧州銀大手UBSが資本増強に動くなどサブプライム問題の損失処理も加速しています。日本のメガバンクが参画するか否かはともかく、サブプライム問題に対応した米銀大手の500億ドル規模のサブプライム対策基金も近々設立されます。以上のことはサブプライム問題の根の深さを物語るものですが、見方を変えればこれは同問題が終息に近づいていることを示しています。
日本の不良債権処理の歴史を思い起こしてみると分かります。みずほFGグループが1兆円の資本増強を柱とする経営改善策を発表したのが03年1月。その後、三井住友FGやUFJグループ(当時)が相次いで資本増強策を発表し経営基盤が揺らぐのを防ぎました。サブプライム問題で揺れる米欧の金融機関も同じ推移を辿っているわけで、抜本策を取る時期が日本と違うだけです。
となると問題は株価の行方ですが、これも日本が参考になります。資本増強を発表している間は軟調な展開でしたが、その後、大きく反発しました。大手金融機関が増資等によって経営基盤が揺るぎないものになれば、不良債権処理の拡大はむしろ悪材料出尽くしと捉えられ、株価上昇要因となっていました。このことから米欧の金融不安は最終局面を迎えようとしていると考えていいのではないかと思われます。
とはいえ米国景気の先行きには楽観は出来ません。サブプライム問題は単に信用度の低いサブプライムローンだけの問題ではなく、他の住宅ローンやクレジットローンなどへも広がる可能性が出ています。
今回の救済策ではローン返済の延滞が減少し、差し押さえられた物件の投げ売りで住宅価格が下落する悪循環に歯止めがかかるかが最大の注目点となります。芳しくなければ不動産市況の冷え込みの悪影響が低所得者層(サブプライムローン保有者)から中所得者層(オルトAローン保有者)や高所得者層(プライムローン保有者)にまで広がってくる可能性があります。
現在のところサブプライム関連の悪材料は既に相当程度織り込んでいると考えられますが、米景気へ問題が波及してきたときには内外の株式市場は再び揺さぶられる可能性を残しているといえます。こうした中では内需系銘柄の魅力が一段と増してきます。
2007年12月10日号
東京市場は目先の底を入れる
東京市場は徐々に落ち着きを取り戻してきました。先週の市場は週半ばから上げに転じ、週末には11月7日以来1ヶ月ぶりに16000円台を回復する場面がありました。3日間の上げ幅は476円(3%)で週間では276円(1.8%)の上昇。世界的な信用収縮におびえた一時の弱気一色の状態から修正が進む形となっています。日経平均は7月の高値から11月の安値にかけて3424円下げましたが、先週末までに下落分のほぼ3分の1を戻した計算になります。12月3日号でも指摘しましたが、東京市場は11月22日の14888円で目先の底を入れたと見ていいでしょう。
市場のムードが良くなってきたのは米政府がサブプライムローンの借り手救済策を発表したことが原因。金融機関と協力し、来年以降融資金利の上昇を迎える最大120万人を対象に、金利の5年間凍結などの措置を講じるというのが主な内容です。抜本策とは言えないものの前向きな一歩であり、救済策がなかった場合の損失を考えたら好意的な評価をしなければならないはずです。
サブプライム問題は最終局面に
米シティグループがアラブ首長国連邦のアブダビ投資庁から75億ドルの出資を仰ぐなど、サブプライム関連で損失を出した金融機関の資本増強策も始まりつつあります。サブプライム問題の根の深さを物語るものですが、見方を変えればこれは同問題が終息に近づいていることを示しています。
