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投資戦略レポート

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2010年11月22日号

 一段高は期待しにくいものの、下値不安は後退
 
 東京市場の地合いはかなり良くなってきました。米FOMCの追加金融緩和発表を受けた11月4日以降、流れは変わってきました。外部環境にらみの動きが終息したわけではありませんが、日経平均株価は先週、心理的フシ目とみられた10000円を約5ヶ月ぶりに回復しました。19日の終値は10022円。週間では298円(3.1%)の上昇となっています。売買代金も増加しており、1日あたり1兆5000億円前後が定着しつつあります。
 先週末の終値は8月31日に付けた年初来安値からは1198円(13.6%)、11月1日の直近安値からは868円(9.5%)の上昇となります。上昇ピッチの速さや日経平均の10000円乗せという目標達成感から高値警戒感も出ていますが、好調な地合いは当面変わらないのではないかと見ています。
 相場の先行きについては海外景気に対する見解の違いから強気派と慎重派に分かれているようですが、大事なことは日経平均がどこまで上昇するかではなく、どういう相場が続くかということだと思います。それが分かれば投資スタンスも決まります。まずはっきりしていることは、円高の一服感や堅調な企業業績から、下値不安が和らいでいるということでしょう。日経平均の10000円乗せで、投資心理も今後、徐々に好転してくるとみられます。
  米景気は回復基調にあるものの、10月の住宅着工件数が前月から大幅減となるなど、米経済指標の中に依然弱いものも見られるため、米景気の回復を前提にした投資戦略はいまの時点では立てられません。現時点の相場見通しを簡単に表現すれば、「米景気の状況を考えれば、日経平均のここからの一段高は期待しにくい。しかし下値不安は後退している」、こういうことになると思います。

 当面は個別株相場か


 19日の米国市場でNYダウとナスダック指数は揃って上昇しました。19日に中国が今月2回目の金融引き締めを発表しましたが、好調な企業決算が吸収しました。追加金融緩和期待を背景とした9月からの上昇相場がひとまず終わり両指数とも調整色の強い動きが続いていましたが、チャートからは調整場面は終息しつつあるようにも思えます。調整一巡で再び上値を追う展開となったら日本株上昇の牽引役ともなりますので、今後の動きには注意が必要でしょう。
 円相場はすでに高値を付けた可能性があると先週号で指摘しましたが、そのような動きになりつつあります。ただドル安不安はくすぶったままであり、円高・ドル安の流れが変わったとはまだ云えません。とはいえ円相場は臨界点近辺まで上昇していると見られるので、1ドル=80円突破となったら政府・日銀による積極介入の可能性は大でしょう。ここからは円高を懸念した投資行動は取らない方がいいと考えます。
 円相場の高止まりは相場の上値を抑える要因とはなりますが、相場の地合い好転から、当面は戻りを試す展開が続くとみられます。決算発表の一巡でこれといった買い手掛かり材料はなくなっていますが、当面は好材料の出た銘柄や、既発表の決算などを分析して出遅れ感のある銘柄を個別に買う個別株相場となりそうです。

2010年11月15日号

逆三尊形成となり日経平均は戻りを試す展開に
 
 東京市場の地合いはかなり良くなってきました。米FOMCの追加金融緩和発表を受けた11月4日以降、流れは変わったと見られます。外部環境にらみの動きが終息したわけではありませんが、日経平均株価は先週、9861円と、6月24日以来、約4ヵ月半ぶりの高値まで進んできました。12日は反落しましたが、週間では99円(1.03%)と上昇。好業績を発表した銘柄が素直に買われるなど好材料にも敏感に反応する展開になっています。
 12日は20カ国・地域首脳会議で、貿易不均衡是正に向けた政策協調の枠組みや金融規制がどうなるかを見極めたいとして売買を見送る投資家が多く、商いは低調でしたが、東証1部の売買代金は1兆5000億円前後まで膨らんでいます。先週号で日経平均は2番底を付けた可能性があると指摘しましたが、ネックラインの9691円を越えてきたことで、2番底を形成したことが確認されました。大きく捉えたらチャートは逆三尊を形成しており、最も強力な底入れパターンとなっています。
 当社は早い段階から8月31日の8824円で大底を付けた可能性があると指摘し、今回はだらだらした下落相場が続いていたので、底入れ時期は後で振り返ってからではないと分からないような入れ方になると何度も指摘してきました。先週末の株価は8月31日の安値から900円、10.20%上昇しており、大底を打ったと考えられます。バブル崩壊後の昨年3月の安値、同年11月の安値に続いて安値を完璧に的中することが出来ました。
 今後は徐々に戻りを試す展開になるとみられます。ただ世界経済の先行き不透明感や円高への警戒感から上値も重く、ゆっくりした上昇になるのではないかと予想しています。つまり、これまでのだらだらしたとした下落と逆のケースの上昇となり、力強さが見られない相株価上昇になるのではないかとみています。売買代金もあまり増加しないため、実感が感じられない相場回復になる可能性が高いと見ています。

 当面は出遅れ感のある銘柄を個別に物色する個別株相場か

 12日の米国市場でNYダウとナスダック指数は揃って下落しました。NYダウの終値は前日比90ドル(0.8%)安の11192ドルで、FRBが追加金融緩和を発表する前の水準まで下落しています。ハイテク株比率の高いナスダック指数も前日比37ポイント(1.5%)安の2518となっています。今月上旬に付けた年初来高値からはそれぞれ2.2%、2.4%の下落。両指数の9月以降の上昇は追加金融緩和期待を背景としたものだっただけに、今後の動きには注意が必要でしょう。8月終盤の直近安値からの上昇率はNYダウが14.6%、ナスダック指数が21.9%に達していたため、材料出尽し感から調整局面に入った可能性も高まっています。
 円・ドル相場についてはもう少し様子をみる必要がありますが、このところの動きから、円相場はすでに高値を付けた可能性もあります。ただドル安不安はくすぶったままであり、円高・ドル安の流れがぶり返す可能性も否定は出来ません。とはいえ、円相場は臨界点近辺まで上昇していると見られるので、1ドル=80円突破となったら政府・日銀による積極介入の可能性も大でしょう。従ってここからは円高を懸念した投資行動は取らない方がいいと考えます。
 円相場の高止まりは相場の上値を抑える要因とはなりますが、世界的にみて日本株の出遅れ感は際立っていますので、当面は戻りを試す展開が続くと予想します。決算発表が一巡したためこれといった買い手掛かり材料はなくなりますが、当面は既発表の決算を分析して出遅れ感のある銘柄を買う個別株物色となる展開か。

2010年11月8日号

 2番底を付けた可能性も
 
 FOMC、中間選挙といった米2大イベントが終わり、東京市場に動きが出て来ました。外部環境にらみの動きが終息したわけではありませんが、先週は週間で日経平均株価が423円(4.60%)も上昇、終値は9625円と10月7日以来、約1ヶ月ぶりの高値で引けました。とりわけ5日は上げ幅が267円(2.86%)と今年4番目の大きさとなり、東証1部の9割にあたる1492銘柄が値上がりするほぼ全面高の展開。好業績を発表した銘柄が素直に買われるなど好材料にも敏感に反応するようになっています。
 先々週から先週前半とは市場の雰囲気も変わっています。売買代金も4日は1兆3800億円、5日は1兆5800億円と膨らんでいます。日経平均は上値のメドとされていた25日移動平均線や26週移動平均線を上に抜けており、チャートからは底入れのシグナルが出ています。騰落レシオが売られすぎとされる70%を割り込み、69.3%まで低下していたことから、底を入れた可能性は高いと考えられます。当社では8月31日の8824円で大底を入れた可能性があると何度も指摘していましたから、11月1日の9154円は2番底となります。
 相場の雰囲気が変わってきたのは、FOMC後に発表された米国の追加金融緩和策が想定の範囲内で、懸念された円高が進行しなかったことが背景。円相場は1ドル=81円台で高止まりしたままですが、円高を過度に警戒していたことが市場心理にプラスに作用したようです。日産自動車が下期の想定為替レートを1ドル=80円と円高方向に見直した上で、2011年3月期の業績予想を大幅に上方修正したことも、市場のムードを明るくしています。下期も円高の割りに事前に警戒したほど悪くないとの見方が広がりつつあるからです。

