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2009年1月19日号
米国株の不振が市場の雰囲気を悪化させる
年明け以降、順調な動きが続くかに見えた東京市場ですが、軟調な米国株を受け冴えない動きになってきました。日経平均は昨年12/2の7863円を起点に順調な戻りを見せ、1/7には9239円まで1376円(17.5%)上昇しましたが、その後の5日間で1215円、上げ幅の9割近くを失ってしまいました。「往って来い」になってしまいましたが、特段の悪材料が出て下げているわけではありません。円相場が1ドル=90円台を割り込んできたことが響いている面もありますが、米国株の不振が市場の雰囲気を悪くしている感じです。
米国株は今年に入って1/14まで6日連続安となりました。雇用環境の急激な悪化や小売売上高の減少など予想を上回る景気の落ち込みで業績悪化懸念が高まり、買いが入りにくい状況になっています。日本株は昨年9月以降、米国の写真相場の様相を強めており、自律的な動きがほとんど出来ていません。
日経平均のチャートとNYダウのチャートはほとんど同じで、特に週足チャートはどちらがどの指標か分からないほど似た形になっています。米国経済が底入れしない限り日本経済も底入れしいないと考えているかのような動きになっていますが、これは東京市場の売買高の6~7割を外国人が占めていることに起因するものでしょう。東京市場は米国市場より先に下落し、26年前の下げ余地のない水準まで下げているだけに、同じチャートでも下値の固さは違うと思います。
下値は固く、押した場面は格好の買い場
実体経済が世界的に悪化してくるのはこれからですが、株式市場は実体経済に半年から1年ほど先行して動きますから、いまのマーケットは想定される悪材料はほとんど織り込んでいると思われます。米国株の動きを見ても昨年10月以降、14週連続で下げ渋る動きになっており、底割れするような状況にはありません。年末からの「オバマ・ラリー」は息切れ気味になっていますが、オバマ新政権への期待が急速に剥げ落ちることはないと思います。当面は総額が9000億~1兆ドルまで膨れる可能性がある米景気法案などが株価を支えることになるのではないでしょうか。
10-12月期の決算発表が迫り東京市場は動きにくい状況になっていますが、日経平均は大底圏で14週連続で下げ渋る動きになっており、チャート的にはいつ反転してもおかしくない形になっています。米国同様、想定される悪材料はほとんど織り込んでいるとみられるので、反転しないのはきっかけが掴めないからではないでしょうか。
日本株は米国株よりも下値は固いと考えられますので、押した場面があったら格好の買い場でしょう。下げ余地のないところまで下げている銘柄が大部分を占めるとみられるだけに、好業績を発表した銘柄の中には予想以上に上昇するものも出てくるでしょう。業績回復の見込みのない輸出関連セクターは反発力に問題があると見られるため、投資の対象からは外したほうが賢明でしょう。当面は上がった売り、下がったら買いスタンスがいいと考えます。
2009年1月13日号
相場の雰囲気が好転
年明け以降、相場はいい動きに変わってきました。米国株の下落もあって8、9日と下落しましたが、相場の雰囲気は随分と変わったように思います。9日の米雇用統計が記録的な悪化を見せるのではとの懸念もありましたが、発表を受けた9日の米国株は下げはしたものの、急落というほどではありませんでした。
12月の米雇用統計で非農業部門の雇用者数は11月の58万4000人に続いて前月比52万4000人の大幅減となりました。年間ベースでは258万9000人の減少で、第2次世界大戦が終わった1945年(275万人減)に次ぐ大幅な減少。失業率も7.2%と前月から0.4ポイント上昇、16年ぶりの高水準になっています。NYダウはこれを受け143ドル(1.64%)安、ナスダック指数は45ポイント(2.81%)安と大きく下落しましたが、市場の一部では雇用者の減少がより大幅なものになるとの見方もあったため、懸念されたほどの下げにはなっていません。
米国の未曾有の雇用減は消費の一段の冷え込みにつながり株価の重しになっていますが、ここは弱気になるところではありません。世界経済が悪化してくるのはこれからですが、株式市場は実体経済に半年から1年先行して動いていますから、想定される悪材料はほとんど織り込んでいます。米国株の動きを見ても昨年10月以降13週連続で下げ渋る動きになっており、底割れするような状況にはありません。
当面は上がったら売り、下がったら買いのスタンスで
相場の雰囲気が良くなってきたとはいえ、東京市場は一段高が見込めるような状況ではありません。買い手掛かり材料がないからですが、かといって下にも行きにくい状態で、いわば低いレベルで均衡を保っているといった動きです。チャートをみれば日経平均もNYダウもナスダック指数もほとんど同じような動きになっており、週足チャートはどちらがどの指標か分からないほど似た形になっています。
日経平均はNYダウと同様、13連続下げ渋る動きになっており、チャート的にはいつ反転してもおかしくない形になっています。米国同様、想定される悪材料はほとんど織り込んでいるとみられるので、一段高しないのはきっかけが掴めないだけではないかと思います。
経営危機に陥っている米GMとクライスラーの経営危機は米政府の支援でひとまず回避されましたが、今後の行方を占う再建策は2月下旬までに両社から提示されます。債務の大幅削減や労務コスト削減など踏み込んだ内容で再建の可能性が見えるものだったら、市場は好感する可能性大でしょう。それをきっかけに大幅高する可能性も充分考えられます。ただ、それまでは「もやもや」が残るため、米国株も大きくは動けないのではないでしょうか。
いまはオバマ次期米大統領への期待感が株価を支えている面もありますが、大統領就任後は材料出尽くしとなる可能性もあります。ビッグスリー問題にカタが付くまでは日米とも大きくは動けないと思われるため、当面は上がった売り、下がったら買いスタンスがいいと思います。
2008年12月22日号
東京市場は低いレベルで均衡を保った動き
先週の東京市場は外部環境に左右される不安定な動きでしたが、終わってみれば日経平均の上昇幅は353円(4.3%)。しっかりした動きでした。市場は悪材料に覆われ常識的に考えたら下げそうな雰囲気でしたが、それでも下げない、こういった感じの相場でした。
そうしたなか米国株の急伸にもあまり反応しないケースが多くなっています。16日に米FRBがFF金利の誘導目標を1.0%から0~0.25%に引き下げ事実上のゼロ金利と量的緩和の導入を発表したことを好感して米国株が急伸したときも、日経平均は44円高にとどまり反応した感じではありませんでした。24時間取引のGLOBEXの動きを見て米国市場の動きを予測して当日の株価が動くようになったからです。積極的な買い手がいないことがこうした相場の背景といっていいでしょう。
ただ東京市場が弱い動きかといえば必ずしもそうではありません。買い手掛かり材料がなく上に行きにくいのも事実ですが、かといって下にも行きにくい状態で、いわば低いレベルで均衡を保っているといった動きです。とはいえ均衡を保っているということは、懸念されている悪材料はほとんど織り込んでいることを意味します。となると後はなぜ上がらないかを考えれば解答は見つかるはずです。
ここは買いを考えるところ
今の米国市場で最大の焦点となっているのは経営危機に陥っているGMとクライスラーの救済問題ですが、これについてブッシュ大統領は19日、つなぎ融資を実施すると発表しました。つなぎ融資はGMに134億ドル、クライスラーに40億ドル。両社には債務の株式化などを通じて債務を大幅に削減するよう求めるほか、日系メーカーなどに対する「競争力のある賃金水準」を確立するため、労組側にも賃金カットなどを求める厳しい内容になっています。両社は一連の要求に沿った抜本的再建計画を来年3月末までに策定出来なかった場合、融資を返済しなければなりません。
金融危機で深刻化した米自動車大手の経営危機は今回の政府支援でひとまず回避しましたが、再建可能か否かの行方はオバマ次期政権に持ち越される形となりました。再建計画での最大の問題は労務コストの削減に全米自動車労組が譲歩するかです。譲歩して再建の可能性がみえたら市場は好感するでしょう。それまでは破綻は回避されたとはいえ「もやもや」が残るため、米国株が大きく反転する可能性は乏しいと考えなければなりません。
前にも書きましたように東京市場は低いレベルで均衡状態を保っています。急落したあと10週以上に亘って下げ渋る動きが続いているといっていいかもしれません。いまの相場は日足、週足、月足からみていつ反転してもおかしくない形になっていますが、上がるためのきっかけが見付からない状態ではないかと思います。
株価急落の主因となった外国人の換金売りが一巡しているうえ、裁定買い残が5898億円と今年5月のピーク(3兆1383億円)の5分の1以下の水準まで減少するなど需給面からも売りは出にくい状況になっています。世界経済が悪化してくるのはこれからですが、株式市場は実体経済に半年から1年先行して動きますから、ここは買いを考えるときだと考えます。
かつて経験したことのない速さで世界景気が落ち込んでいるため、来年7-9月期から日・米のGDPは回復に転じるとの予測も相次いでいます。これまで出てきたネガティブな材料を上回る悪材料が乏しいことから考えても、ここは買いに分があると判断します。米国景気や為替の影響を受けにくい売られすぎの内需関連などが狙い目でしょう。外国人がクリスマス休暇入りするため、今週は材料株物色が鮮明になる可能性もあります。なお投資戦略レポートは今年はこれが最後となります。来年は1月13日号からとなります。
2008年12月15日号
全米自動車労組の対応が焦点に
日経平均は先週、順調に戻し、9000円台回復も視野に入っていたのですが、12日の午後から流れが一変してしまいました。後場の取引が開始された直後に米ビッグスリーの「救済法案の修正協議が決裂」とのニュースが伝わり、市場心理が暗転、ショック安となったからです。法案決裂のニュースを受け円相場は一時1ドル=88円台まで上昇。日経平均も下げ幅を633円まで広げる場面がありました。その後、日経平均は下げ幅を縮小し、終値は484円安の8235円となりましたが、9000円台回復もと高まりつつあった反騰期待は裏切られる形となりました。
それまでは世界各国の景気対策への期待やビッグスリーの救済法案成立を見越して11日までの4日間で803円(10%)も上昇していただけに、当面はビッグスリー救済問題の行方や為替相場の動向が投資家心理を左右することになりそうです。
ビッグスリーの救済を巡る協議は二転三転の末、一夜明けた12日、米政府が金融安定化法の活用を軸に検討すると声明を発表しました。安定化法基づく7000億ドルの公的資金でつなぎ融資を実施、目先の経営破綻を回避するとしています。ただこれが実現しても一時的な措置で、ビッグスリー救済を巡る不透明感が払拭されるわけではありません。
今後、焦点となってくるのは高コスト体質是正のカギを握る全米自動車労組(UAW)がどこまで譲歩してくるかという点。米上院共和党側は工場従業員の労務費を来年までにトヨタなど在米自動車メーカー並みの水準に引き下げることを要求。これをUAWが拒否したため上院での民主・共和両党協議が決裂したと報じられています。ビッグスリーが破綻したら米国経済が未曾有の危機に陥るため最終的には救済すると考えますが、同問題は政治マターのため予断は出来ません。