日本の不良債権処理の歴史を思い起こしてみると分かります。みずほFGグループが1兆円の資本増強を柱とする経営改善策を発表したのが03年1月。その後、三井住友FGやUFJグループ(当時)が相次いで資本増強策を発表、経営基盤が揺らぐのを防いだ経緯があります。サブプライム問題で揺れる米欧の金融機関も同じ推移を辿っているわけで、抜本策を取る時期が日本と違うだけです。
となると株価ですが、これも日本が参考になります。資本増強を発表している間は軟調な展開でしたが、その後、大きく反発しました。資本増強にメドが立たない中小金融機関は破綻する可能性はありますが、大手金融機関が増資等によって経営基盤が揺るぎない状況下になれば、資本増強策はむしろ悪材料出尽くしと捉えられ、株価上昇要因となっていました。このことから、米欧の金融不安は最終局面を迎えようとしていると考えていいのではないでしょうか。
とはいえ米国景気に関しては安心は出来ません。サブプライム問題は単に信用度の低いサブプライムローンだけの問題ではなく、他の住宅ローン(オルトAやプライムローンなど)やクレジットローンなどへも広がりつつあります。
今回の救済策で延滞が減少し、差し押さえられた物件の投げ売りで住宅価格が下落する悪循環に歯止めがかかるかが最大の注目点となりますが、芳しくなければ不動産市況の冷え込みの悪影響が低所得者層(サブプライムローン保有者)から中所得者層(オルトAローン保有者)や高所得者層(プライムローン保有者)にまで広がってくる可能性があります。
そう考えていくと、サブプライム問題で市場が揺さぶられる可能性はなお残るものの、株価面で考えるなら、サブプライム関連の悪材料は既に相当程度織り込まれていると考えた方がいいのではないかと思われます。となると内需系銘柄の魅力が一段と高まってきます。
2007年12月3日号
東京市場は目先の底を入れる!
厳しい相場が続いていましたが東京市場は漸く落ち着きを取り戻そうという動きに変わってきました。先週の市場は5営業日中4営業日が上昇する展開で、日経平均は1週間で792円(5.3%)も上昇。まさに急伸という状況で相場の流れはこれまでとは変わった感じです。日経平均が6/28の年初来高値から3628円、率にして19.8%(ザラ場ベース、以下同じ)も下落、10/11の直近高値からでも2819円、16.1%下落していただけに当然の戻りといえなくもありません。
相場の急回復は利下げ期待から米国株が急伸したのを受けたものですが、きっかけはどうであれ目先の底を入れた可能性は大でしょう。騰落レシオが売られすぎとされる70%を大きく下回る64%まで低下していたなど多くのテクニカル指標からも売られすぎ状態が指摘されていました。
不安要因は米国市場の動向ですが、少なくとも当面は問題ないと思われます。米政府と米大手金融機関がサブプライム問題の新たな救済策を協議しており、今月上旬にもそれが正式発表されると30日付の米ウォールストリート・ジャーナル紙が報じているからです。それによると債務者の返済負担を抑えるため、現行の低い借入金利を7年程度据え置く方向で最終合意に近づきつつあるとのことです。ローンの延滞や住宅の差し押さえを減らし、住宅投資や個人消費などの実体経済に打撃を与えるのを避けたいとの考えです。
同時にFRBのバーナンキ議長が29日の講演で「異例の警戒態勢と柔軟性を維持する必要がある」と表明したように、12/11に開くFOMCで追加利下げも辞さないとの考えを示しています。サブプライム問題がこれで解決するというわけではありませんが、債務者救済という国を上げた政策がマーケットの不安心理を抑えることは確実でしょう。アブダビ投資庁の米シティグループへの75億ドル出資など各金融機関の損失処理対策も始まりつつあります。米市場もサブプライム関係の悪材料はひとまず織り込んだと見ていいのではないでしょうか。
新興市場に再び光が!