 当面は「森よりも木」のスタンスが必要

 5日発表された10月の米雇用統計で、非農業部門の雇用者数は前月比15.1万人増と事前予想の6万人増を大幅に上回る内容となりました。前月比でプラスになるのは5ヶ月ぶり。これ受け5日のNYダウは前日比9ドル高の11444ドル(0.1%)となり、2008年9月8日以来、2年2ヶ月ぶりの高値で取引を終えました。前日に08年9月のリーマン・ショック前の水準まで上昇していたため、発表を終えて材料出尽くし感からの売りも多く、売りと買いが交錯、前日終値から若干上昇した水準で引ける形でした。9月以降の米国株の上昇は追加金融緩和期待を背景としたものだけに、今後の動きには注意が必要でしょう。NYダウは7月2日の年初来安値からは18.1%、8月26日の直近安値からは14.6%それぞれ上昇しているため、いつ調整があってもおかしくありません。
 円相場についてはもう少し様子をみる必要がありますが、円はすでに臨界点を超えた水準まで上昇していると思います。政府も行き過ぎた円高には断固たる措置を取ると表明しているため、1ドル=80円突破となったら積極介入に踏み切る可能性大でしょう。それゆえ、ここからは円高を懸念した投資行動は取らない方がいいと考えます。
 円相場の高止まりは相場の上値追いを抑える要因とはなりますが、世界的にみて日本株の出遅れ感は際立っていますので、当面は戻り余地を試す展開になると考えます。日経平均が9691円を超えて2番底確認となれば、上昇期待は一段と高まってきます。決算発表が佳境を迎えているため、当面は好決算銘柄が個別に買われる展開となります。いまの株価は下期以降の業績が悪くなるとの前提で形成されていますので、通期でも好業績見通しを発表したところは予想以上に買われる可能性もあります。当面は「森よりも木」のスタンスが必要でしょう。

2010年11月1日号

 今週は円・ドル相場のヤマ場に
 
 外部環境にらみの動きが続いていた東京市場ですが、先週は29日に日経平均株価が前日比163円(1.75%)と急落、終値は9202円と9月9日以来、1ヵ月半ぶりの安値水準まで下落してしまいました。円高の進行に加え、9月の鉱工業生産指数の悪化が嫌気されました。今週2~3日の米FOMCや日銀金融政策決定会合などの注目イベントを控え、リスク資産への投資を手じまう動きが強まり、下げが加速する形となりました。日経平均は週間では224円(2.38%)の下落。
 円相場は1ドル=80円台前半まで上昇しており、いつ80円を突破してもおかしくない状態になっています。先週号で、「物の値段が歴史的な水準まで上昇すると、最終的には過去最高値を更新するのが普通ですから、今回は1ドル=80円突破もあり得るとみています」と指摘しましたが、まさにそのような動きです。各国が輸出競争力を高めるため、自国通貨を安くする「通貨安競争」をいかに避けるかがG20(20カ国・地域首脳会議)の主要議題となっているため、政府・日銀も円売り介入に踏み切れていないようです。
 ただ円高・ドル安への期待値はいまピークといえる水準まで高まっています。ヘッジファンドなど投機筋の円買いポジションも目いっぱいのところまで膨らんでいるとみられます。ヘッジファンドが11月の決算を前にポジション解消して利益確定を行えば、円高・ドル安の流れが変わる可能性があります。来週の米FOMCで追加金融緩和が発表されれば、円高・ドル安要因についての材料出尽しとなるだけに、円・ドル相場は正念場を迎えているとも云えます。

  当面は「森よりも木」のスタンスで

 米国株は追加金融緩和観測を材料に9月以降、堅調な動きが続いていましたが、ここへ来て上値が重くなっています。29日のNYダウは3営業日ぶりに小反発し、前日比4ドル高の11118ドルで引けました。今週のFOMCを前に様子見ムードが強く、前日終値を挟む方向感の乏しい動きでした。前期比年率2.0%成長となった7~9月期の実質GDPを受けても、動きは限定的。追加金融緩和という株高要因が今週で賞味期限が切れるので、先行きについての手掛かりが見つからなくなっています。予想を裏切る企業業績や経済指標が相次げば株高の勢いは失われると見た方がいいでしょう。
 円相場についてはもう少し様子をみる必要がありますが、円はすでに臨界点を超えた水準まで上昇していると思います。政府も行き過ぎた円高には断固たる措置を取ると表明しているため、1ドル=80円突破となったら積極介入に踏み切るはずです。それゆえ、ここからは円高を懸念した投資行動は取らない方がいいと考えます。
 先週から3、9月期決算企業の決算発表が始まりましたが、決算発表シーズンは好決算を発表した企業が個別に買われる展開になります。いまの株価は下期以降の業績が悪くなるとの前提で形成されていますので、通期で好業績見通しを発表した企業は予想以上に買われる可能性もあります。当面は「森よりも木」で行くべきでしょう。狙い目となるのは好決算銘柄ですが、会社四季報などを見て好業績が期待できそうな銘柄を先回りして仕込むのも一法でしょう。その場合は対象を下値リスクの乏しい銘柄に絞る必要があります。

2010年10月25日号

 円・ドル相場は正念場に
 

 東京市場は外部環境にらみの方向感のない動きとなっています。下値を意識しなければならないような動きではありませんが、上にも下にも大きく動けない状況となっています。対ユーロでの円高は一服した感があるものの、対ドルでの高止まりが株価の頭を押える格好になっています。
 国内では積極的な売買材料に乏しく、今後も米景気の先行きや円相場をにらんで神経質な展開が続くと予想されます。東京市場は基本的には売られすぎ状態にあり、テクニカル的にはいつ反転してもおかしくありません。順調な戻りを見せている米国株などと比較しても出遅れが際立っています。
 円相場は一時1ドル=80円と15年ぶりの円高水準まで上昇しました。物の値段が歴史的な水準まで上昇すると、最終的には過去最高値を更新するのが普通ですから、今回は1ドル=80円突破もあり得るとみています。ただ円高・ドル安への期待値はいまがピークではないかと思います。ガイトナー米財務長官がドル安政策を取っているのではないと米紙が報じているうえ、政府・日銀の円売り介入への警戒から、以前のような一段の円高期待は後退しているのではないかと思われます。
 いまヘッジファンドなど投機筋の円買いポジションは目いっぱい膨らんでいるはずです。11月決算が多いヘッジファンドが決算を前にポジション解消に動いて利益確定を行えば、円高・ドル安の流れが変わる可能性もあります。来月2~3日の米FOMCで追加金融緩和が発表されれば材料出尽しとなるだけに、円・ドル相場は正念場を迎えているとも云えます。

  好決算銘柄が狙い目

 22日の米国市場は、NYダウが下落、ナスダック指数が上昇とまちまちの動きとなりましたが、両指数とも9月以降、順調に上昇しています。8月末からの上昇率はNYダウが11.4%、ナスダック指数が17.1%にもなります。米景気の2番底懸念が後退したうえに、FRBの追加金融緩和期待が上昇をけん引する格好になっています。金融相場になっているわけですが、こうした状況が今後も続くとは限りません。予想を裏切る企業業績や経済指標が相次げば上昇の勢いは失われると見た方がいいでしょう。
 円相場についてはもう少し様子をみる必要がありますが、円はすでに臨界点を超えた水準まで上昇しているとみられます。政府も行き過ぎた円高には断固たる措置を取ると表明しているため、1ドル=80円突破でもしたら積極介入に踏み切るはずです。それゆえ、ここからは円高を懸念した投資行動は取らない方がいいと考えます。このところ東京市場では安値更新銘柄が続出していますが、安値更新銘柄は輸出関連株より内需関連株のの方が圧倒的に多くなっています。
 今週からは3、9月期決算企業の決算発表が本格化します。全体相場とは関係なく、好決算を発表した銘柄が個別に買われる展開になるとみられます。いまの株価は下期以降の業績が悪くなるとの前提で形成されていますので、好業績見通しを発表した銘柄は予想以上に上昇する可能性もありそうです。狙い目となるのは好決算銘柄ですが、会社四季報などを見て好業績が期待できそうな銘柄を先に仕込むのも一法でしょう。