三角保ち合い放れの動きが復活する公算も
12日のNYダウは大幅安で始まり一時210ドル超下げる場面がありましたが、終値は前日比64ドル高。ナスダック指数も32ポイント高で引けました。政府が金融安定化法に基づく融資を検討、年内の資金繰りを支えると表明したことが好感されました。本格的な救済策が実現するかは不透明なものの、ビッグスリー救済を巡る問題は今回の動揺でかなり織り込まれたのではないでしょうか。米国株は10月上旬に大きく下げた後、2ヶ月以上に亘って底割れしそうで底割れしない動きが続いています。ネガティブな材料が出ても株価が下げないということはそれを消化したことにほかなりません。
日本株も同じ動きが続いています。日経平均は先週末、大きく下げましたが、三角保ち合いを上放れてきた流れが崩れたわけではありません。先週末の下げは12日の米国株が大きく下落すると見越した下げでしたから、15日の東京市場が反動高で大幅高となったら、三角保ち合い放れの動きが復活するはずです。
10月までの株価急落の主因となった外国人の換金売りも一巡しているうえ、12/5の裁定買い残が5321億円と今年5月のピーク(3兆1383億円)の5分の1以下の水準まで減少するなど、需給面でも売りが出にくい状況になっています。世界経済が悪化してくるのはこれからですが、株式市場は実体経済に半年から1年先行して動きますから、ここは弱気になるところではありません。これまで出てきた以上の悪材料が相次ぐ可能性が乏しいこと、来年12月までに世界経済が底を入れると考えると、ここは買いを考えるところだと思います。
2008年12月8日号
米国株はきっかけ待ちか
東京市場は方向感のない動きが続いています。先月までの不安定な状況からは抜け出しつつありますが、売買代金が18日連続で2兆円を割り込む薄商いが続き、積極的な買い手が不在であることが鮮明になっています。日本株は売られすぎとの見方が大勢を占めていますが積極的に買い上げる材料もない、こんな見方から上にも下にも大きく動けない状態になっています。
この背景には米国景気が急速に悪化していることがあります。前週号でも書きましたが、①10月の住宅価格指数が過去最大の下落率になったほか、②10月の新築住宅販売が18年ぶりの水準まで落ち込んだ、③10月の耐久財受注が前月比6.2%減と3ヶ月連続のマイナスになった、④個人消費支出も前月比1.0%減と4ヵ月連続のマイナスとなり7年ぶりの大幅な落ち込みを記録したなどあげればきりがありません。
2日発表した11月の米新車販売台数も前年同月比37%減と過去最大の落ち込み記録、5日発表した雇用統計でも、非農業部門の雇用者数が前月比53万3000人減少し、第1次石油危機で景気が急速に悪化した1974年12月以来、34年ぶりの大幅な落ち込みとなっています。
先週は11月の雇用統計がどの程度悪化するか投資家が固唾を呑んで見守っていたなか、ビッグスリー救済を巡る議会の公聴会も開かれ、日米とも投資家はリスクを取りにくい状態だったと思います。シティグループへの再度の資本注入やFRBが新たに打ち出した最大8000億ドルの追加金融対策もあってマーケットの焦点は景気問題に移っていますが、こうした状況下で予想以上に悪い雇用統計が発表されても米国株は下げなくなっています。5日のNYダウは一時250ドル以上安くなる場面がありましたが、引けは259ドル(3.1%)高。ナスダック指数も63ポイント(4.4%)高と大きく反発しています。ネガティブな材料が溢れている中で下げなくなったということは株価が悪材料を織り込んだということではないでしょうか。
米国株(S&P500)は昨年10月の高値から1年以上下げ続け、11月にはピーク時の47%の水準に沈んでしまいましたが、未だ反発らしい反発はありません。きっかけがないからかもしれません。実態悪の確認は「陽転」の始まりとも云われます。いまマーケットの重しになっているのはビッグスリー救済の行方ですから、週明けの救済策採決がマーケットの期待しているような形で決着したら、それが起爆剤となって反発する可能性は充分ある、こうみることも可能でしょう。
東京市場は三角保ち合いが次第に煮詰まる
実体経済が悪化してくるのはこれからですから日本株の先行きを悲観的にみる人もいますが、実体経済と株式市場は別物です。株式相場は実体経済に半年から1年ほど先行して動きますから、いま起こっている悪材料はずっと前に「・・・懸念」として株価にはすでに織り込まれています。
日経平均が下げに転じたのは昨年7月からですが、TOPIXは昨年2月の1816ポイントを高値に下げに転じています。GDP成長率が4-6月期から2期連続でマイナスに転じるなど国内でも景気が急速に悪化して来ていますが、株価はこれを織り込んで1年近く前から下げているわけです。従ってここは弱気になるところではありません。
株価急落の主因となった外国人の換金売りが一巡しつつあるうえ、11/28の裁定買い残が6812億円と今年5月のピーク(3兆1383億円)のほぼ5分の1の水準まで縮小するなど、需給面でも売りが出づらい状況になっています。これまで出てきた以上の一段安を誘うような悪材料が相次ぐ可能性が乏しいこと、来年12月までに世界経済が底を入れると考えると、ここは買いを考えるところだと思います。日経平均チャートも10/28の安値と11/5の高値を起点とした三角保ち合いを形成、次第に煮詰まりつつあります。
2008年12月1日号
米国株は最悪期脱出の機運も
東京市場は今週から名実ともに12月相場入りします。相場には方向感は感じられませんが、これまでのような不安定な状況からは抜け出しつつありますので、米国株の状況次第では上値を取ってくる可能性も充分考えられます。売買代金が2兆円に届かない日が続いており盛り上がりには欠けますが、相場付きは徐々に良くなっているように思います。
米国株は28日も上昇し5日続伸となりました。5日続伸するのは2007年7月以来、1年4ヶ月ぶり。注目されるのは悪材料を乗り越えての上昇であるという点。①10月の「S&Pケース・シラー住宅価格指数」が過去最大の下落率になったほか、②10月の新築住宅販売が18年ぶりの水準まで落ち込んだ、③10月の耐久財受注が前月比6.2%減と3ヶ月連続のマイナスになった、④10月の個人消費支出が前月比1.0%減と4ヵ月連続のマイナスとなり、01年9月以来、7年ぶりの大幅な落ち込みを記録したなど挙げればきりがありません。
景況感の悪化を裏付ける指標が相次いでいるだけでなく、ビッグスリーの救済について米議会が結論を先送りするなどネガティブな材料が溢れているなかでも下げなくなったのです。米国株(S&P500)は昨年10月の高値から1年以上下げ続け、ピーク時の48%まで沈んでしまいましたが、反発らしい反発は未だありません。実態悪の確認は陽転の始まりとも言われますので、米国株は最悪期を脱しつつあるとも考えられます。オバマ次期米大統領が創設する経済回復諮問委員会(委員長はボルカー元FRB議長)やFRBが打ち出した総額8000億ドルにのぼる追加金融対策の実効を先取る動きが広がるようだと最悪期脱出機運はさらに広がってきます。
ここは買いを考えるところ
実体経済がこれから悪化してくるので日本株の先行きを悲観的にみる人もいますが、実体経済と株式市場は基本的には違います。株式相場は実体経済に半年から1年ほど先行しますから、いま起こっている悪材料はずっと前に「・・・懸念」として織り込まれています。
日経平均が下げに転じたのは米国株より早い昨年7月からですが、TOPIXは昨年2月の1816ポイントを高値に下げに転じています。鉱工業生産指数が今年1月からマイナスに転じるなど国内では景気後退色が強まっていますが、これを見越し株価は1年近く前から下落しているわけです。従ってここで弱気になっては負けてしまいます。現に悪材料が相次いでいるにもかかわらず日経平均は11/27に付けた安値を割り込んでいません。
株価急落の主因となった外国人の換金売りが一巡しつつあるうえ、11/21の裁定買い残が6895億円と今年5月のピークのほぼ5分の1の水準まで縮小するなど、需給面でも売り物が出づらい状況になっています。これまで出てきた以上の悪材料が相次ぐ可能性は乏しいこと、来年10~12月までに世界経済が底を入れると考えると、ここは買いを考えるところでしょう。株価が一段と上値を追っていく状況ではありませんので、当面は下がったら買い、上がったら売りのスタンスでいいのではないかと思います。
2008年11月25日号
東京市場はいつ反発しておかしくない水準に
東京市場の不安定な動きは依然変わっていません。先行き不透明感が強く、日々の材料で市場心理が強弱どちらかに振れる傾向が顕著になり、上がれば買いが、下がれば売りが膨らみやすい構図になっています。売買代金が減少しているためわずかな売買でも一方向に振れやすくなる相場になっています。
東京市場は基本的には売られすぎ状態にあると思われますが、その割には動きが芳しくありません。それゆえ一段安があるのではとの悲観的な見方も増えて来ていますが、いまの相場を上げすぎの修正と捉えたら先行きについては自分なりのしっかりした見方が出来るのではないかと思います。
日経平均が7162円(10/27)の安値を付ける過程はまさに「強烈な売られすぎ」相場でした。その修正が10/28から11/5までありました。期間はわずか6営業日ですが、その間に日経平均は2359円、32.9%も上昇しました。28日前場に付けたザラバ安値6994円を基準にすると上昇率は36.1%にもなります。これは「猛烈な上昇」にほかなりません。指数が3割以上上昇したら普通は大上昇相場といえますが、これを6営業日で達成したのです。
いまはその急上昇相場の修正、つまり調整局面と考えられます。その見方に立てば高値からの下落幅はすでに1818円(19.1%)。底値からの上昇幅の3分の2押し(7947円)以下の水準まで下げており、テクニカル的にはいつ反発してもおかしくはありません。先週末の上昇がその嚆矢となるか注目されるところです。
下がったら買い、上がったら売りで
とはいえ東京市場が独自の相場を形成していくことは困難。大幅反転するにはNY市場の落ち着きが必要となります。その米国市場は景気の冷え込みが鮮明になる中、ビッグスリーの支援法案が先送りされたり、大手金融機関の経営不安から金融市場の混迷が一段と深まるなど消化しきれない材料に揺さぶられる状態になっています。不安定な動きは東京市場と変わりありませんが、そうした問題も株価が高値から47%近く下落する過程でかなり織り込まれています。懸念材料は政治マターでもありますので、これが決着するまでは方向感のない不安定な相場が続くと考えなければなりません。
米国市場が急落したら東京市場はその影響を免れ得ない状況にありますが、例え下がったとしてもここからの下値はしれています。いまの東京市場はこれでもかこれもでかといわれるくらいの悪材料を織り込んでいます。一段安になるにはこれまでに報じられたもの以上の悪材料が必要となりますが、そうした悪材料がどんどん出て来るとも思えません。
世界経済が悪化してくるのはこれからですが、株式市場と実態経済は基本的には別物です。株式市場は実態経済に半年から1年ほど先行して動いていますから、ここで弱気になる必要はありません。来年10~12月までに世界経済が底を入れると考えると、ここは買いとなります。ただ市場が落ち着いていませんので、当面は下がったら買い、上がったら売りのスタンスでいいのではないかと思います。