日経平均が底入れした可能性が大きいといっても今後の展望が明るくなったわけではありません。米国株が持ち直したことで悲観論は後退していますが、本格的な上昇が始まったと判断するのは早計でしょう。前週までの下落ピッチが速かったことに対する自律反発との見方も少なくなく、先行きへの見方は分かれています。
投資対象として考えるなら見通しが困難な市場は避けるべきでしょう。当社は今後期待されるのは売られすぎた新興市場しかないと考えています。マザーズ指数やヘラクレス指数は昨年1月の最高値から78~75%も売り込まれてから戻してきたばかりであり、最高値に比較した株価水準はマザーズ指数が31.6%、ヘラクレス指数が30.8%にすぎません。大きく捉えればともに底値といっても構わないくらいの水準です。
米ウォールストリート・ジャーナル紙が世界で最も出遅れている市場は日本の新興市場と指摘していることからも狙い目は充分。こうした中、米S&P社と日興アセットが新興市場連動型ETFを商品化し、来春にも上場させると報じられるなど新興市場を対象とした商品も続々生まれつつあります。為替やサブプライム問題など世界景気の動向に関係なく成長が見込める企業が多いことからも、再度注目を集める公算大とみます。
2007年11月26日号
1部市場には無力感みたいなものも
厳しい相場です。先週の東京市場は下値を切り下げるような動きが続き、5営業日中、3営業日下落する展開。11月に入って16営業日経過しましたが、そのうち12営業日が下落する異常な相場展開となっています。市場心理は冷え込み、市場には無力感みたいなものまで感じられるようになっています。
サブプライム問題をきっかけにした世界規模での投資マネーの変調が日本市場を最も強く揺さぶっているからでしょう。底の見えない米欧金融機関のサブプライム関連損失の拡大やそれが及ぼす実体経済への影響を懸念して米国株が急落すると、その影響が直ちに現れるだけでなく、日本の景気回復や規制緩和を期待して日本株を買っていた外国人がいまの日本の政治・経済状況に失望して逆に日本株売りに動き始めるなど、東京市場を取り巻く環境は8月ごろを境にガラッと変わっています。
投資の専門家の育成を怠ってきたたことなどもあって国内機関投資家の東京市場での存在感は薄く、外国人が売りに回ったら手の施しようがない状態になってしまいます。サブプライム問題は本来なら日本への影響は限定的なはずですが、昨年末に比べた日経平均株価は14%安。NYダウとナスダック指数がそれぞれ3%高、6%高となっている中、突出した下げになっています。
サブプライム危機はドル安や原油高、国際商品価格高も誘発しており、米FRBの利下げがドル売りを加速させ、行き場を失ったマネーが原油や金、穀物などへと流れ込む要因にもなっています。そしてこれがドル安と相まって物価上昇圧力を高め、インフレ懸念をあおる深刻な事態を招いているわけです。
サブプライム問題はそう簡単に解決するとは思えません。ただ、バブル崩壊後の日本と違い米金融当局や各金融機関が早めの損失処理に動き出しているため、年内の決算で各金融機関の損失が確定出来るようであれば悪材料出尽くしとなる可能性はあります。
新興市場には復活の兆しも
今回の下げで日経平均は新たな下値を探る動きに入ったといえますが、ここから一段と下押す可能性は乏しいと考えます。最大の理由は騰落レシオが売られすぎとされる70%を大きく下回る64.0%まで低下していること。同レシオは信頼性の極めて高い指標で期待したい面があることも事実ですが、これまでの下げでサブプライム関連の悪材料はひとまず織り込んだと思われるからです。
とはいえ最近の東京市場は弱さが目立ちます。11月12日号でも指摘しましたが、もしかしたら03年4月から始まった大上昇相場が終わった可能性も考えられます。TOPIXの月足チャートは3ヶ月連続で24ヶ月線を下回っていますが、こうした形は2000年以降ではITバブルが崩壊した00年10月以降、初めてです。まだ可能性だけとしかいえませんが、注意していた方がいいかもしれません。
これとは対照的に新興市場には復活の兆しが出ています。急落していたマザーズ指数やヘラクレス指数は下げ渋る動きに変わっており、調整一巡感も見られます。両指数ともこれまでの上げ方が強烈だっただけにその調整が暴力的に来たのだと考えれば、今回の急落も納得できるのではないかと思います。