2010年10月18日号

 円高・ドル安の流れに変化の可能性も
 

 東京市場は方向感の定まらない動きとなっています。かつてのような下値を意識しなければならない動きではありませんが、上にも下にも動けない状況になっています。対ユーロでの円高は一巡した感があるものの、対ドルでの円高が株価の頭を押える格好になっています。15日のニューヨーク外為市場では円が一時、1ドル=80円88銭と、1995年4月以来、15年半ぶりの円高水準まで上昇。あと1円ほどで史上最高値を更新する水準となっています。ドルでの決済や米国への輸出依存度の高い経済構造となっているだけに、円高・ドル安の流れが変わらなければ株価上昇は期待できそうにありません。
 ただ下値リスクは乏しくなっています。東京市場は基本的には売られすぎ状態にあり、テクニカル的にはいつ反転してもおかしくない状態になっているからです。売買代金がそれほど増加していないため実感しにくいとは思いますが、下値は次第に堅くなっているように思います。ここへ来ては円高・ドル安の進行でも下げなくなっています。1ドル=80円台まで上昇してくる過程で、円高リスクは相当程度織り込んだからでしょう。
 いまヘッジファンドなど投機筋の円買いポジションは目いっぱい膨らんでいるとみられます。11月決算が多いヘッジファンドが決算を前にそのポジジョンを解消して利益確定を行えば、円高・ドル安の流れに変化が出てくる可能性は充分あります。

  狙い目は好業績が期待できそうな銘柄

 15日の米国市場は、NYダウが下落、ナスダック指数が上昇とまちまちの動きとなりましたが、米国株は9月以降、1ヵ月半以上に亘って順調に上昇しています。8月末からの上昇率はNYダウが10.5%、ナスダック指数が16.7%にもなります。米景気の2番底懸念が後退したことが背景になっていますが、ここへ来てはFRBの追加金融緩和期待が上昇を後押しする格好になっています。いわゆる金融相場、過剰流動性相場になりつつあるわけです。
 円相場についてはもう少し様子をみる必要がありますが、円はすでに臨界点を超えた水準まで上昇しているとみられます。政府も行き過ぎた円高には断固たる措置を取ると表明しているため、1ドル=80円突破でもしたら積極介入に踏み切ると見た方がいいでしょう。ここからは円高を懸念した投資行動は取らない方がいいように思います。現に15日の東京市場では、東証1部の8割超の銘柄が値下がりし、261銘柄が年初来安値を更新しましたが、安値更新銘柄は輸出関連株より内需関連株が圧倒的に多くなっています。
 来週からは3、9月期決算企業の決算発表が本格化します。会社四季報などを見て好業績が期待できそうな銘柄を仕込むときでしょう。東京市場のいまの株価は業績が悪くなるとの前提で形成されていますので、好業績を発表した銘柄は思いの外、上昇する可能性もあるように思います。

2010年10月4日号

 売買代金が徐々に回復
 

 東京市場は方向感の掴めにくい動きとなっていますが、下値を意識しなければならないような動きではありません。先週は週間で日経平均株価が67円(0.71%)下落。海外市場を受けて上げ下げした後はほぼその水準を保ったままか、外為市場を睨んだ動きに終始しています。円相場が1ドル=83円台で高止まりしているため上値は重くなっていますが、市場の雰囲気はそう悪くありません。
 売買代金は少しずつ膨らんでいます。ついこの間まで東証1部の売買代金は1兆円ぎりぎりの状態が続いていましたが、ここへ来て1兆2000億円~1兆5000億円が定着しています。先週末は1兆3264億円。売買高は20億9064万株と連日の20億株超えとなり、日銀が6年半ぶりの円売り介入を実施したことをきっかけに商いが膨らんだ9月15日(23億5804万株)以来、半月ぶりの水準まで回復しています。
 先々週からの上値の重い展開は当然の動きと云えなくもありません。日経平均はフシ目となる25日線を少し割り込みましたが、75日線の上方で推移しており、上昇歩調のチャートは崩れていません。騰落レシオが過熱ラインとされる120%を上回る122%台に上昇したり、株価がボリンジャーバンドの+2シグマを突破したりと、市場がやや過熱気味になっていただけに、反転した後の当然の調整と云えなくもないからです。底値からの上昇率も9.1%になっており、テクニカル的にはいつ調整してもおかしくない状態になっていました。 
 市場の雰囲気が大きく変わったといえる状況ではないため、まだ底を入れたとは云えませんが、「陰極まれば陽転する」との相場格言にもある通り、日経平均は8月31日の8824円で底を付けた可能性もあります。今回の下げはセリングクライマックス的な下げではなかったため、後で分かるような底値になるのではないかとみています。

  狙い目となるのは値幅調整完了型の銘柄か

 1日の米国市場でNYダウは前日比41ドル高の10829円で引けました。ナスダック指数も2.13ポイント高の2370.75ポイント。中国の9月の製造業購買担当者景気指数が2カ月連続で上昇したほか、8月の米個人消費支出が市場予想以上に増加したことを背景に、世界景気は底堅い回復が続くとの見方が強まりました。米ISMが発表した9月の製造業景況感指数で「新規受注」が低下するなど先行き不透明感を反映したものもありましたが、米景気の2番底懸念は後退したとの見方が広がっており、先行きを過度に悲観的に見なくなったことが効いているように思います。
  ただ米景気が回復色を強めているわけではありません。予想を裏切る経済指標が相次げば株価上昇の勢いは失われる可能性がありますが、米国株は7月2日をボトムにNYダウ、ナスダック指数とも戻りに転じてきたのではないかとみられます。
  円相場についてはもう少し様子をみる必要がありますが、日本株はこれまでの下げで想定される悪材料は相当程度織り込んでいるとみられるので、ここは売りでも様子見でもなく、買いを考えるときでしょう。ただし余裕を持ってです。東京市場のいまの株価は企業業績が悪くなるとの前提で形成されていますが、シンクタンクでは今年度の下期業績も市場予想ほど悪くはならないと予想しています。今月下旬からは9月期の決算発表も本格化します。狙い目となるのは値幅調整完了型の銘柄か。
なお次回10月12日号はお休みさせていただきます。

2010年9月27日号

市場の雰囲気はよくなる方向に
 

 先週は立会日が3日と少なかったため、方向性の掴めない動きでした。東京市場が休場だった間に欧米株式市場が景気減速懸念から下落したことを受け、週末に日経平均株価は94円安と下落。週間では3日続落し、155円(1.61%)の下落となりました。24日は、後場に日銀による円売り介入観測が流れ、日経平均が上げに転じる場面もありましたが、野田財務相が為替介入したかについては「ノーコメント」と発言すると再び円高基調となり、介入観測で買いを入れた向きの手仕舞い売りから下げを大きくするといった展開となりました。
 円相場に翻弄される動きでしたが、15日の政府・日銀による円売り・ドル買い介入をきっかけに市場の雰囲気は良くなりつつあります。日経平均はフシ目となる25日移動平均線や75日移動平均線を回復。下値を気にする投資家はかなり減ってきたように思います。円が1ドル=84~85円台で高止まりしているため上値は重くなっていますが、下値も固くなってきたように思います。こうしたなか3日続落したのは、騰落レシオが114%台に上昇したり、25日線からのカイリ率が4.98%に高まったり、株価がボリンジャーバンドの+2シグマを突破したりと、市場がやや過熱気味になっていたからだとみられます。底値からの上昇率も9.1%になっており、テクニカル的にはいつ調整してもおかしくない状態になっていました。3営業日下落したとはいえ、悲観すべき下げではありません。 
 出来高が増えていないためまだ底を入れたとは云えませんが、「陰極まれば陽転する」との相場格言にもある通り、日経平均は8月31日の8824円で底を付け、反転の動きに入っているのではないかとみられます。今回の下げはセリングクライマックス的な下げではなかったため、後で振り返って分かるような底になるのではないかとみています。