2008年11月17日号
一方向に振れやすくなる相場に
東京市場の動揺は収まって来たように思いますが、不安定な状況は変わっていません。先行き不透明感が強く、日々の材料で市場心理が強弱どちらかに振れる傾向が顕著になっているためです。上がれば買いが増えるが、下げ出すと売りが膨らみやすい相場といったところでしょうか。売買代金が減少しているため、わずかな売買で一方向に振れやすくなる相場になっています。
日経新聞社が集計した上場企業の4-9月期連結経常利益は前年同期比20.5%減と予想以上の落ち込みになりました。原料高や円高に加え、国内外の需要が急速に冷え込んでいるため、下期の収益環境はさらに悪化する見通し。同社の集計では通期連結経常は24.8%減とさらに落ち込む見通しとなっています。こうした状況から業績面から買い上がれる環境ではありませんが、東京市場は基本的には売られすぎ状態にあるため、NY市場が反発するとそれを手掛かりに買いが増え上昇するという構図になっています。
ここは買いで臨むところ
いまの相場をどう捉えたらいいかは判断が分かれるところでしょうが、「上げすぎの修正」と考えたら分かりやすいのではないかと思います。日経平均が10/27に7162円の安値を付ける過程はまさに「強烈な売られすぎ」相場でした。その修正が10/28から11/5までありました。期間はわずか6営業日。その6営業日で日経平均は2359円、32.9%も上昇したのです。28日前場に付けたザラバ安値6994円を基準にすると上昇率は36.1%にもなります。よく考えたらこれは「猛烈な上昇」にほかなりません。指数が3割以上上昇したら普通、大上昇相場といえますが、これを6営業日で達成したわけです。
いまはその上げ相場の修正、つまり調整局面と考えられます。その見方に立てば高値からの下落幅は1283円(13.5%)。既に上昇幅の半値押し(8341円)以下の水準まで下げており、テクニカル的にはいつ反発してもおかしくはありません。先週末の上昇がそのスタートかとも思われたのですが、14日の米株市場でダウ平均が337ドル安、ナスダック指数が79ポイント安と急落しているため、8341円が守れるか注目されるところです。CMEの日経平均先物が大証終値比40円安の8440円終わっていますので気になるところです。
ただ基本的にはいまの株価は売られすぎ状態にあると考えられますので、例え下がったとしても日経平均の下値はしれています。リーマン・ブラザーズの破綻やAIGの実質破綻、米景況感の著しい悪化、トヨタの衝撃的な減額修正、米ビッグスリーの惨憺たる経営内容、株価はこうした悪材料を既に織り込んでいます。一段安になるにはさらなる衝撃的な悪材料が必要となりますが、そうした悪材料がどんどん出てくるとはとても思えません。下がったとしても3分の2押しの7947円程度ではないかと予想します。そうなればチャート上は2番底確認となり、先行きへの展望も開けてきます。
世界経済が悪化してくるのはこれからですが、実態経済と株式市場は基本的に違います。株式市場は実態経済に半年から1年ほど先行して動いていますから、ここで弱気になる必要はないと思います。いまは買いを考えるときでしょう。市場が落ち着いていませんので、当面は下がったら買い、上がったら売りのスタンスでいいのではないかと思います。
2008年11月10日号
投資家は不安心理を抱えまた疑心暗鬼状態
東京市場の動揺はまだ収まりません。先週は4日、5日と大幅高したので落ち着きを取り戻しつつあるのかとも思われたのですが、後半からの急落がそうした見方を砕いてしまいました。6日引け後、トヨタ自動車が衝撃的な下方修正を発表したため7日はトヨタ・ショックともいえる下げに見舞われ、日経平均は一時630円以上急落する場面もありました。公的資金と見られる買いが入り引けは戻して終わりましたが、ショキングな悪材料に過剰反応する不安定な状況はいまだ変わっていません。投資家は不安心理を抱えたまま疑心暗鬼の状態で相場に臨んでいる感じです。
ただトヨタ自動車が今期見込んでいた1兆6000億円の連結営業利益を6000億円に下方修正するほどの悪材料はそう出てくるものではありません。パニック的な売りが一巡したあと戻してきた7日の動きからも、マーケットは下がってきたら買おうという動きに変わりつつあるようにも思えます。
日経平均は10/28に7162円の安値を付けましたが、これは26年前の昭和57年10月以来の水準です。市場が不安定なため7162円が大底とはまだいえませんが、底値圏で繰り返された乱高下とその後の怒涛の上昇は底入れのシグナルと云えなくもありません。過去の経験則がまったく通じない「異常な」相場が続いていましたので、今回はある程度時間が経過し、市場心理が落ち着いてからでないと底を入れたかどうか判明しないのかもしれません。
下がったら買い、上がったら売りのスタンスで
いまの株式市場では金融危機は「今は昔」となり、景気問題が最大の焦点になっています。金融危機をきっかけに実体経済の悪化が深刻になり、業績不安から株価が売られる状態になっています。これに対しては-金融危機に対してもですが-世界各国が協調利下げと財政出動で下支えしようという動きになっています。いまの世界経済は100年に1度の危機とも言われていますが、過去の教訓を生かして世界各国が適切な対策を打ち出しているため、悲観的に考える必要はないと思います。
7日発表の米雇用統計は予想以上に悪い結果となりました。失業率は6.5%に上昇、非農業部門の雇用者数は24万人減少しましたが、同日のNYダウは逆に248ドル高と上昇しました。これまでの急落で業績悪化や雇用情勢の悪化は織り込まれていたからでしょう。米ビッグスリーの業績不振もすでに織り込まれています。米国株も昨年10月高値から42%強下げたあと下げ渋る動きに変わっているため、きっかけさえあれば大きなリバウンドもあり得ると考えた方がいいのではないかと思います。
東京市場では年金と個人投資家が新しい買い手として浮上しています。年金の買いは統計上、「信託銀行」に分類されますが、信託銀行の10月の買越額は1兆1887億円と1998年4月以来の水準に達しています。個人の買越額も9927億円と9月の4.7倍に急増。月間ベースでこれまでの最高だった90年3月(8842億円)を上回っています。年金や個人は相場の牽引役にはなりにくいものの、下値での買いが続けば市場の弱気ムードを和らげる効果はあります。
先週号でも触れましたが、「相場は悲観のなかで生まれ懐疑とともに育つ」と云われます。新しい動きはすでに始まっている可能性は充分あります。いまはマーケットが不安定でそのような兆しが感じられないだけかもしれません。
常識的にはこの水準から株価が一段安するとはとても思えません。従ってここからは買いを考えるべきでしょう。市場が落ち着いていませんので当面は下がったら買い、上がったら売りのスタンスでいいのではないかと思います。狙い目は好業績の売られすぎ銘柄、それも米国景気や為替の影響を受けない内需系がいいと考えます。
2008年11月4日号
異常な相場はまだ継続中
激動の動きが続いていた市場ですが、漸く落ち着きを見せ始めてきました。先月は1ヶ月間で日経平均が2682円も下げる過去最大の月間下落率(23.8%)を記録してしまいました。過去の経験則がまったく通じない相場で、企業実態とは無関係にいいものも悪いものも一緒くたに売られる異常な動きが続きました。100年に1度の危機と喧伝されたため事態を深刻に見る投資家が増え、「異常」が常態化する異常な状態。それが市場の悲観にさらに拍車をかける相場だったように思います。
しかし東京市場は28日の後場から怒涛の上げをみせました。日経平均の上昇幅は28日が459円、29日が589円、30日が817円。3日間の上昇幅は1867円で上昇率は26.1%にも達しました。これもまた記録的な上昇で、異常な動きは未だ終わってはいません。31日には日銀の利下げが市場予想を下回る0.20%にとどまったことや3連休を控えたポジション調整の売りなどから大引け間際に下げが加速、5%も急落する凄い下げになってしまいました。ただこれについては思惑が外れて最後まで売り損ねていた買い方が持ち高を一斉に手放したことが原因と日経紙が伝えており、そう気にする必要はないと思います。その後取引が行われたCMEの日経平均先物は大証終値比485円高の8935円で取引を終えています。
相場は悲観のなかで生まれ懐疑とともに育つ
市場がまだ不安定な状態なため日経平均が10/27の7162円で大底を入れたとはまだいえませんが、大底圏で繰り返された株価の乱高下、その後の記録的な上昇は底を入れたシグナルと云えなくもありません。日経平均は28日には7000円台を割り込み6994円まで下げる場面がありましたが、これは26年前の1982年10月6日以来の水準です。
26年前は直前の10月1日の6849円で81年8月からの下げ相場にピリオドを打ち、反騰相場に転じました。同年11月には中曽根内閣が発足。その後、調整を挟みながらバブル時の89年12月末の38915円まで7年に亘って大相場が続いたわけですが、その出発点が82年10月1日の6849円だったのです。日経平均はまさか割ることはないと思っていたバブル崩壊後の安値(7607円)を下抜け、その出発点まで戻ったことで、足かけ26年間の相場を「ご破算」にし、「往って来い」にしてしまったのです。
「相場は悲観のなかで生まれ懐疑とともに育つ」と云われますが、新しい動きはすでに始まっているのではないでしょうか。あるいは芽吹きつつあるのかもしれません。これまでの暴力的な下げで考えられる悪材料はすべて織り込んだはずです。いまはマーケットが不安定でそのような気配が感じられないだけかもしれません。
この水準から株価が一段安するとはとても思えません。好業績の売られすぎ銘柄などが狙い目ではないかと考えます。
2008年10月27日号
買い物が入らないなかを落ちていく異常な相場
先週も激動の1週間でした。先々週の17日に続いて20、21日と順調に戻しつつあったのですが、22日から流れが一変。日経平均は22日が631円(6.8%)安、22日が213円(2.5%)安、24日が811円(9.6%)安と立て続けに急落、2003年4月に付けたバブル崩壊後の安値(7607円)まであと42円の水準まで下落してしまいました。過去の経験則がまったく通じない異常な相場で、企業の実態とは無関係にいいものも悪いものも一緒くたに売られる相場が続きました。世界的な景気後退懸念が投資家心理を萎縮させ、買い物が入らないなかを株価が落ちていくような下げで、まさに異常な1週間だったと思います。
今月に入ってからの日経平均の下落率は実に32.1%。6月の年初来高値からは47.2%にもなります。わずか4ヵ月半で株価が半値になった計算です。バブル崩壊後の03年4月28日を起点に始まった今回の大上昇相場は4年3ヶ月をかけて2.4倍の18261円(07年7月9日)まで上がり、1年3ヶ月近くをかけて元の水準まで戻ったことになります。
5年前の03年4月ごろは日本の金融システムが崩壊するとか日本経済が崩壊するとまで言われていました。そのときの水準までなぜ株価が下がってしまったのか、その説明を納得できるような形で解説できる人はいないでしょう。日本経済はすでに景気後退局面に入っていますが、米欧諸国のように金融システムが揺らいでいるわけではなく、経済のファンダメンタルズも米欧諸国よりはいいはずなのに、最もひどい株価下落に見舞われ、しかも底が見えない異例の動きとなっているのです。