両指数とも9月の最安値から10月高値までの上昇幅の半値押し水準を下回るところまで売られてから下げ渋る動きになっています。マザーズ指数やヘラクレス指数は昨年1月の最高値から78~75%も売り込まれてから戻してきたばかりであり、最高値に比較した株価水準はともに28.7%にすぎません。大きく捉えれば底値といっても構わないくらいの水準です。世界で最も出遅れている市場は日本の新興市場との声もあるだけに、そろそろ2番底形成から一段高へ向かう局面と捉えるべきではないでしょうか。
2007年11月19日号
米市場は不安定な動きが続く
先週の東京市場は底値圏で不安定な動き。11/2から始まった株価下落が止まらず8日続落、その後一旦反発しましたが、再び下げるという展開。5営業日中4日下げる展開で、1週間で429円(2.8%)下げてしまいました。急落前の11/1から比べると下げ幅は2週間ちょっとで1716円(10.2%)にもなります。
相場が不安定になっているのは米国株の動揺が原因。米欧金融機関のサブプライム関連の損失がどこまで拡大するか底が見えなくなり、市場は疑心暗鬼状態になっています。バブル崩壊後の日本がかつて経験したようなことがいま米国で起こっているわけです。
こうした中、原油価格の高騰や住宅市場の下落から米景気の先行き不安が高まっており、世界の市場が警戒感を強めています。米景気の減速懸念から外為市場では「ドル離れ」の動きも鮮明になっており、不安感を増幅する結果になっています。ただバブル崩壊後の日本と違い米金融当局や各金融機関が早めの損失処理に動き出しているため、年内の決算で各金融機関の損失が確定すれば悪材料出尽くしとなる可能性は充分あります。
新興市場は2番底形成の動きか
今回の急落で日経平均は8/17の安値を下回り、年初来安値を更新してしまいました。新たな下値を探る動きに入ったといえますが、ここから一段と下がる可能性は乏しいと考えます。最大の理由は騰落レシオが売られすぎとされる70%を大きく下回る65.1%まで低下していること。同レシオは信頼性の極めて高い指標で期待したい面があることも事実ですが、これまでの下げでサブプライム関連の悪材料はひとまず織り込んだと見るのが正鵠を得ていると思われるからです。
とはいえ最近の東京市場は弱さが目立ちます。米国経済の不安定な状況は暫く続くと見られるので、10-12月期決算の内容が明らかになる来年初めまでは投資家は慎重な姿勢を崩さないとみた方がいいかもしれません。反発に転じたとしても大きなものにはならないと見られます。
これとは対照的にマザーズ指数やヘラクレス指数は早くも調整一巡感が出つつあります。両指数ともこれまでの上げ方が異常だったためその調整が暴力的に来たと考えれば、今回の急落も納得できるのではないかと思います。
両指数とも9/18の最安値から高値までの上昇幅の半値押し水準を下回るところまで売られてから下げ渋る動きに転じています。マザーズ指数やヘラクレス指数は昨年1月の最高値からそれぞれ78%、75%売り込まれてから戻してきたばかりであり、最高値に比較した株価水準はともに30%にすぎません。世界で最も出遅れている市場は日本の新興市場との声もあるだけに、ここは2番底形成から一段高へ向かう局面と捉えるべきではないでしょうか。
2007年11月12日号
米国市場の動揺が響く
先週の東京市場は急激な下げに見舞われました。日経平均株価は5営業日中5日下げる展開。先々週金曜日から6日連続で下げが続く結果となってしまいました。6日連続安は昨年6月以来1年半ぶり。週間の下落幅は937円(5.7%)。6日続落分では1287円(7.6%)下げたことになります。
急落の原因は米国株の動揺。サブプライムローンにからむ損失拡大から米欧金融機関の債務悪化が指摘され、信用収縮懸念が再び台頭。住宅価格は下げ止まらず、サブプライム関連の損失がどこまで膨らむか分からなくなり、米金融・株式市場では損失の底が見えない恐怖に襲われています。かつて日本が経験したことと同じ状態に陥っているわけです。
こうした中、原油価格が過去最高値を更新し、穀物価格が急騰したりとインフレ懸念も台頭。米景気の減速懸念から外為市場で「ドル離れ」の動きが鮮明になっていることも市場の不安感を増幅する結果になっています。ただバブル崩壊後の日本と違い金融当局や各金融機関が早めの損失処理に動き出しており、年内の決算で各金融機関の損失が確定すれば悪材料出尽くしとなる可能性は充分あります。