 値幅調整完了型の輸出関連株が狙い目

 24日の米国市場でNYダウは前日比197ドル高の10860円で引け、5月12日以来、約4ヶ月半ぶりの高値を付けました。ハイテク株比率の高いナスダック指数も同54ポイント高の2381と急伸し、5月13日以来の高値で引けました。米欧の経済指標を受けて製造業の業況は底堅いとの見方が広がったからです。米景気の2番底懸念は一時より後退していますが、発表される経済指標は予想を上回ったり下回ったりと、景気回復基調が強まっているわけではありません。予想を裏切る指標が相次げば株価上昇の勢いは失われる可能性がありますが、米国株は7月2日をボトムにNYダウ、ナスダック指数とも戻りに転じてきたのではないかと思います。
  円相場についてはもう少し様子をみる必要がありますが、日本株はこれまでの下げで想定される悪材料は相当織り込んでいるとみられるので、ここは売りでも、様子見でもなく、買いを考えるときでしょう。ただし余裕を持ちながらです。狙い目となるのは値幅調整完了型の輸出関連株と見ます。

2010年9月21日号

 すでに底を付け、戻り歩調に入っている可能性も
 

 日銀の円売り・ドル買い介入をきっかけに東京市場の雰囲気は好転しつつあります。先週は週間で日経平均株価が387円(4.2%)円上昇、フシ目となる25日移動平均線や75日移動平均線を回復してきました。8月31日の年初来安値(8824円)からの上昇率は9.1%にもなります。円が1ドル=85円台で高止まりしているため上値は重い状況となっていますが、下値も固くなってきたように思います。   
 出来高が増えていないため底を入れたとはまだ云えませんが、「陰極まれば陽転する」との格言にもある通り、日経平均は8月31日の8824円で底を付け、反転の動きに入っているとみることもできます。今回はセリングクライマックス的な下げではなかったため、後で振り返ってから分かるような底になるのではないかとみられます。  
 日経平均株価は4月から5ヶ月間も下げてきました。下落率も22.2%と世界的に突出しており、値幅的にも日柄的にもひとつの波動が終わった感もします。政府・日銀が円高阻止に向けて断固たる態度を見せたので、円高の流れにはひとまず歯止めがかかったとみるべきでしょう。

 余裕を持ちながら買いを考えるところ

 17日の米国市場でNYダウは3日続伸し、前日比13ドル高の10670円で引け、8月10日以来の高値を付けました。ハイテク株比率の高いナスダック指数も8日続伸し、12ポイント高の2315と5月18日以来、約4ヶ月ぶりの高値で引けました。ISM製造業景況感指数や雇用統計、週間の新規失業保険申請件数、貿易統計と予想を上回る経済指標が相次ぎ、米景気の2番底への過度な懸念が修正されつつあるのが原因。予想を裏切る指標が相次げば上昇の勢いは失われる可能性がありますが、米国株は日本株より一足先に戻り歩調に転じているように思います。
  円相場の動きについてはもう少し様子をみる必要がありますが、東京市場はこれまでの下げで想定される悪材料は相当程度織り込んだとみられるので、ここは売りでも様子見でもなく、買いを考えるときでしょう。21日の米FOMCで追加金融緩和が決定されれば円が再び買われ日本株が売られる可能性もありますが、ここからの一段安はないと考えます。狙い目となるのは値幅調整完了型の輸出関連株と見ています。

2010年9月13日号

 反転の準備を整えている段階か
 

 東京市場は底値圏での動きが続いていますが、先々週までのような下値不安は後退しています。海外要因を受けて上下して始まったりしたあとは方向感のない動きに終始していますが、次第に下値抵抗力をつけているようにも見えます。出来高は細ったままであり、日経平均株価が底を入れたといえる状況ではありませんが、底値圏で反転の準備を整えているようにもみられます。
 今週は円高が一段と進まない限り反発も考えられます。9月のメジャーSQが10日無事通過。14日には民主党の代表選も行われます。これにより、「動けない理由」の一つは解消します。過度な期待は出来ないものの、どちらの候補が勝ったとしても、これまでとは動きが多少は変わってくる可能性はあります。円高やデフレに対する事業規模9.8兆円の緊急経済対策も打ち出されました。為替動向に神経質な動きは変わっていませんが、15年ぶりの円高となる1ドル=83円台半ばの円高は経験済みであり、同程度の円高ならば株価への影響も限定的だと見られます。
 
 余裕を持ちながら買いを考えるところ

 3日発表された8月の米雇用統計が予想ほど悪化しなかったことで、米景気が減速を通り越して2番底に陥るといった「過度の悲観論」は後退しています。市場参加者の極端な悲観が修正されるにつれ、世界の株式市場は徐々に落ち着きを取り戻すとみられます。10日のNYダウは前日比47ドル高の10462ドルと1ヶ月ぶりの高値で取引を終えました。ハイテク株の比率が高いナスダック指数も6ポイント高の2242ポイントと1ヶ月ぶりの高値で引けています。両指数とも9月以降はともに堅調で、すでに戻りを試す展開に入っている可能性もあります。4月に付けた年初来高値からのNYダウの下落率は13.5%、ナスダック指数の下落率は17.4%に達していますから、今回の株価下落を大幅高したあとの調整局面と考えると、値幅的には調整完了といってもおかしくありません。 
 日経平均株価は4月から5ヶ月間も下げています。下落率も22%強と突出しており、日柄的にも値幅的にも、ひとつの波動が終わった感もします。突発的な円高で一段安する場面がないとは云えませんが、これ以上、下には行かないと考えた方がいいのではないかと思います。
 東京市場は円相場いかんの動きとなっていますが、これまでの下げで想定される悪材料は相当程度織り込んだと思われます。東京市場はテクニカル的にも売られすぎ状態にあり、きっかけさえあればいつ反発してもおかしくありません。政府・日銀が漸く動き出したことで反転の時期は近づいているように思います。ここは売られすぎた銘柄や値幅調整完了型の銘柄などを仕込む好機ではないかと考えます。ただし、余裕を持ってです。

2010年8月30日号

 政府・日銀が打ち出す円高・経済対策効果が焦点に
 
 日経平均株価は26、27日と上昇したものの、先週は再び年初来安値を更新してしまいました。3日連続の安値更新となり市場のマインドは極端に悪化していますが、急落といえるような下げにはなっていません。救いといえばこの点でしょう。25日に付けた安値(8845円)は4月の年初来高値からは22.0%、昨年末からは16.1%それぞれ下落した水準。欧米株も8月に入って下落していますが、主要先進国で8月に年初来安値を更新したのは日本だけです。
 このように一人負け状態が続いているのは円高進行が主因。円相場は一時1ドル=83円台まで上昇、収益悪化懸念から輸出関連株が売られる展開が続いています。ただ先週末にかけては、政府・日銀が円高対策や経済対策を打ち出すとの期待が急速に高まり、反発の動きへと変わっています。
 27日夕、菅首相が為替について「必要なときには断固たる措置を取る」と述べ、為替介入も辞さないとの姿勢を見せたほか、経済対策についても、「即効性があり、需要・雇用創出効果の高い施策を実施する」との強い姿勢を示しました。日銀も来月6~7日に開く金融政策決定会合を待たず、今週にも臨時会合を開いて追加の金融緩和に踏み切る見通しとメディアが報じており、政府・日銀が一体となって円高・経済対策に取り組む姿勢を強調しています。今週はこの効果を巡っての動きとなりそうです。