政府が株価対策に乗り出す
しかしここへ来て政府が動いてきました。これ以上、株価下落を放置すれば日本の金融システムが再び動揺しかねず、景気にも重大な悪影響を及ぼしかねないとの危機感からです。週明けにも緊急市場安定化策を公表するとしていますが、検討中の原案は「株式買い取り」、「金融機関への資本注入」、「会計制度の見直し」、「空売り規制」、「その他」の5つで構成されるとのことです。
このうち即効性のある「株式買い取り」については必要な法改正をしたうえで、銀行等保有株式買取機構による銀行保有株の買取を再開するほか、日銀にも銀行の保有株の買い取り再開を要請する考え。「空売り規制」については、株を保有しないまま売り注文を出す空売り規制を一段と強めるほか、取引所が公表している空売り情報の開示を一段と拡充することを検討。特定のヘッジファンドなどが過剰な空売りをかけているかどうかを市場参加者に広く認識できるようにするとしています。
「金融機関への資本注入」については2兆円の公的資金枠を用意した金融機能強化法改正案をすでに国会に提出済みですが、さらに公的資金枠を大幅に増額することを検討しています。「会計制度の見直し」は市場の混乱が金融機関の経営に与える影響を食い止めようというもの。具体的には有価証券の保有区分について、時価評価が義務付けられる「売買目的」から簿価評価が許される「満期保有」に柔軟に振り替えられるようにし、時価会計を事実上凍結するもの。
これらの対策が打ち出されたら保有株式の含み損拡大苦しむ大手生保や地方銀行も一息つけるため、市場の不安感はある程度払拭される可能性があります。ただ前にも触れたように今回の下げは異常です。売り物が殺到して下げているというよりは買い物が入らず下げているという形の下げで、これまでの暴落とはその内容を異にしています。底入れのきっかけさえ見つかれば買い需要はあるとは思いますが、いまはそのきっかけが見い出せない、そんな感じなのではないでしょうか。
2008年10月20日号
市場の焦点は金融危機から景気問題に
先週も激動の1週間でした。14日に日経平均が史上2番目の上昇率を記録したと思ったら16日には一転して1089円(11.4%)安の歴代2番目の下落率を記録するなどかつてない激しい動きに見舞われました。先々週までの売りが売りを呼ぶパニック的な相場からは抜け出してはいますが、底値が見えてこない状況から市場の先行き不安は高まったままになっています。
金融危機克服に向けた米欧政府の公的資金注入や銀行間取引に対する政府保証、預金保護などが決まったことで市場を覆っていた金融危機は大きなヤマを越えたと思います。証券化商品などを時価で評価する時価会計の適用を一部凍結する緊急措置も採られると伝えられており、同問題は解決に向けて動き出したといっていいでしょう。
それはマーケットの焦点が間髪を入れずに景気問題に移ってきたことからも明らかだと思います。いずれ解決されると踏んでいるため、マーケットの目が次の懸念材料に向かってきただけですから。今回は金融危機の悪影響が実体経済に現れる形になるため、米国の景気後退はこれまでの後退局面より深刻なものになり長引く可能性があるとの不安から、米国株も動揺しているのだと考えられます。
いまの世界経済を100年に1度の危機といっている向きもありますが、それは先を読んでいないからでしょう。政策当局が何もしなければ確かに危機ですが、1929年のNYダウの暴落から起こった世界恐慌の教訓や1990年代の日本のバブル処理の経験が活かされようとしているのです。何をしなければならないか、何をやったらダメか政策当局は分かっているはずです。
2008年10月14日号
米国でも公的資本注入を表明
金融危機の広がりから激震に見舞われた1週間でした。リスク資産を持つことの恐怖感から株式を手放す動きが殺到、週末にかけてはまさに売りが売りを呼ぶ相場展開で、過去の経験則がまったく通じない恐慌状態に陥ってしまいました。5営業日すべてが下げる展開で、8日に日経平均が歴代3位となる9.3%の下落率を記録した後の10日にはそれをさらに上回る9.6%の下落率を記録する凄まじい下げで、日経平均の終値は03年5月28日以来の安値に沈んでしまいました。週間の下落率は実に24.3%(下落幅は2662円)、歴史に残る下げだったと思います。
米金融安定化法が成立したもののその実効性に対する懸念や、金融危機をきっかけとした米国の景気後退懸念の高まりが今回の世界的な金融・株式市場の動揺を招来したといっていいでしょう。危機の連鎖が世界規模で広がっていますが、米国に次いでサブプライム問題の影響が大きい欧州ではここへ来て抜本的な手が打たれ始めています。英国が危機克服に向け大手行に資本を注入すると発表したほか、独仏伊も資本注入や包括的な金融危機対策を導入するなど安全網整備に動き出しています。不動産バブルが弾けたスペインでも銀行の貸し渋りに備え基金を創設し、信用収縮を抑えるとの対策を発表しています。
米国の金融安定化法には「財務長官が必要と認めた場合はいかなる金融商品でも購入できる」との規定が盛り込まれていますが、自己資本が毀損した金融機関に米国が公的資金を投入すると明確に表明していなかったことがここまで事態を悪化させたとも云われています。ただそれについては米時間10日に、ブッシュ大統領やG7終了後のポールソン財務長官が必要に応じて金融機関の株式を買い取る公的資金注入計画を策定していると表明しました。今後は徐々にいい方向に変わってくるのではないかと思います。
2008年10月6日号
米金融安定化法案が成立
東京市場は先週も激動の一週間となりました。米金融安定化法案の成立を巡って米国市場が乱高下するのを見据えながらの動きという点は変わっていません。が、直前まで成立するとみられていた同法案が下院でよもやの否決にあったため、成立に必要とみられる修正条項を新たに加えた法案を急遽つくり直し、上院に提出して先に可決させたあと下院に送付して可決させようという目まぐるしい動きに振り回された一週間でもありました。同法案は米時間3日の午後可決され、ブッシュ大統領が署名して成立しました。
金融恐慌に発展するのをなんとしても阻止するとの強い決意から決まった総額7000億ドルの金融安定化法案でしたが、何とはなしに脱力感が感じられた一週間ではなかったかと思います。
大統領選挙や上下両院議員選挙を間近に控えていたこともあり、有権者の反発を和らげるため様々な条項が付け加えられました。経営者の報酬制限、監視機関の設置、株式引受権の取得などがその代表的なものですが、これにより利用に二の足を踏む金融機関が増えるのではとの懸念も高まっています。肝心の不良資産買い取り制度についても不完全との見方が強く、金融システムから不良資産を分離するという目的に沿った効果が上がるかは不透明な状態になっています。
日本でも不良資産売却で資本が毀損した金融機関へは公的資金の注入が必要でした。いずれは公的資金による資金注入などさらに踏み込んだ総合策を作り直す必要に迫られると思いますが、その場しのぎの個別救済に追われていたこれまでに比べれば大きな前進であることには違いありません。
2008年9月29日号
米金融安定化法案の成立にすべてがかかった状態に
先週の東京市場は米国の金融安定化法案成立を巡って米市場が一喜一憂するのをそのまま写したような動きでした。国内に手掛かり材料がなく、自立的な相場形成が出来なくなっているため仕方ない面もありますが、いまの市場は米国の金融安定化法案が成立するか否かにすべてがかかっているといっても過言ではない状態になっています。決まったら先行きへの展望が開ける可能性もありますが、成立しなかったら最悪の結果が待っていることになるはずです。
金融恐慌に発展するのを断固阻止するとの強い決意からまとめた総額7000億ドルの金融安定化法案でした。25日(米時間、以下同じ)午後には議会との修正協議もまとまり、26日には正式発表という予定になっていたのですが、それがどうなるか分からなくなったのです。
これまでに政府と議会が合意した安定化法案は①公的資金7000億ドルのうち2500億ドルの支出を直ちに容認する、②財務長官の要請に基づいて支出できる金額を1000億ドルとする、③残りの3000億ドルの支出については議会が拒否権を持つ、④新株引受権を取得し、経営が好転してきたときに株式転換できる権利を持つ、⑤公的資金の運用を監視する第三者機関を設置する、⑥不良資産を買い取る金融機関の役員報酬を制限する、⑦透明性確保のため議会に定期的に報告する、の7点。米政府と民主・共和両党の幹部が大筋合意した案でした。しかしその後の民主オバマ、共和マケイン両大統領候補も交えたブッシュ大統領と両党指導部の協議で共和党が造反し、成立の見通しがたたない状態になっています。
成立しても株価や景気の特効薬には成り得ず
今回の金融安定化法案は10年前に同じようなことを経験した日本人にとっては分かりやすい内容ですが、初めて経験する米国人には分かりにくい、そして認めがたい法案でもあるのです。桁外れの報酬を得ていたウォール街の人々を経営が悪化したという理由だけでなぜ我々の税金で救う必要があるのか、かつての日本でもありました-これが背景にあるのです。自己責任の原則が徹底しているだけに猛烈な反発があるのでしょう。政治の経済への介入を伝統的に嫌う共和党では政府の当初案に対する下院の賛成議員は2割ほどにとどまるとも伝えています。
政府と議会の攻防が続くこの法案は11月の大統領選挙と上・下両院選挙を目前に控え政治的思惑も絡んだものになっています。24日発表された保守系のFOXテレビの世論調査でオバマ氏に逆転されたマケイン氏は、経済政策面でもオバマ氏に10ポイント引き離されていました。金融問題での形勢逆転と、国民に不人気な税金投入をてこに下院共和党と組んで巻き返しを図ってきたといわれています。
同氏の「納税者負担なし」の代案では、危機の根源である不良資産を公的資金で金融システムから分離できず、不良資産売却後も金融機関が損失リスクを背負う構造になっており、金融システムの健全化につながるかは不透明です。現状は民主党のオバマ氏がブッシュ政権に協力し、共和党のマケイン氏が距離を置くという構図になっています。これを危惧したオバマ氏が今度は「ウォール街だけでなくローンを借りた人々の救済も必要」だと強調し始め、金融問題への対応が大統領選の情勢を変えかねない事態になっているのです。
同法案が28日夕までにまとまることを期待しますが、現時点ではどのような形で決着するか分かりません。ただ同法案が成立すればマーケットは好感するはずですが、その成立によって株価や景気の特効薬となる保証はないということです。
2008年9月22日号
米政府が金融安定化対策を打ち出す
先週は世界の金融市場に激震が走りました。世界の金融業界に再編・淘汰の嵐が吹き荒れた一週間だったともいえます。15日に米証券4位のリーマン・ブラザーズが破綻したのに続いて3位のメリルリンチが米バンク・オブ・アメリカに身売りを決定、16日にはFRBや米政府が保険大手AIGを支援すると表明するなど世界を揺るがす出来事が頻発。欧州でもドイツで郵便貯金を民営化したポストバンクがドイツ銀行の傘下入りしたほか、英国ではロイズTSBが経営不安に陥った住宅融資最大手の英銀HBOSを救済合併すると発表するなど、かつて経験したことのないような出来事が短期間に相次ぎました。世界の歴史に記録される一週間ではなかったかと思います。