新興市場は下げ渋りの展開に
今回の急落で日経平均は8/17の年初来安値15273円に接近してきました。先週末のCME日経平均先物が15260円(大証終値比290円安)で終わっており、今週どういう相場になるか非常に重要になってきました。15273円を下回るようであれば再び下値模索の展開になる可能性も考えなければなりません。ただ騰落レシオが72.6%まで低下していることから急反発に転じる可能性も否定は出来ません。
とはいえ最近の東京市場は弱さが目立ちます。サブプライム問題に対応した米FRBの金利引き下げで米国株が急伸したときも、世界市場では日本株だけが取り残される格好になっていました。もしかしたら03年4月から始まった大上昇相場が終わった可能性も考えられます。TOPIXの月足チャートが3ヶ月連続で24ヶ月線を下回っていますが、こうした形は2000年以降ではITバブルが崩壊した00年10月以降、始めてのケースです。まだ可能性だけとしかいえませんが、注意していた方がいいでしょう。
堅調に推移していたマザーズ指数とヘラクレス指数もここへ来て急落しています。しかしこれらについては弱気の見方をする必要はないと考えます。両指数ともこれまでの上げが異常だったのです。とりわけマザーズ指数の上げは強烈で、わずか1ヶ月強で6割近くも上昇しました。その調整が暴力的に来たと云えなくもありません。
マザーズ指数は9/18の安値から10/30の高値までの上げ幅の半値押し水準(798ポイント前後)に近い806ポイントまで売られてから、ヘラクレス指数も上げ幅の半値押し水準(1252ポイント前後)の1240ポイントまで売られてからそれぞれ下げ渋る動きに変わっています。マザーズ指数やヘラクレス指数は昨年1月の最高値からそれぞれ78%、75%売り込まれてから戻してきたばかりであり、最高値に比較した株価水準も前者が29%、後者が30%にすぎません。今年2月26日時点でTOPIXが過去最高値の63%まで戻していることから見ても、上値余地は充分あると考えられます。
2007年11月5日号
新興市場は戻り局面に
東京市場は方向感の欠けた動きが続いています。先週は1日に米国株が急落したことを受けて日経平均が2日に352円安と急落、週間を通した上下幅はプラス12円となりました。海外市場に左右されて上がったり下がったりしながら、そこで漂っているといった感じです。国内にこれといった買い手掛かり材料がないうえに、外国人頼みの相場展開になっているのが原因でしょう。売買代金も3兆円を大きく下回った状態が続いています。
これとは対照的に新興市場には活気が戻りつつあります。ジャスダック、マザーズ、ヘラクレスの3市場合計の売買代金は連日1000億円を上回り、2000億円台に乗せる日もみられるようになりました。底入れムードが広がり、これまでとは相場付きが大きく変わっています。
先週末の株価は9月の最安値からマザーズ指数が51%、ヘラクレス指数が31%それぞれ上昇したところにあります。これは驚異的な上げともいえる数値ですが、この大暴騰ともいえる上昇に対して投資家の多くはまだ懐疑的な見方を崩していません。しかし当社はこれは買われすぎではなく、売られすぎの反動と考えます。この株価水準でもマザーズ指数、ヘラクレス指数ともライブドア・ショック前の昨年1月高値の33%の水準に過ぎません。
最高値からの最安値までの下落率はマザーズ指数が78%でヘラクレス指数が75%。これはTOPIXがバブル時の最高値から03年3月の最安値まで73%下げた下落率をも上回る下げです。先週末のTOPIXが最安値から2倍強上昇し、過去最高値の55%まで戻していることからみても買われ過ぎとはいえません。年初来高値を付けた2/26時点で見た場合、戻りは63%にもなっています。米ウォールストリート・ジャーナル誌が日本の新興市場は漸く底を入れたと報道したように、戻りに入ったと見るのが正解でしょう。内容のいいものまで一緒くたに売られたこれまでが異常だったと思います。
売られすぎの中小型株が狙い目