 円安に振れるようなら買いも一法

 27日の米国市場でNYダウは164ドル(1.7%)高の10150ドルと2日ぶりに10000ドルのフシ目を回復して引けました。4~6月期の実質GDP改定値が市場予想ほど落ち込まなかったうえ、バーナンキFRB議長が、「経済見通しがかなり悪化した場合などには追加の金融緩和をする用意がある」と国際経済シンポジウムで講演したことが好感されました。とはいえ米経済は成長が鈍化しつつあり、日本にとっては潜在的な円高圧力が弱まるような状況にはなっていません。
 東京市場は円相場いかんの動きとなっていますので、為替が円安方向に振れるようなら買いを入れる好機かもしれません。日経平均が連日で年初来安値を更新しているのに市場が売り一色の全面安相場になっていないのは、下げている銘柄が円高の影響を受ける輸出関連株などに集中しているせいです。内需関連株はすでに底を入れたものも多く、一段安が懸念されるような状況ではありません。東京市場はテクニカル的に売られすぎ状態にあり、基本的にはいつ反発してもおかしくありません。政府・日銀が漸く動き出そうとしており、反転の時期は近づいているように思います。こうした局面で狙い目となるのは値幅調整完了型の銘柄、それが輸出関連株であればなお良好でしょう。なお次回9月6日号はお休みとさせていただきます。

2010年8月23日号

市場は手詰まり状態に
 
 東京市場は急落したあと再び方向感のない動きとなっています。前日の海外市場を受けて上下した後はほぼその水準を挟んだ狭いレンジの動きになっており、うねりみたいなものは感じられません。商いも低調で、売買代金が1兆円を下回る日も多くなっています。東証1部の6割強の銘柄が企業の解散価値とされるPBR1倍を下回っていますが、市場心理の悪化で割安感だけでは買いも入りにくくなっています。夏枯れ相場といえるような生やさしい状況ではなく、市場には手詰まり感が充満しています。
 米国など世界経済の先行きが不透明で、株の値上がり期待が持ちにくくなってきたことがこうした相場を演出しています。米国では予想を下回る経済指標が相次ぎ、景気の2番底懸念が台頭、国内ではエコカー補助金やエコポイント制度の打ち切りで先行き不透明感が増し、中国でも景気減速懸念が高まるなど不安要素が多くなっています。景気減速を阻止すべく米国が金融緩和に踏み切ったことで、円相場が1ドル=85円台と15年ぶりの円高水準で高止まっていることも相場の重荷になっています。
 
 政府・日銀の円高阻止策が最大の焦点に

 マーケットの焦点は今週予定されている菅総理と白川日銀総裁の会談で円高阻止に向けた具体策が打ち出されるかに集約されます。円売り介入や追加金融緩和など具体的な対策が出なければ円高圧力が一段と強まり、日経平均の9000円割れも考えられます。休むも相場といいまから、円高の動きが一巡するまで様子を見るのも一法ではないかと思います。
 ただ日経平均は欧州問題や円高を受け、年初からの下落率が13%超に達するなど世界でも際立った下げになっています。7月から世界市場が持ち直しているなか、年初来安値を更新したのも日本株だけです。PERやPBRから見る限り株価はいつ立ち直ってもおかしくない水準にありますし、先行きの収益悪化懸念もかなり織り込まれたように思います。常識的に考えれば、ここからの一段安は乏しいように思われます。円高・ドル安の流れが先行き一服すると考えるなら、「値幅調整完了型」の銘柄などは狙い目ではないかと見ています。

2010年10月16日

 円高圧力が高まる
 
 東京市場は先週、波乱の動きとなりました。それまでは底値圏で方向感のない動きが続いていましたが、米国株の下落や円高進行を受け週中ごろから後半にかけて急落、一時は年初来安値更新かという動きになりました。終値ベースでは7月1日に付けた年初来安値(9191円)を下回ることはなかったものの、取引時間中には7月6日のザラバ安値(9076円)はもとより、昨年11月のザラバ安値(9076円)を下回る場面もありました。日経平均株価が10日連続25日移動平均線を上回る状態が続いていたため、底を固めつつあるとの見方もあったのですが、一気に投資心理が悪化しています。
 ここへ来ての株価急落は円の独歩高が主因。欧米諸国が自国通貨安を背景に景気を立て直そうともくろんでいるときに、「景気は回復基調にある」との判断から政府・日銀が動こうとしないため、金融緩和に踏み切った欧米諸国との金利差が縮小し、円高圧力が高まる構図になっています。10日の日銀金融政策決定会合で日銀が金融緩和に動かなかったため、円高圧力懸念から株価が急落し、12日も円相場が1ドル=84円台に上昇したことを受け、売り一色の展開となりました。
 これは迅速な対応が求められているのに、一向に動こうとしない政府・日銀に対してマーケットがしびれを切らした結果です。日本だけの円売り介入では効果がないとの見方がありますが、いま問われているのは企業や家計に大きな影響を及ぼす円高・株安にどう立ち向かうかということに尽きます。主要通貨に対する円の独歩高は企業を海外生産に走らせ、国内雇用を失わせ、そして国内の活力を削ぐ結果になります。2000年以降の国内景気の低迷がそれを物語っています。

 今後の焦点は円高阻止に向けた政府・日銀の対応に

 市場の反乱を受け、12日に財務省と日銀の担当者が内外の金融市場について意見交換したり、菅首相が急激な円高について「動きが激しい」と語ったりしたことは評価していいと思います。円高・株安に対して政策当局が緊張感を持ってきたとみられるからです。ただ伝えられるところでは円高阻止に向けた具体的内容はまったくありません。まだ口先介入といえるほどでもありませんが、いつまでもこうしたことを続けることは出来ません。
 今後の焦点は円高阻止に向けた政府・日銀の具体的動きに移ります。円売り介入や追加金融緩和などの具体的な対策が出なければ一段と円高になり、日経平均の9000円割れも考えられます。休むも相場といいまから、為替が円高修正の動きに変わるまで様子を見るのも一法でしょう。ただ日経平均は欧州問題や円高を受け、年初からの下落率が12.8%に達するなど世界でも際立った下げになっています。7月から世界市場が回復しているなか、取引時間中とはいえ、年初来安値を更新したのも日本株だけです。常識的に考えれば、ここからの一段安は乏しいようにも思います。円高・ドル安の流れがいずれ一服すると期待する方は、売られすぎた輸出関連株や下げ止まった輸出関連株などを狙うのも一法ではないかと見ています。

2010年8月9日号

 米景気の先行き不透明感が新たな重荷に
 
 東京市場は底値圏で方向感のない動きが続いています。海外市場の流れを受けて上げ下げを繰り返す動きから抜け出せません。先週の日経平均株価の週間騰落幅はプラス105円(1.10%)。7月1日に付けた年初来安値(9191円)や7月22日に付けた安値(9220円)を割り込みそうな相場付きではありませんが、掴みどころのない動きが続いています。ここまで相場がひどくなったらきっかけ次第では一気に反発するものですが、いまのところそのきっかけになりそうなものも見当たりません。 
 欧州主要銀行のストレステスト結果が想定の範囲内に収まったことで、ギリシャ問題をきっかけとしたユーロ問題はひとまず後退しましたが、それに替わって今度は米国問題がマーケットの最大の懸念材料となっています。予想を下回る経済指標の発表が相次ぎ、景気減速懸念が台頭してきたからです。21日の議会証言でバーナンキFRB議長が、米経済は緩やかな回復過程にあるものの、先行きは「異例なほど不確か」と指摘したことも投資家心理を悪くする形になっています。
 30日発表した4~6月期の米実質GDP成長率は前期比2.4%と1~3月の3.7%から大幅に鈍化しました。設備投資の好調などを背景に4期連続のプラス成長とはなっていますが、企業が雇用増に慎重なため、GDPの7割を占める個人消費は緩やかな増加にとどまったままです。景気対策を主眼としたこれまでの財政主導の回復から民需主導の回復へとバトンタッチがうまく進まなければ米景気は踊り場をさまよう恐れがありますが、こうした米経済の先行き不透明感が新たな重荷になりつつあるわけです。