再編・淘汰の嵐は投資家の不信感を増幅、市場では「次」はどこかの魔女探しが横行するなどマーケットは機能不全の一歩手前まで来ていました。米金融不安が極限まで高まっていたからですが、同時に打ち出された金融危機の拡大を防ぐための米政府・FRBの総合金融安定化対策の概要が伝わり始めた18日以降は、それまでとは流れが180度変わりつつあるように思われます。
米政府がそれを正式に発表したのは19日。まだ大枠しか固まっていませんが、金融恐慌に発展するのは断固阻止するとの強い内容となっています。柱となっているのは以下の3つ。そのひとつは不良債権買い取り機関の設立。10年前の日本の整理回収機構のようなものを設立して金融機関から不良資産を買い取ってその処理を行うというもの。その場合は住宅ローンだけでなく、商業不動産ローンやクレジットローンも実勢価格で買い取ることになるようです。
第2は個人や機関投資家の運用の柱になっている貯蓄性の高いMMF(マネー・マーケット・ファンド)に政府による元本保証を付けること。破綻したリーマン・ブラザーズの社債などに投資していた結果、損失が生じて元本割れとなるファンドが続出。MMFへの懸念が高まり解約売りが広がる可能性を未然に防止するというもの。第3は金融機関株式の空売りの全面禁止。今回は799金融機関の株式が対象で10月2日まで実施されます。情勢次第では30日間延長される可能性もあるとのこと。前回の株券なしの空売り規制に続く規制であり、金融株を狙い撃ちした投機的な売りを抑えるのが狙いとなっています。
2008年9月16日号
今週は米リーマン買収の結果次第の動きに
乱高下の激しい相場となっています。このところ東京市場は米国株を横目で見ながらの動きが続いており、主体的な動きはみられません。経営危機に陥っていた米住宅金融公社「ファニーメイ」と「フレディマック」の救済で落ち着くかに見えた株式市場ですが、今度は米証券大手リーマン・ブラザーズの経営危機が表面化、再建のカギを握る支援先を巡って上がったり下がったりを繰り返す不安定な動きになっています。
先週までの報道によりますと、米銀大手バンク・オブ・アメリカと米投資ファンドのJCフラワーズ、中国の政府系ファンドの中国投資有限責任公司が共同で買収を検討しているほか、英銀大手バークレイズも興味を示しているとのことです。リーマンの件については株価が急落するなど時間との戦いになっており、米財務省とFRBが買収先との交渉に入ったと欧米のメディアが伝えています。報道では世界のマーケットが開く15日の朝までに交渉を決着させ、新たな支援・再建策を正式発表するとしています。
「ファニーメイ」や「フレディマック」のときも1週間前の週末に救済策が発表されました。今回のリーマン救済も週末がヤマ場とされます。かつての日本も銀行破綻等の重要情報発表は常に週末でした。2週続けての週末処理は米金融問題の根深さを物語っていますが、当面は米政府・金融当局の身売り交渉仲介によって市場は落ち着きを取り戻すのではないかと思われます。
2008年9月8日号
底割れ警戒ムードが高まる
先週の東京市場は波乱に見舞われました。それまでの先高期待が喪失したような相場付きから一転して下値を探る動きになっています。米国株安を受けたものですが、日経平均株価は先週1週間で862円(6.6%)も急落、3/17に付けた年初来安値11787円まであと425円となっています。5日の雇用統計(8月)発表を受けて米国株が大幅安したあと切り返してきましたので、今週の相場は反転する可能性がありますが、日経平均が年初来安値が近づいてきたことで、市場は底割れを警戒するムードに包まれています。
不安材料を前倒しで消化する相場が続いていましたので基本的には3/17の安値を下回ることはないと考えています。その理由の第1は、今回の大上昇相場が始まった03年4月から昨年7月高値までの上昇幅の3分の2押し水準(11165円前後)近くの11787円まで下がってから反転したこと。上昇幅の黄金分割比率の0.618水準が11677円であり、テクニカル分析上、大底を入れた可能性があるためです。
第2は、昨年7月から先行して下げていた株価は単にサブプライムショックを受けたものではなく、国内景気の後退を織り込んでいたと判明したこと。米S&Pの調べでは世界52の株式市場で日本株の昨年の騰落率は下から2番目の51位でした。サブプライムの震源地である米欧の各市場を大幅に上回った株価下落の背景には、世界経済に敏感な日本株の脆弱性があったと思われること。
4-6月のGDP統計がマイナスになったように日本経済はすでに後退局面に入っており、政府もそれを認め経済対策を打ち出そうとしています。株価は景気の山、谷に半年から1年近く先行しますから、今年1-3月から後退局面入りしたとの見方に従えばちょうど符合します。今回は戦後最長の景気拡大といわれましたが、回復の実感は乏しく山は高くなかったと思います。90年代の景気後退期に比べ設備・雇用・在庫の過剰感も希薄で、景気の谷は深くならず下降局面も短いものになる可能性があります。来年1~3月に底入れすると考えれば相場はいつ反転してもおかしくない状態にあります。4~6月に底を入れるとみれば押したところが底ということになります。
押したところがあれば買いを考えるところ
先週末発表された8月の米雇用統計では失業率が6.1%に急上昇、非農業部門の雇用者数も8ヶ月連続の減少となっています。米国内の需要不振が建設や製造業、流通といった主要業種の雇用吸収力を弱め、内需の柱である個人消費をさらに下押しする悪循環になっています。OECDが日・欧の経済見通しを下方修正するなど米景気の低迷が世界に拡散する兆候も強まっています。これがここへ来ての世界的な株安の背景となっていますが、だからといってここから日経平均がさらに下値を探る動きになるとも思えません。
今回はマーケットで下値不安が渦巻いていることから、テクニカル分析の視点から無理して下値のメドを考えてみました。想定される下値メドは①12000円、②11868円、③11787円の3つ。①はキリのいい心理的なフシ目。②の11868円は6/6の高値14489円から7/15の安値12754円までの下げ幅(1735円)を7/24の高値13603円から差し引いた数値。ここまで下げると③の3月安値を下回るリスクが高まってきますが、日経平均の動きを長期波動で考えると、11500円~11900円は04年3月から05年7月にかけてもみ合った強力な下値ゾーン。例え3月安値を割り込んでも下値は限定的と見た方がいいのではないかと思います。
2008年9月1日号
先高期待が喪失したような相場付き
閑散も極まれりといった相場が続いています。先週29日は売買代金がかろうじて2兆円台を回復したものの、それまでは11日連続で2兆円台を下回る状態が続いていました。売買代金は活況の目安とされる3兆円のほぼ半分程度まで細っており、相場には方向感も感じられません。商いが薄くなったことで株価指数先物に影響される度合いが大きくなり、海外要因と相まって日々の材料で強気と弱気が行ったり来たりする動きとなっています。一時の弱気一色というムードではありませんが、先高期待が喪失したような相場付きとなっています。
こうした相場の背景にあるのは世界的な景気後退懸念の高まり。国内では政府が景気後退入りを認めており、世界経済の牽引役である米国や欧州も経済が悪化しています。中国やインドなど新興国経済も成長が鈍化しており、株価にはネガティブな材料が溢れています。原材料高に国内外の需要減が重なり、業績を下方修正する企業が増えるとの見方も増えています。
こうした中では日本株を積極的に買ってくる投資家はおらず、海外勢も日本株に対して売りを先行させるような動きになっています。外国人が買わなければ国内機関投資家は動きませんから、多額の含み損を抱えて身動きが取れなくなっている個人投資家を含め、東京市場には有力な買いセクターがいない状態になっています。
売られすぎの新興銘柄が狙い目
いまの市場には明るい話題はほとんどありませんが、基本的にはそう悲観することはないと考えています。日経平均株価は昨年7月の高値(18261円)から今年3月の安値(11781円)まで6480円(35.4%)も下げており、今回の景気後退を先行して織り込んでいます。株価は景気の山、谷に半年から1年近く先行しますから、景気が来年1~6月に底入れすると考えれば、相場はいつ反転してもおかしくない状態にあるのです。今回は戦後最長の景気拡大といわれましたが、回復の実感は乏しく山は高くなかったと思います。山が高くなければ谷は深くなりません。いまは景気後退局面の6~7合目あたりと考えられるので、株価の先行きについては悲観的に見るのではなく、急落したところは仕込みの好機と捉えるべきでしょう。
米国株は金融株の空売り規制や住宅公社への支援法案成立等もあって7月半ば以降、底堅い動きに変わっています。ARSという仕組み債で米欧金融機関が新たな損失を蒙る可能性も出ていますが、これまでの下げ過程でサブプライム問題や業績悪化懸念などの悪材料はあらかた織り込まれたはずです。高騰を続けていた原油先物相場が一服してきたことで、米経済の底入れ時期は従来よりも早まる可能性が出てきたようにも思われます。ある程度の株価反転の素地は整ってきたと見ていいのではないでしょうか。
東京市場も基本的にはそれと同じ見方をしていいと考えています。日経平均は7/15に付けた直近安値(12754円)を多少割り込みましたが、底割れするような動きにはなっていません。上値は重いものの下値も限定的という動きが続けば何かをきっかけに急反転する可能性は充分あります。
とはいえ東証1部の主力株については世界的な景気後退懸念の高まりから株価上昇期待は剥落しているようにも思えます。長期的に見れば株価は割安な水準にはありますが、買い注文は出しにくい。これが実感でしょう。こうした局面では売りに売られ、下値不安の乏しくなっている新興銘柄を狙うのが賢明ではないでしょうか。米景気や中国など新興国景気の影響も受けにくいこともプラス。
新興市場の売られすぎ銘柄を物色しようという動きは先々週は兆し程度でしたが、先週あたりから少し流れが大きくなったようにも感じられます。新興株には不信感が先立ち信じてもらえないかもしれませんが、手詰まり状態に陥っている1部市場を考えると、買いの手はここ以外向かうところはないと思います。
2008年8月25日号
有力な買いセクターがいない状態
東京市場は閑散相場も極まれりといった状態になっています。22日の東証第1部の売買代金は1兆5035億円となり今年最低を記録。売買代金の2兆円割れが7日続いており、05年8月から9月にかけての12日連続以来の落ち込みになっています。株価には方向性は感じられませんが、買いの手が入らないため売り物をこなせず下値を模索しているような動きとなっています。一時の弱気一色というムードではありませんが、先高期待が感じられない相場付きとなっています。
こうした相場を演出しているのは日本株を積極的に買い増す投資家が少ないことが原因。米国の景気後退懸念やオリンピック後の中国経済に対する先行き不安などから、東京市場の売買代金の約6割を占める海外勢が日本株に対し売りを先行させる動きに転じています。外国人が買わなければ国内機関投資家は動きませんから有力な買いセクターがいない状態になっています。個人投資家も多額の含み損を抱え身動きが取れない状態。買い手と言えるのは年金資金や企業の自社株買いぐらいですが、これらは上値を買っていくセクターではありません。
株価反転への素地は整う