サブプライム問題を抱え米国株が不安定な動きをしていることもあって、今後も東京市場は方向感のない動きが続くと思われます。懸念されるサブプライム問題についてはマーケットはかなり織り込んでいます。いま問題になっているのはサブプライム絡みの「個別企業」の損失であり、8月頃とはその内容が異なっています。現時点では特定企業の巨額損失報道で米国株が売られたとしても、マーケットはすぐ落ち着きを取り戻すと考えた方がいいかもしれません。
米欧市場が不安定なこともあって外国人の日本株買いにははっきりした傾向は見られません。市場が落ち着きを取り戻し、欧米投資家の投資心理が改善するまでは外国人のまとまった買いは入らないと見たほうがいいと思います。
こうした中では中小型株などを狙うのが賢明。1部市場は基本的には手詰まり状態で物色難の様相を呈しているため、物色対象となるのは回復色を強めている新興銘柄などでしょう。ただ底値から大きく上昇している銘柄も多くなっており、深追いは禁物。大きく上がったものは押し目を待つ、この戦術が最適ではないかと思われます。また決算発表の本格化を受け好業績銘柄を見直す動きも活発になっています。物色の基本は好業績銘柄と売られすぎ銘柄、これに尽きるのではないでしょうか。
2007年10月29日号
新興市場には活気が戻る
東京市場は方向感のない動きになっています。先週は米国株の急落もあり日経平均株価は1週間で309円(1.8%)下落しましたが、急落したところで上げ下げをしながら漂っているといった感じです。国内に買い手掛かり材料がないうえに、外国人頼みの相場展開になっているのが原因でしょう。売買代金も活況の目安とされる3億円を大きく下回った状態が続いています。
これとは対照的に新興市場には活気が戻りつつあります。ジャスダック、マザーズ、ヘラクレスの3市場合計の売買代金は連日1000億円を上回り、2000億円の大台に乗せる日もみられるようになりました。底入れムードが広がってきたことで個人投資家の商いが活発になっています。外国人も買いを入れており、これまでとは相場付きが完全に変わっています。
先週末の株価は9/18の最安値からマザーズ指数が50%、ヘラクレス指数が33%それぞれ上昇したところにあります。約1ヶ月でこれだけ上昇したことは驚異的ですが、問題はこの大暴騰ともいえる上昇をどう捉えるかでしょう。当社はこれは買われすぎではなく、売られすぎの反動と考えています。この株価水準でもマザーズ指数はライブドア・ショック前の昨年1月高値の33.2%の水準にすぎず、ヘラクレス指数も昨年1月高値の33.3%の水準に過ぎません。
最高値からの最安値までの下落率はマザーズ指数が77.9%、ヘラクレス指数が75.1%にもなっていました。これは大証修正平均株価(日経平均には連続性がないため代用)の66.6%(90年1月4日高値→02年12月19日安値まで)をも上回る下落率です。先週末の大証修正平均株価(30973円)が最安値から2.36倍上昇しバブル時のピークの78.6%の水準にあることから考えても割高ではありません。米ウォールストリート・ジャーナル紙が日本の新興市場は漸く底を入れたと報道したように、戻りに入ったと見るのが正解でしょう。内容のいいものまで一緒くたに売られたこれまでが異常だったと思います。
物色の基本は売られすぎ銘柄
米国株相場が不安定な動きをしていることもあって、外国人の日本株買いにははっきりした傾向は見られません。世界的な信用収縮懸念などを嫌気して日本株売りが続いていたかと思えば、9月第4週からは買い越しに転じ、そして先々週には大幅な売り越しとなっています。欧米株の動向などによって売り買いが変わっている感じです。サブプライムローン問題で米国景気の先行き懸念が出ているうえに原油高などでインフレ懸念も台頭、安全資産へのシフトを進めているとの見方も出ています。欧米市場の投資心理が改善するまでは、外国人のまとまった買いは入らないと見たほうがいいのかもしれません。
こうした中では、省資源型の中小型株などを狙うのが賢明。地合いが好転しているとはいえ1部市場は基本的には物色難の様相を呈しているため、物色対象となるのは回復色を鮮明にしている新興銘柄などでしょう。ただ銘柄によっては底値からの戻りも大きくなっていますので深追いは慎んだ方がいいでしょう。大きく上がったものは押し目を待つ、この戦術が最適ではないかと思います。また9月中間決算企業の決算発表本格化を受け、好業績銘柄を見直す動きも活発になっています。物色の基本は好業績の売られすぎ銘柄、これに尽きるのではないでしょうか。