 売られすぎた輸出関連株などが狙い目

 6日発表した7月の米雇用統計も予想を下回るものでした。非農業部門の雇用者数は前月比13万1000人の減少。前月に続き米政府の国勢調査に伴う臨時職員が減ったことが主因ですが、市場で注目されている民間部門の雇用者数は7万1000人の増加にとどまりました。市場予想(8万3000人)をやや下回ったうえ、6月の雇用増加数が前月比3万1000人の増加と5万2000人下方修正されたため、雇用の回復に足踏み感が強まる形になっています。これを受け、6日の米国市場でNYダウは一時160ドル近く下げる場面がありました。ただ売り一巡後は急速に下げ幅を縮小、終値は21ドル(0.2%)安の10653ドルまで戻しています。今週10日に開くFOMCで金融緩和策が議論されるとの観測が浮上、金融緩和への期待が膨らんだ形になっています。 
 バーナンキFRB議長は米景気の回復が思わしくなければ追加金融緩和の可能性も排除しないと表明しているため、今週以降は米国の追加金融緩和策がどういうものになるかが焦点となりそうです。米国の金融緩和は円高圧力につながるだけに、日本株にはネガティブに作用しそうです。
 ただ円高・ドル安はもう3年以上も続いています。3年前の07年6月は1ドル=124円台でした。それがいまは85~86円台。この3ヶ月でも10円近い円高になっています。今回の円高は日本経済のファンダメンタルズを背景にしたものではなく、消去法的に買われた円高にすぎません。サブプライム問題や金融危機でドルが買えないから仕方なく円が買われているだけです。積極買いではないため、きっかけ次第では反転の可能性は高いと考えられます。
 休むも相場といいまから、今後も円高が続くと見ている方は休んだほうがいいでしょう。いずれ円安に転じると見るなら買いです。欧米主要国の株式市場は欧州銀行のストレステスト結果公表を手掛かりに7月上旬から反転し、戻りを試す展開になっています。底値から上昇率は英・独・仏・米・加で10%前後にもなります。それに比べ日本株はまだ4.9%しか上げていません。ギリシャ、スペインなど当事国を除くと欧州危機で下落率が最も大きかったのは日本株でしたから、東京市場ももう少し10%近く戻しておかしくありません。ここは円高・ドル安の流れがいずれ一服することを期待し、売られすぎた輸出関連株や下げ止まった輸出関連株などを狙う局面ではないかと見ています。

2010年8月2日号

 米景気の先行き不透明感が新たな重荷に
 
 東京市場は底値圏で方向感のない動きが続いています。海外市場の流れを受けて上げ下げを繰り返す動きから抜け出せません。先週は週間で日経平均株価が107円(1.13%)上昇しました。終値は9537円。7月1日の年初来安値(9191円)や7月22日の安値(9220円)を割り込みそうな動きではなく、これまでのような悲観一色の相場展開ではありませんが、掴みどころのない相場が続いていることに変わりはありません。ここまで相場がひどくなったらきっかけさえあれば一気に反発するものですが、いまのところそのきっかけになりそうなものも見当たりません。
 23日発表した欧州主要銀行のストレステスト結果が概ね想定の範囲内に収まったことで、ギリシャ問題をきっかけとしたユーロ問題はひとまず後退しましたが、それに替わって今度は米国問題がマーケットの最大の懸念材料となりつつあります。予想を下回る経済指標が相次ぎ、景気減速懸念が台頭してきたからです。バーナンキFRB議長が21日の議会証言で、米経済は緩やかな回復過程にあるものの、先行きは「異例なほど不確か」と指摘したことが投資家心理に影を落とす形になっています。
 30日に米商務省が発表した4~6月期の米実質GDP成長率は前期比2.4%増となりました。設備投資の好調などを背景に4期連続のプラス成長とはなったものの、伸び率は前期の改定値(3.7%)を下回り、経済成長の減速を映す形となっています。業績が回復したとはいえ、企業が雇用増に慎重なため、GDPの7割を占める個人消費は緩やかな増加にとどまったまま。景気対策を主眼としたこれまでの官需主導の回復から民需主導の回復へとバトンタッチがうまく進まないと米景気は踊り場をさまよう恐れがありますが、こうした米経済の先行き不透明感が新たな重荷になりつつあるわけです。

 好業績銘柄などが狙い目

 4~6月期のGDP成長率が予想をやや下回ったため30日のNYダウは120ドル近く下げる場面がありましたが、7月のシカゴ購買部協会景気指数(PMI)が予想を上回る改善を示したため、その後は下げ幅を縮小、前日比1.22ドル安の10465ドルで取引を終えました。先行きに対する確たる見通しがないため経済指標に一喜一憂する展開です。景気に方向感が出てくるか、金融・財政当局による新たな政策が発動されるまでは、米国株も上値を取ってくるのは困難なように思われます。
 とはいえ主要国の株式市場は、欧州主要銀行のストレステスト結果公表を材料に7月6日ごろから反転、底値から10%近く上昇した水準まで戻しています。それに比べ日本株はまだ3.7%しか戻していません。ギリシャ、スペインなど当事国を除くと、欧州危機で下落率が最も大きかったのは日本株でしたから、東京市場も底値から10%近くは戻しておかしくありません。
 マーケットには無気力感さえ漂っていますが、ここまで地合いが悪化したら、これ以上、悪化のしようがありません。米景気の減速懸念から円高・ドル安の流れになりつつありますが、東京市場はテクニカル的にも売られすぎ状態になっているだけに、ここは買いに分があるように思います。決算発表が本格化しているため、決算を発表した銘柄か、売られすぎた銘柄、下げ止まった銘柄などが狙い目ではないかと見ています。

2010年7月26日号

 欧州のストレステストを無難に通過
 
 東京市場は底値圏で方向感のない動きが続いています。海外市場の流れを受けて上げ下げを繰り返す動きから抜け出せません。先週は日経平均株価が4営業日中、3営業日下落。22日まで5日続落する弱い動きとなっていましたが、週末の23日は210円(2.28%)高と急反発。週間の騰落幅はプラス22円と上昇して引けました。日経平均の終値は9400円。
 23日の相場にはこれまで見られなかった強さも感じられました。寄り付き前の外国証券経由の売買注文が差し引き2090万株の大幅買い越しだったように外国人買いも流入。後場は一段高となり、一時、253円高の9474円まで上昇する場面もありました。欧州金融機関へのストレステストの結果発表を控え、海外投資家からの買い戻しや新規買いも入っていたようです。前日までの5日間で575円下げていたため、空売りを仕掛けていた向きの買い戻しも上げに拍車をかけました。後場中ごろから対ドル、対ユーロで円が上昇したなかでの大幅高だけに流れが変わったのではと思わせる動きでした。
 この背後にあるのは欧州株の反発だと思われます。欧州株は22日も前日に続いて全面高の展開となっていました。フランス株は前日比3.05%、英国株は1.90%、ドイツ株は2.53%、スペイン株は2.61%といずれも1%を超える大幅な上昇。23日に発表される欧州主要銀行のスレステスト結果が概ね良好なものになりそうで、市場の不透明感が薄れるとの期待が高まったからです。欧州株のこうした動きを見て米市場でも行き過ぎた悲観が後退したのでしょう。21日の米市場では建機大手キャタピラーやスリーM、貨物大手UPSの好決算を受け、企業業績への期待からNYダウが201ドル(2.0%)高と急伸。それまでは好決算を発表しても先行き悪くなるだろうとの観測から売られる展開が続いていただけに、こうした地合いの変化が先週末の日本株の上昇を支えたのではないかと思われます。