決算発表の一巡で今期の業績悪化はある程度織り込まれたみられますが、いまの市場には明るい話題はほとんどありません。4-6月期の実質GDPがマイナス成長になるなど国内景気の後退局面入りを悲観的にみる向きもありますが、これについてはそう心配していません。
日経平均は昨年7月の高値(18261円)から今年3月の安値(11781円)まで6480円、35.4%下げており、今回の景気後退を先行して織り込んでいます。株価は景気の山、谷に半年から1年近く先行しますから、景気が来年1~6月に底入れすると考えれば、相場はいつ反転してもおかしくない状態にあります。今回は戦後最長の景気拡大といわれましたが、回復の実感は乏しく山は高くなかったと思います。山が高くなければ谷は深くなりません。いまは景気後退局面の6~7合目あたりと考えられるので、株価の先行きについては悲観よりも期待が膨らむころあいではないかと思います。
米国株は金融株の空売り規制や住宅公社への支援法案成立等もあって7月半ば以降、底堅い動きに変わっています。ARSという仕組み債で米欧金融機関が新たな損失を蒙る可能性も出ていますが、これまでの下げ過程でサブプライム問題や業績面の悪材料はあらかた織り込まれたのではないかとみられます。
高騰を続けていた原油先物相場が一服してきたことで、米経済の先行きには光明も出始めています。当面は住宅市場の低迷と金融システム不安が経済活動の足かせとなりますが、景気の底入れ時期は従来よりも早まる可能性が出てきたように思います。ある程度の株価反転の素地は整ってきたのではないでしょうか。
東京市場も基本的にはそれと同じ見方をしていいと思います。先月までは悲観的な見方が市場を覆っていましたが、そうした中でも日経平均は3/17に付けた年初来安値を割り込むことはありませんでした。先週末の株価は7/15の直近安値(12754円)を多少割り込みましたが、底割れしたような動きではありません。22日の米株高を受けてCMEの日経平均先物が大幅高で返って来ましたので、今週反転すればダブルボトム形成となる可能性は充分あります。
いま市場では米国株が反転に転じたとの認識はほとんどありません。東京市場はテクニカル的にいつ反転してもおかしくない状況にありますので、米株反転の見方が広がってくれば戻りを試す展開になる可能性はあります。好業績ながら売り込まれた銘柄、株価に底打ち感の出つつある銘柄などが狙い目ではないかとみられます。
2008年8月18日号
東京市場は積極的な買い手がいない状態
東京市場は外部環境に左右されながら上げ下げを繰り返す動きが続いています。一時の弱気一色のムードではありませんが、方向感は感じられません。膠着感が一段と強まってきたと言った方いい動きです。北京オリンピックに高校野球、お盆休みが加わって出来高も低調。15日の東証1部の売買代金は今年最低の1兆5800億円まで低下しています。
こうした相場を演出しているのは日本株を積極的に買い増す投資家が少ないことが背景。米国の景気後退懸念やオリンピック後の中国経済に対する先行き不安などから、売買代金の約6割を占める海外勢は7月以降、日本株を売り越しています。外国人が買わなければ国内機関投資家は動きませんから、損失拡大でリスクを取れなくなった個人投資家を含め、いまの市場には積極的な買い手がいなくなっています。買い手と言えるのは年金資金や企業の自社株買いぐらいですが、これらは下値を支える力しかありません。
上昇への素地は整う
決算発表の一巡で今期の業績悪化はある程度織り込まれたみられるので、今週以降は徐々に方向感も出てくる可能性があります。米国では住宅市場が低迷している中、原油高の悪影響が企業業績や個人消費に現れていますが、7月以降、原油先物相場は急速に下落しています。WTI は7/3のバレル145ドルから先週末には113ドル台まで2ヶ月で2割超も下落。米商品先物取引委員会(CFTC)が投機マネーの監視を強化した結果、ヘッジファンドなど大口投資家が商品投資に慎重になってきたのが原因です。証券当局が金融株などの空売り規制を再び導入しそうなことから「株式売り・原油買い」の新たなポジションは取りにくくなっており、原油相場の調整は長引くとの見方も出ています。
米国株は金融株の空売り規制や住宅公社への支援法案成立もあって7月半ば以降、戻り歩調に転じています。ARSという仕組み債で米欧金融機関が新たな損失を蒙る可能性も出ていますが、これまでの下げ過程でサブプライム問題や業績面の悪材料はあらかた織り込んだのではないでしょうか。
今後は原油価格の下落でインフレ圧力も緩和される可能性があり、米経済の先行きについては視界不良ながらも、株価上昇の素地も出来つつあるように思います。東京市場も基本的には同じ見方をしていいと思います。先月までは悲観的な見方が市場を覆っていましたが、そうした中でも日経平均は3/17に付けた年初来安値を割り込むことはありませんでした。その後も7/15の直近安値(12754円を割っていません。こうした状態が続けば2番底を付けたとの見方も広がり、先行きへの展望も広がってきます。
2008年8月11日号
決算発表を受けての株価急落には一巡感も
東京市場は外部環境に左右されながら日々上げ下げを繰り返す動きになっていますが、市場のムードは少し良くなってきたように思います。相場に方向感が出ているわけではありませんが、上に行かないまでも、下にどんどん下がっていくような雰囲気ではなくなっています。注目されるのは8日の動き。前日の米国株の急落を受けて安く始まりましたが、売り一巡後はジワジワ戻し、結局はプラスで引けるいい形となりました。先行きの相場を暗示しているような動きではなかったかと思います。
米政府による住宅公社「ファニーメイ」と「フレディマック」への支援法案成立で米金融不安がひとまず沈静化したことから、市場では景気後退懸念というか「景気」そのものが最大の関心事となっていますが、これについては日・米とも株価にかなり織り込まれた可能性があります。米国では業績不振で値を下げる銘柄が相次ぎましたが、日本でも同様なことが先週まで続きました。8/1にはセリングクライマックスではないかと思われるような下げも経験しています。
ただ株価に影響を与える主力企業の決算発表は先週末で一巡しています。日経新聞の集計によると、上場企業の09年3月期の連結経常利益は9.2%減と期初の5.6%減予想から減益幅が拡大する見通し。米国でも原油価格の高騰や雇用情勢の悪化から似たような傾向になっていますが、決算発表を受けての株価急落という状況は日・米ともひとまずヤマを超えたと見ていいと思います。
米国株は悪材料を織り込み戻り歩調に転じる
米国では住宅市場が低迷している中、原油高が企業業績や個人消費を直撃していますが、ここへ来て歓迎すべき現象も出始めています。どこまで上げるか分からないような上昇を続けていた原油先物相場が一転して調整色を強めてきたからです。WTI は7/3のバレル145ドルから先週末には115ドル台まで2ヶ月で2割超も下落。米商品先物取引委員会(CFTC)が投機マネーの監視を強化した結果、ヘッジファンドなど大口投資家が商品投資に慎重になり、ドルや株式に資金の一部をシフトし始めてきたためです。証券当局が金融株の空売り規制を導入していることから「株式売り・原油買い」の新たなポジションは取りにくくなっており、原油相場の調整は長引くとの見方も出ています。
これまでの相場は原油高を前提に形成されてきましたので、今後は少し考え方を変える必要があるのかもしれません。米国株は金融不安や景気悪化懸念から5月以降下落基調が続いていましたが、よく見ると7/16以降は戻り歩調に転じています。これまでの下げ過程で想定される悪材料はほとんど織り込んだからではないでしょうか。最近は原油安で上昇する日も見られます。
東京市場もこれと同じ見方をしていいと思います。先月までは悲観的な見方が市場を覆っていましたが、そうした中でも日経平均は3/17の年初来安値を割り込むことはありませんでした。その後も7/15に付けた直近安値(12754円)を割っていません。7/15安値を割り込まない状態が続けば2番底を付けたとの見方も広がってくるでしょう。そうなれば先行きへの展望も広がってきます。
いま市場では米国株が反転したとの認識はほとんどありません。東京市場はテクニカル的にいつ反転してもおかしくない状況にありますので、米株反転の見方が広がるにつれ徐々に戻りを試す展開になっていくのではないでしょうか。好業績ながら売り込まれた銘柄、株価に底打ち感の出つつある銘柄などが狙い目と考えます。
2008年8月4日号
内外の景気後退懸念を反映した動きに
東京市場は外部環境に左右され、日々上げ下げを繰り返す不安定な動きが続いています。先週は日経平均株価が週間で240円(1.8%)下落、その前の週とは対照的な動きとなりました。過度な信用リスクに怯えた7月中旬までの動きからは抜け出してはいますが、先行きへの不安から買いよりも売りが常に先行する自信の持てないような相場付きになってきた感じがします。これにはいろいろな要因が考えられますが、最大のものは米国景気の後退懸念と国内景気の減速懸念でしょう。
米住宅公社「ファニーメイ」と「フレディマック」への支援法案成立で米金融不安はひとまず鎮静化しましたが、代わって景気後退懸念というか「景気」そのものがマーケットの最大関心事になってきました。住宅市場の低迷が続いている中、原油高の悪影響が企業や個人消費を直撃しており、米主要企業の業績は急速に悪化しつつあります。これを受けて米株式市場は乱高下。1日発表された7月の米雇用統計でも非農業部門雇用者数は7ヶ月連続マイナスになっており、失業率も5.7%と04年3月以来、4年4ヵ月ぶりの水準に悪化しています。
東京市場は国内に買い手掛かり材料を持たないため、米国株のこうした動きを受けて上げ下げを繰り返す主体性のない動きを強いられています。折からの4-6月期決算発表で下方修正する企業が相次いでいることもあって、先週末には内外景気の先行き不安から主力株中心に下げが加速する場面も見られました。ある意味ではパニック的な売りが殺到したといっていいかもしれません。
当面は調整場面だが深押しの可能性は小
7/31に発表した4-6月期の米GDPが市場予想を下回ったため、いまの株式市場は米・日とも景気後退を警戒し始めた、あるいは織り込み始めたと見ていいのではないかと思います。ただ日本株については昨年7月以降、主要国の株式市場に先行して大きく下げていたため、下げたとしても大崩れはないと考えます。
先週号で日経平均は戻りに転じたばかりですが、6/6に付けた年初来高値から7/15安値までの下落幅のほぼ半分(49%)を戻しており、ここからの上値余地は乏しくなったと見なければなりませんと指摘しました。先週の動きは正にその通りの動きとなっています。半値戻しは全値戻しという相場格言もありますが、当面は調整場面が続くと見た方がいいでしょう。
ただ騰落レシオが82%台の低位にあることや、日経平均が7/15の直近安値から7/24の直近高値までの上昇幅の3分の2押し水準(13036円前後)まで下げてきた動きから、調整場面といっても深押しはないと考えられます。これまでの下げ過程で業績不振はかなり織り込まれた可能性があり、決算発表の一巡に伴い徐々に落ち着きを取り戻すのではないかとみられます。
主要企業の決算発表は先週でヤマを越えました。今週からは中小型株の発表が相次ぎます。好業績ながら大きく売り込まれた銘柄、株価に底打ち感の出つつある銘柄などが狙い目でしょう。いまの市場では業績が最大のテーマになっていますので、流動性のある銘柄なら東証2部や新興株でも狙い目は充分あると思われます。避けるべきは米国景気や中国景気の影響を受けやすい銘柄などででしょう。