 過度な悲観は変わる方向に

 欧州の銀行監督当局で構成する欧州銀行監督委員会は23日夕方(日本時間24日未明)、域内20カ国の銀行91行のストレステスト結果を発表しました。景気や市場環境が予想以上に悪化した場合に自己資本比率が6%を下回る資本不足と認められたのは、ヒポ・レアルエステート(独)やスペインの貯蓄銀行など中堅以下の7行。不足とされた額は7行合計で35億ユーロ(約3900億円)でした。資本不足と認定された銀行は事前予想より少なく、査定が甘いのではないかとの不安もくすぶりそうですが、これを受けた23日の米国市場では重要日程を無難に通過したことから、好業績や増配など好材料の出た銘柄を中心に買い直され、NYダウは前日比102ドル(1.0%)高、ハイテク株の比率が高いナスダック指数も同23ポイント(1.0%)高とともに1ヶ月ぶりの高値で取引を終えました。
 リーマンショックのトラウマが残り、世界的に市場のセンチメントは悪い方、悪い方へ傾いていました。市場が一種の恐怖状態に陥っている中では、まともなことをいくら言っても見向きもされません。先週21日ごろまではまさにこういう状況でした。ストレステスト結果を受けた23日の米国株の動きからも、こうしたセンチメントは変わりつつあるのではないでしょうか。
 底値圏で箸にも棒にもかからない「どうしようもない」相場が続いているので、マーケットには無気力感さえ漂っています。東京市場は「何をやってもダメ」といったあきらめのムードになっていますが、ここまで地合いが悪化したら、これ以上、悪化しようがありません。あとは良くなるだけだと思います。テクニカル的にも東京市場は売られすぎ状態になっています。欧州のストレステストを通過したことで流れが変わってくる可能性は充分あります。ここは余力を残しながら、売られすぎた銘柄や下げ止まった銘柄を仕込むときではないかと見ています。

2010年7月20日号

 米景気の先行き不透明感が新たな懸念材料に
 
 相場には方向感がありません。先週は海外市場の流れを受けて日経平均が乱高下。14日には258円高し、先行きに期待感が広がったと思ったのも束の間、15、16日と続落。特に16日は前日比277円安と厳しい下げになりました。5営業日中、4営業日下落する展開で、日経平均の週間の下落幅は177円(1.85%)となりました。
 16日の下げは特異な下げだったように思います。米国で市場予想を下回る経済指標の発表が相次いでいたことや、外為市場で円高・ドル安に振れたことから、10:00過ぎから下げ足が加速。先物への外国証券の仕掛け的な売りもあり、裁定解消売りから指数だけがするする下げる形となりました。米国景気の先行き懸念から市場心理が悪化し、買いが入りにくくなっていることがこうした相場を演出しています。
 一難去ってまた一難。東京市場はそんな状況になっています。先々週まではギリシャを始めとした欧州問題が株価の最大の懸念材料となっていました。しかし今月23日のストレステスト結果公表を前に、資本不足になった銀行にはEU基金などを活用して資本注入することが決まってからは欧州金融システムへの不安が後退。先々週あたりからは格付会社のポルトガル国債の格下げを受けても欧州株が下げなくなったことで、市場では欧州の財政不安はほぼ織り込まれたとの見方が広がっています。金相場がピークアウトしたとみられることや、ユーロが対ドル、対円で強含んできたことからもその可能性は大でしょう。こうしたなか米国問題が相場の懸念材料としてまた浮上してきたわけです。
 
 狙うのは売られすぎた銘柄や下げ止まった銘柄

 16日の米国市場でNYダウは大幅続落し、前日比261ドル(2.5%)安の10097ドル、ナスダック指数も70ポイント(3.1%)安の2179ポイントで取引を終えました。バンク・オブ・アメリカやグーグルなど主要企業の決算内容が市場予想に届かなかったことや、7月の消費者信頼感指数が市場予想を大幅に下回ったことで、米景気の先行き懸念が高まったことが背景。米市場では、企業の力強い決算が景気の先行き不透明感を払拭するとの期待から株式が買われていましたが、市場予想を下回る経済指標や弱い経済指標が相次いでいることで、そうした期待が剥落しつつあります。
 ただ市場予想を下回る経済指標は春先まで急回復が続いていた米経済が巡航速度に軟着陸していることを示す結果とも考えられます。どん底から急浮上してきた経済がある一定の水準まで回復すると踊り場を迎えるように、経済指標もいいものと悪いものが出てくるのは当然です。米経済は全体的には改善しているものの、悪い指標や予想を下回る経済指標に過剰に反応しているだけではないかとも考えられます。
 投資家のリスク資産外しの動きは一巡しつつありますが、半面、外為市場では米景気の減速懸念が強まり、投資マネーがドルから円やユーロに向かっています。16日の米国市場では円相場が一時1ドル=86円台前半まで上昇、7ヵ月半ぶりの高値を付けました。株式市場では先週あたりから円高・ドル安が懸念材料となっていますが、日本経済への影響が大きい米国景気、円・ドル相場の動向が今後の日本株を見極めるポイントとなりそうです。
 東京市場は底値からやや戻してはいますが、底値圏にあるのは事実。底打ち感はなかなか出ませんが、ここからの一段安も考えにくいので、下げた場面があったら買いを入れるべきでしょう。全力買いはお勧め出来ませんが、余力を残しながら、売られすぎた銘柄や下げ止まった銘柄を仕込むときではないかと見ています。

2010年7月12日号

 相場反転の機運も
 
 先週はあっという間の1週間とも、長い1週間ともいえる1週間だったのではないでしょうか。調整色の強い相場が続き、先が読めない状態だったのですが、1週間が経過して日経平均株価は382円(4.15%)上昇。6日には日経平均が9091円まで下げ、一時は9000円割れかという場面もあったのですが、終わってみれば取引時間中の安値から494円も上昇して引けています。5営業日中、4営業日上昇する展開で、日経平均の動きからは底打ちした可能性も感じさせる動きとなっていますが、投資マインドは回復していません。
 週後半からの上昇で下値不安はひとまず後退したものの、反発力が鈍く、底を入れたとの見方は広がって来ないのがマインドが回復しない原因ではないかとみられます。先週は相場を見ていて流れが変わったのではと感じさせられた日が2回ありました。1回目は日経平均が9091円まで下げてから急反発してきた6日、2回目は256円高した8日です。8日は大幅反発したのに東証1部の売買代金は前日より372億円しか増加しませんでした。売り方の買い戻しで株価が上昇したからですが、これは下落相場がトレンド転換するときよく見られる現象です。昨年3月と11月の相場反騰時も買い戻しがきっかけとなりました。これでもかというくらい悪材料が続いても9000円を割れなくなったので、売り方が下値は堅いとみて一斉に買い戻してきたからではないかと見ています。
 悪材料を挙げればきりがありませんが、東京市場はすでに売られすぎ状態にあり、テクニカル的にはいつ反発してもおかしくありません。東証1部上場銘柄の平均PBRが1.04倍と解散価値すれすれの水準まで低下していることからも、下押し懸念は乏しいと見られます。悪材料が相次いでも9000円を割らなかった今回の動きをきっかけに日経平均の9000円以下はないとの見方が広がってくれば、相場反転の機運も高まってきます。