2008年7月28日号
流れが変わる
日々強弱感が入れ替わる変動の大きい相場が続いていますが、東京市場は徐々に落ち着きを取り戻しています。先週は日経平均株価が週間で531円、4.1%も上昇、それまでの軟調地合いとは一変した動きになりました。週末25日には米国株の急落を受けて大幅安となりましたが、過度な信用リスクに怯えた2~3週間前とは動きが変わってきたように思います。
相場付きが変わって来たのは米金融不安が和らぎつつあるのが原因。今回の金融不安再燃のきっかけとなった米住宅公社「ファニーメイ」と「フレディマック」への公的資金注入や緊急融資などの支援を可能にする法案が成立する見通しになったため、過度な悲観論が後退。米国株が急反転してきたことで安心感が広がって来たためです。
こうした中、原油相場の上昇も一服。米原油先物相場は1バレル145ドル台の高値から3週間で20ドル余りも下落、先週末は1バレル123.26ドルで終わっています。米商品先物取引委員会(CFTC)が相場操縦の疑いで投資ファンドを提訴するなど、原油相場の監視を強化していることも効いているのでしょう。ドル不安が原油買いを呼び、米国株安を引き起こす「負の連鎖」にひとまず歯止めがかかってきたことも日本株の地合い好転の背景になっています。
日経平均は3/17の安値(11787円)から6/6に付けた高値(14489円)までの上昇幅の3分の2押し水準(12686円)近辺の12754円まで下げてから切り返す形になっています。教科書通りの反発ですが、先週号でも 「相場のリズムや日経平均の下落率から見ていつ反転してもおかしくない状態になっている」 と指摘した通り、日経平均は15日の12754円で底を入れ、反騰局面に転じてきたと見ていいと思います。
ここからの上値余地は乏しい
となるとどこまで戻るかが問題になります。日経平均は24日までの反騰局面で7/15に付けた安値から849円、6.7%も上昇しています。6/6に付けた高値から7/15安値までの下落幅が1735円ですから、既にその49%を戻した勘定です。日経平均は戻りに転じたばかりですが、半値戻りをほぼ達成したとなると、ここからの上値余地はあまりないとみなければなりません。まとめますと、相場の雰囲気は徐々に良くなっているが上値余地は乏しい、こういう感じの相場になる可能性が出てきたように思います。
ここからの深押しは考えにくいので、当面は調整局面というよりはもみ合い相場が続くとイメージした方がいいかもしれません。市場の先行き不安が払拭されたわけではないため、市場参加者は警戒姿勢を崩してはいませんが、15日安値(12754円)を割り込まない状態が続けば2番底を付けたとの安心感も広がってくるでしょう。そうなれば先行きの展望もおのずと広がってきます。
今週から3月期決算企業の4-6月期決算発表が本格化します。好業績ながら大きく売り込まれた銘柄や、底打ち感の出つつある銘柄などが狙い目でしょう。基本的には上値余地は大きくないと思われるので、株価が中途半端な水準にある銘柄は避けるべきでしょう。
2008年7月22日号
下げ渋る動きに変わる
軟調な相場展開が続いていますが、東京市場は次第に下げ渋る動きに変わっています。先週は日経平均株価が週間で236円下落しましたが、米国株の急落を受けて15日に255円安となったのが響いたためで、その後は下げ渋る動きをみせています。力強さが見られるわけではありませんが、買いが入らない中を小幅にジリジリ下げるこれまでの動きからは脱しつつあるように思います。米金融不安の再燃を受けて外国人の日本株買いが止まっているうえに、個人の投資意欲も萎縮しているため商いは低調ですが、低いレベルで売り買いの勢力が徐々に変わろうとしている、こういう感じの変化と捉えていいのではないかと思います。
東京市場が目先の底を入れたとはまだ言えませんが、最も安かった15日の12754円を底値とすると、日経平均は6/6の高値から1735円、12.0%下落した計算になります。相場のリズムや下落率から見ていつ反転してもおかしくない状態なっていることは明らかです。米国株の動揺が収まったらこうした動きが鮮明になるのではないかと思います。
米シティグループの4-6月期決算が発表される18日の米国市場がどう動くか非常な注目を集めていましたが、NYダウは結局、前日比49ドル高11496ドルで引けました。3四半期連続の最終赤字となったものの、赤字幅が事前の予想ほど悪くなかったためです。メリルリンチが前日に予想を上回る追加損失を計上したため市場では不安心理が高まっていましたが、サブプライム問題の象徴的存在のシティグループの損失が1-3月期の51億ドルから半減したことで、安堵感みたいなものが広がってきたのでしょう。
きっかけさえあれば急反転も
米金融不安は最終段階とも言える政府系住宅公社2社、「ファニーメイ」と「フレディマック」まで発展、このところの株価急落の原因となっていますが、米財務長官が公的資金による資本注入も含めた支援を行うと表明しているため、いずれ収束に向かうはずです。かつての日本で行われたことを考えれば当然でしょう。政府系住宅公社2社を震源地とした株式市場の動揺はこれが最後ではないかと思われます。
住宅価格が下落する限り米金融機関は追加損失の発生から逃げられない構図になっていますが、今回の金融不安再燃による米株式市場の動揺はひとまず峠を越えたと見るべきではないかと考えます。サブプライム問題による株価の急落はこれで4回目になりますが、今回も相応の悪材料が織り込まれました。従って金融不安を材料に株価がここからさらに下がることはないと見ます。あとはマイクロソフトやグーグルが予想を下回る決算を発表して売り込まれたように、景気(=業績)と株価の関係と捉えるべきでしょう。
東京市場はテクニカル指標からも「売られ過ぎ」状態となっていましたので、きっかけさえあれば急反転する可能性もあります。サイコロジカルライン、相対力株価指数、移動平均線からの乖離率、ボリンジャーバンド、騰落レシオなどあらゆる指標が売られすぎのシグナルを発していました。チャート分析上も、年初来安値(3/17)から6/6高値までの上昇幅の3分の2押し水準(12687円)近くまで売られてから下げ渋ってきただけに、その可能性はかなり大きいと思われます。
市場ではまだ悲観的な見方が大勢を占めていますが、ここはチャンスが近づいてきたと捉えるべきでしょう。好業績ながら大きく売り込まれた銘柄や、底打ち感の出つつある銘柄などが狙い目ではないかと思われます。
2008年7月14日号
東京市場は下げ渋る動きに変わる
軟調な相場展開が続いていますが、東京市場は次第に下げ渋る動きに変わっています。日経平均株価の続落記録は12日で終わりましたが、この間、株価が大きく下がったわけではありません。12日間の下落幅は1214円、率にして8.4%にすぎません。昨年後半から幾度かあった下げ局面と比べても調整幅はさほど大きくはありません。買いが入らない中を小幅にジリジリ下げる動きが続き、あく抜け感が出なかったことが、反転のきっかけを見い出せない今の相場につながっているのでしょう。それが下げ止まろうとする動きに変わりつつあります。
先週一週間で日経平均は198円下落しました。最も安かった8日の13033円を基準にすると、日経平均は6/6の年初来高値から1456円、10.0%下落したことになります。国内に手掛かり材料がないため、東京市場は海外要因、とりわけ米国株の動向に左右される展開が続いていますが、いまの経済環境を考えると外部環境の好転はほとんど期待できません。
先週末もNY市場でダウ工業株が128ドルも下落し、06年8月以来の安値に沈んでしまいました。政府系の連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)や連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の経営不安が深刻化するなど金融不安が再燃してきたのが原因ですが、これによって東京市場が一段安に陥ることはまずないと考えます。昨年10月ごろまで過去最高値近辺にあった米欧株式とバブル崩壊後の最安値から浮上してきたばかりの日本株とでは、株価の位置が基本的に異なるからです。
ここはチャンスに備えるところ
米国株は「弱気相場」の領域に入っていますが、高値から2割以上下落したことで金融関連の悪材料はかなり織り込まれたのではないかと思います。今週半ばには米銀大手のシティグループやメリルリンチなど米金融機関の決算発表が集中しますが、サブプライム関連の追加損失発生の可能性は株価に既に織り込まれています。追加損失が予想の範囲内であれば、発表一巡後には悪材料出尽くしとなる可能性が大でしょう。
54年ぶりの続落記録となったこともあり、東京市場はテクニカル指標からも「売られ過ぎ」状態となっています。サイコロジカルラインは54年ぶりに0%になったほか、相対力株価指数も7.88%と2000年以降の最低を記録。25日移動平均線からの乖離率やボリンジャーバンドも売られすぎのシグナルを発しています。最後まで残っていた騰落レシオも66.8%まで下がり、いつ反転してもおかしくない状態になっています。
日経平均は3/17に付けた年初来安値から6/6に付けた高値までの上昇幅の半値押し水準(13138円)を多少下回った水準で下げ渋る動きに変わっています。8日の13033円で目先の底を付けたと言える状況にはなっていませんが、ここから下がったとしても下値はしれています。高値から3分の2押し水準が12687円前後。下がっても最大この辺でしょう。3/17の11787円を割り込むことはないと考えます。下げ止まって2番底確認となったら市場のムードも変わってきます。そろそろチャンスに備えるときでしょう。
2008年7月7日号
投資家は冷静
日経平均株価が下げ止まりません。4日の終値は前日比27円安の13237円。これで6月19日から12日連続安となり、1953年5月21日~6月3日に並ぶ記録となってしまいました。東証が戦後再開した1949年5月以降、今回の12日を上回る連敗記録は1954年4月28日~5月18日の15日(下落率は7.9%)と、1949年11月14日~11月29日の13日(同15.8%)だけ。今回は過去3番目の記録で、下落率は8.4%と2番目(下落幅は1214円)の記録となります。
これで日経平均は6/6に付けた高値から8.6%、1252円下落したことになります。底入れの兆しが見えない相場が続いているのは原油価格の高騰で世界景気の後退懸念が高まっていることや米金融不安の再燃などが背景。
ただ今回の下落局面は従来の株安局面とは様相が異なります。12日間に亘って薄商いが続いており、売られて下げているというより、買いが入らない中を小幅にジリジリ下げているというのが実態。現に日経平均の1日の下げ幅は12日中6日で30円以下にとどまっています。通常なら12日間も下げればセリング・クライマックス的な売りが出てくるものですが、4日は売買代金が8日ぶりに2兆円を下回る閑散相場となっています。見方を変えれば今回の下げを投資家は冷静に見ているということでしょう。
これは今の相場が業種や銘柄ごとに強弱感が異なり、市場全体が売り一色になる状況ではないからです。東京市場は今年3月にかけて世界の主要市場の中でワーストワンの下げを演じました。いまの株価が3月の年初来安値から多少戻しているとはいえ、大局的に見れば日本株はバブル崩壊後の安値から回復途上にあり、過去最高値近辺にあった他の主要国の株価とは基本的に違うとの認識も冷静でいられる要因の一つかもしれません。
ここはチャンスに備えるところ
景気後退懸念や金融不安の再燃から米国株は高値から2割以上下落、「弱気相場」の領域に入っていますが、東京市場がここから一段安する可能性は乏しいと考えます。今月中旬前後には米銀最大手のシティグループなど米金融機関の決算発表が集中しますが、サブプライム関連の追加損失発生は既に株価に織り込まれていますので、発表が一巡すれば悪材料出尽くしになる可能性が大でしょう。
54年ぶりの続落となったこともあり、東京市場はテクニカル指標からも「売られ過ぎ」状態となっています。サイコロジカルラインは54年ぶりに0%に低下したほか、相対力株価指数も7.88%と2000年以降の最低を記録、売られ過ぎとされる30%を大きく下回っています。25日移動平均線からの下方乖離率も5.18%になっているほか、ボリンジャーバンドもマイナス2σを下回っています。騰落レシオは72.4%と売られ過ぎとされる70%よりは上ですが、下がったとしてもここからの下値がそうあるとは思えません。
日経平均は3/17に付けた年初来安値(11787円)から6/6に付けた高値(14489円)までの上昇幅の3分の1押し水準(13589円)では下げ止まりませんでした。半値押し水準が13138円ですので、当面の下値メドはその辺ではないかと思います。また3分の2押し水準が12687円前後。最大下がってもこの辺でしょう。投資家は冷静に今回の下げを見ていますので、下げ止まって2番底確認となったら積極的な買いに出て来る可能性も大。
6月30日号で「東京市場が2番底を付け、物色の流れが見えてくるまでは様子見も賢明かと思われます」と指摘しましたが、そろそろチャンスに備えるときでしょう。日本株の売買の約6割を占める外国人が見送り姿勢を強めているため、下げ相場のいまでも相場の方向性は定まっていませんが、株価が反転したら迷うことなく目先の底を入れたと考えなければ次の新しい流れには乗れないような気もします。
2008年6月30日号
当面は下値を探る展開に
東京市場は波乱の展開となってきたようです。先週は弱含みの動きながら週後半までは下げそうで下げない動きが続いていましたが、週末の27日になって急落。同日の日経平均株価の終値は前日比277円(2.0%)安の13544円となりましたが、下げ幅は一時360円に広がる場面がありました。日経平均は7日続落となりましたが、これは昨年11月以来、約7ヶ月ぶりのことです。
週間の下げ幅は398円(2.9%)、7日間では908円(6.3%)になります。6/6に付けた年初来高値からは945円(6.5%)下がって2ヶ月前の水準に戻ったことになります。ザラ場ベースでの下落幅は1148円となり、下落率は7.9%に達しています。日経平均はサポートラインと見られた75日移動平均線も下回っており、当面、下値を探る展開となりそうです。
東京市場の変調は米株式相場の急落を受けたもの。上場企業の業績悪化懸念や金融不安の再燃からNYダウは26日に358ドル安と急落、これが世界市場を揺さぶりました。27日もNYダウは106ドル安と続落。昨年10月に付けた過去最高値からの下落率は19.5%に達しており、「弱気相場」入りの目安とされる20%まであとわずかとなっています。
暫くは様子見が賢明か
サブプライム問題が収束しないうちに原油価格が高騰し、個人消費や企業業績に悪影響が広がる負の共振が始まりつつあるようです。サブプライム問題については最悪期は脱したとの観測も出ていましたが、ゴールドマン・サックス証券が大幅な追加損失発生の可能性があるとしてシティグループなどの投資判断を引き下げたことをきっかけに、米市場では悲観的なムードが急速に広がっています。
5月までに米大手金融機関が開示した「レベル3」の残高は約5900億ドル(うち大手銀3行合計が2892億ドル、大手証券4社合計が2994億ドル)。取引が少なく時価を算出できない資産が5900億ドル残っていることが、投資心理を重くしています。
こうした中、欧州中央銀行(ECB)が7/3に開く定例理事会で利上げに踏み切るとの観測が強まっており、これが米欧の金利差拡大観測からドル売りを誘い、原油先物相場高へと繋がる「原油・ドル・株」の波乱を呼び込む形となっています。インフレ懸念が強まっても金融システム不安や景気後退懸念から利上げや利下げにも動けない米金融当局。こうした構図が解消されない限り米国株は不安定な動きが続くとみなければなりません。
調整局面入りしたとはいえ、東京市場がここから一段安する可能性は乏しいと思います。日経平均株価は27日時点でボリンジャーバンドのマイナス2σ(13563円)を突き抜けていること、騰落レシオが81.08%まで低下していることなどが背景。大幅安があったとしても下値は限定的でしょう。27日時点で3/17の安値(11787円)から6/6高値(14489円)までの上昇幅の3分の1押し水準(13589円)を下回っています。半値押し水準が13138円ですので、下がってもその辺ではないかと思われます。
これまでの東京市場は洞爺湖サミットを前にした環境関連のごく一部の銘柄に物色人気が集中する異常な状態が続いていました。今回の調整が一巡すれば物色の流れも変わってくるでしょう。基本的には米国景気や為替、新興国景気の影響を受けにくい銘柄が狙い目と考えていますが、東京市場が2番底を付け、物色の流れが見えてくるまでは様子見も賢明かと思われます。
2008年6月23日号
本格調整局面入りした可能性も
東京市場は上値が重くなってきました。これまで下げそうで下げない動きが続いていましたが、3/17を起点に始まった今回の戻り相場はピークアウトした感があります。先週の日経平均株価の変動幅はマイナス31円。週間でみれば大した下げではありませんが、19、20日の2日間の下げ幅は500円を上回る厳しいもので、上値の重さを実感させるような下げでした。
前号でこれは本格的な調整局面入りの予兆ではないでしょうかと指摘しましたが、先週の日経平均株価の動きや20日の米国市場でNYダウが急落したことから、その可能性はかなり強まってきたように思います。NYダウの220ドル(1.8%)安を受けてCMEの日経平均先物は13765円と20日の大証終値に比べ195円安で終わっています。これを受け週明けの東京市場は売り先行で始まることになりそう。日経平均は三尊天井を付けて調整局面に入ったと見ていいのではないでしょうか。
下値は限定的
20日の米国株の急落は原油価格の高騰や金融不安の再燃が懸念されたもの。とりわけ格付け会社ムーディーズがモノライン会社を格下げしたことが響きました。NYダウは3/10以来の安値になり、チャートからもダウントレンド入りが鮮明になりつつあります。しかし、サブプライム問題は株価にかなり織り込まれていますので、大手投資銀行などの経営破綻があった場合以外は、この問題で米国株が急落することはないと考えています。
米株式市場はインフレ懸念と景気後退懸念が最大の問題になっており、相場の先行きについては「景気と株価」の関係で見るべきでしょう。住宅不況が深化している中、ガソリン高が個人消費の重しになり、原材料高が企業業績に悪影響を及ぼしている状況下では株価は上がるはずはなく、下に行かざるを得ません。それゆえ米国株の下落にもそう悲観する必要はありません。
東京市場が調整局面入りしたとはいえ、値幅面の調整がそれほどあるとは思えません。6/20現在の騰落レシオは83.6%。70%が売られすぎのラインといわれますが、一時的にそれを下回る水準まで売られたとしても下値はしれています。
これまでの相場回復で個人投資家は回転が利き始め、リスクを取ろうという姿勢に変わりつつあることも見逃せません。下げそうで下げない、かといって強いかと尋ねられれば首を傾げたくなるようなこれまでの不可思議な相場は、調整がなかったことに起因するものかもしれません。調整場面が来て2番底を付けたと市場が確信したら、先行きへの見方はガラッと変わって来ます。それゆえここからは調整局面入りが予想される主力株は避け、戻りの鈍かった銘柄や出遅れ感のある1、2部の中小型株、新興銘柄などが狙い目ではないかと考えます。
2008年6月16日号
本格調整局面入りした可能性も
東京市場は上値が重くなってきました。これまで下げそうで下げない動きが続いていましたが、今回の戻りもひとやま付けた感じがします。先週の日経平均株価の変動幅はマイナス516円(3.6%)。株価指数先物主導で大きく下落してしまいました。5営業日中、3営業日が下落。週末の13日はプラスで引けましたが、これは裁定買いから上げた面が強く、実質的には値下がり銘柄数が圧倒的に多いほぼ全面安商状といっていい内容でした。5業日中、4営業日が実質的に下落、しかも下落率が3.6%。これは本格的な調整局面入りの予兆ではないでしょうか。
3/17に付けた安値11787円から6/6に付けた高値14489円までの上昇率は実に22.9%。5月12日号に「底値からの上昇率と要した期間を考えたら今回の戻りは数年に1回あるかないかの戻りです」 と指摘したから約1ヶ月、下げそうで下げず、上げそうで上げずといった相場が続いていました。これから一段高に進むにせよ、これだけ上がったら調整しなければ上がるものも上がりません。
戻りの鈍かった銘柄などが狙い目!
いま米株式市場はサブプライム問題よりも原油や食品などの高騰に伴うインフレ懸念に敏感に反応するようになっています。しかしGSなど米大手証券4社が保有している時価評価が困難な高リスク資産は2月末で2994億ドルに達しています。市場で買い手が付かない住宅ローン担保証券など「レベル3」と呼ばれる資産のことで、市場取引で値が付いた時点で巨額の追加損失の計上を迫られる可能性は残ったままです。サブプライム問題については最悪期を脱したとの見方が大勢にはなっていますが、「火種」を抱えながらの最悪期脱出と考えなければなりません。今週は米大手証券の3-5月期決算発表が相次ぎますので要注意でしょう。
5月の雇用統計で失業率が急上昇したこともあり、米国では原油高が消費や企業業績に悪影響を及ぼし、景気低迷とインフレが共存するスタグフレーションへの懸念が一段と強まっています。つまり、いまの米市場は景気後退懸念とインフレ懸念、そして金融不安がないまぜになっているような状態で、とても株価が上昇していくような環境にはありません。
東京市場も基本的には米市場と同じだと考えられます。上場企業の今期業績は7年ぶりに減益となる見通しです。利益が減少する中で株価が上がるにはPERの上昇が必要となりますが、東京市場のPERは既に16倍台と世界でも割高な水準まで買われています。
相場環境的にも東京市場は調整局面入りが避けられないところまで来ているわけですが、これを悲観する必要はありません。これまでの相場回復で個人投資家は回転が利き始め、リスクを取ろうという姿勢に変わりつつあるからです。下げそうで下げない、かといって強いかと尋ねられれば首を傾げたくなるようなこれまでの相場は、調整がなかったことに起因しているのかもしれません。調整場面が来て2番底を付けたと市場が確信したら、先行きへの見方も変わって来ます。それゆえここからは調整局面入りが予想される主力株は避け、戻りの鈍かった銘柄や出遅れ感のある1、2部の中小型株、新興銘柄などが狙い目ではないかと考えます。