 投資対象は売られすぎた銘柄や下げ止まった銘柄

 9日の米国市場でNYダウは4日続伸し、前日比59ドル(0.6%)高の10198ドルで取引を終えました。ダウ平均の週間の上げ幅は511ドル(5.3%)で、昨年7月以来、約1年ぶりの大きさとなります。今週から始まる米主要企業の決算発表を前に、業績への期待が高まったのが背景といわれています。これが事実なら「過度な不安」が後退したことになります。米国株は良好な経済指標が発表されても事前予想を下回る内容だったため、これまでネガティブに評価されていました。順調と予想される4~6月期決算をネガティブな目(いま業績が良くても先行き悪化するのではという見方)でなく冷静に見ることが出来たら、上昇余力も生まれます。
 リーマンショック以降、NYダウはこれまで4回、大きな調整を入れています。その時期・期間は昨年1~3月が9週(下落率26.65%)、昨年6~7月が4週(同7.42%)、今年1~2月が4週(5.71%)、そして今年4~7月が10週(同13.56)です。期間でみても値幅でみても調整は充分です。米国経済の2番底懸念が薄らいでいることもあり、きっかけ次第では一気に反転する可能性もあり得るわけです。
 欧州の金融機関の資産査定(ストレステスト)結果が23日に公表されることになり、欧州の金融システムの透明性が高まることもマーケットにはプラス。金相場はすでに下落に転じており、米長期金利も低下基調が止まっています。投資家のリスク資産外しの動きは一巡しつつあり、円に流れ込んでいたマネーもドルやユーロ、新興国通貨に戻り始めています。ユーロ不安をきっかけとした「過度な不安」が後退してきたことで、マーケットは落ち着きを取り戻しつつあるように思います。
 前述したように東京市場は売られすぎ状態にあり、業績や投資尺度からも底値ゾーンに到達したことは疑いないと思います。通常であれば「買いに出る」レベルに到達しているものの、なかなか底打ち感が出ず、買いに二の足を踏ませる状態になっています。こういう局面では投資家心理ではなく、テクニカル指標を信じるべきではないかと思います。全力買いはお勧め出来ませんが、余力を残しながら、売られすぎた銘柄や下げ止まった銘柄を仕込むときではないかと見ています。

2010年7月5日号

 調整局面も、相場は方向感のない状態
 
 東京市場は調整色の強い相場が続いています。先週は5営業日中、4営業日が下落する展開で、日経平均株価は6月9日に付けた年初来安値を更新してしまいました。日経平均の週間の下落幅は534円(5.48%)。TOPIXは1日まで8日続落する厳しい下げとなっています。ダブルボトムを形成し、一時は反騰局面に転じるかと思われていたのですが、逆に年初来安値を更新してきたことで、先行きの見通しが立てにくくなっています。自律的な相場形成が出来ないため、海外要因を受けて寄り付いた後はその水準を挟んだ狭いレンジの動きが続いており、方向感の乏しい展開となっています。
 こうした相場になっているのは世界景気の先行きに不透明感が増してきたことが主因。欧州危機、米国の雇用不安、中国の景気減速懸念などグローバルな悪材料に囲まれ、世界景気の2番底に対する、そこはかとない不安が投資家の景気回復に対する自信を喪失させ、ひとまず持ち株を手放す動きにつながっているようです。ギリシャ危機などを受けて欧州諸国が財政再建を優先する政策に一斉に舵を切ってきたことも、世界景気の下押し要因として意識されています。外国人の日本株売りは5月ごろに比べ大きく縮小していますが、放出の動きが止まったわけではないため、方向感らしきものはまだ出てきません。

 アク抜けのタイミングを探る段階

 2日発表した6月の米雇用統計で、非農業部門の雇用者数は前月比125000人の減少となりました。民間部門の雇用者数は83000人増加したものの、前月まで雇用者数を押し上げていた米政府の国勢調査に伴う臨時職員が225000人減少したのが原因。非農業部門の雇用者数が半年振りに落ち込んだことに意外感はないものの、製造業での回復が鈍く、全体では雇用改善に減速感が出る形になっています。これを受け同日のNYダウは120ドル近く下落しましたが、その後は下げ渋り、終値は46ドル(0.47%)安の9686ドルまで戻しています。減少幅が予想より大きかったものの、民間部門の雇用改善基調は続いていると受け止められたからでしょう。
 今月末までに欧州主要金融機関の資産査定(ストレステスト)結果が公表されます。銀行の資本不足が明らかになった場合、各国政府が即座に資本注入に動くかは不明ですが、査定結果の公表は市場の不安解消につながります。資本注入が必要な金融機関が出てきたとしても、かつてのように信用不安が広がることはないはずです。資産査定結果公表によって欧州問題が解決するわけではありませんが、順調なら欧州不安は今月末で一応の収束を見る可能性もあります。
 東京市場は閉塞感に覆われたようになっていますが、企業業績や投資尺度から見る限り、底値ゾーンに到達したことは疑いないと思います。東証1部上場銘柄の平均PBRは1.04倍とすでに解散価値すれすれの水準まで低下しているほか、ボリンジャーバンドのマイナス2σを下回る水準まで日経平均は下落しています。通常であれば「買いに出る」レベルに届いているものの、なかなか底打ち感が出ず、投資家は買いに二の足を踏む不思議な状況が続いています。財政再建の方向に各国の政策バイアスがかかってきたため、米国や日本の景気に腰折れ懸念が出ているからです。いまは足元の好業績が「買う理由」にならず、むしろ、いずれ坂道を転げ落ちていくような疑心に駆られ、買いが引っ込み、売りが自己増殖していく異常な相場付きになっています。とはいえ株価が底値ゾーンに到達しているのも事実。ここはアク抜けのタイミングを慎重に探るときではないかと思います。

2010年6月28日

 相場は方向感のない状態に
 
 東京市場は調整色の強い相場となっています。先週は5営業日中、3営業日、日経平均が100円以上も下落。人民元相場の弾力化を好感して21日に急伸した分を帳消しにしたどころか、週間で258円(2.58%)も下落する結果となりました。自律的な相場形成が出来ず、海外要因を受けて下落した後は方向感のない動きとなっています。売買代金が1兆円を割れそうな日もあり、ちょっとした売り物が出れば下げ、買い物が入れば上げと、どこを向いているか分からない状態になっています。
 こうした相場になっているのは世界景気の先行きに不透明感が増してきたからです。米国では5月の雇用統計に続いて5月の中古住宅販売件数、新築住宅販売件数が市場予想を大幅に下回り、住宅市場の回復の遅れも鮮明になっています。こうしたなか欧州諸国がギリシャ危機などを背景に財政立て直しを優先する政策に一斉に舵を切りつつあり、欧州経済、延いては世界経済に悪影響を及ぼすとの懸念が出てきています。
 財政政策を巡っては成長を損なわないようにすべきだとする米国と、財政立て直しを放置して投機対象になることを恐れる欧州が完全に対立する構図となっています。こうした状況では投資スタンスを明確にすることが出来ず、結果として外国人も日本株に対し様子見となり、スタンスのはっきりしない状態になっています。東京市場のメインプレイヤーである外国人が動かなければ、日本株に方向性が出るはずもありません。

 狙い目は売られすぎた銘柄や底値圏にある銘柄か

 米国の上下両院は25日、金融危機の再発防止のため、1930年代以来の包括的な金融規制改革となる金融規制改革法案の一本化で合意したと発表しました。今週にも上下両院で採決する方針で、オバマ大統領は7月4日までの署名・成立を目指していると伝えられています。高リスク投資の制限や取引の透明化で金融機関の収益が低下するのは避けられないものの、過度な規制は市場の効率性を阻害するとして、銀行本体からの完全分離を求められていたデリバティブ取引は、通貨や金利など本業のリスク回避に関連する取引については本体に残すことが認められました。自己勘定での高リスク取引についても、ヘッジファンドや買収ファンドへの投資を完全に禁止することはせず、自己資金の3%を上限に認めることが決まりました。市場の効率性に配慮した形になっており、5月に上院で可決した法案よりも規制色はやや後退した内容にになっています。25日のNY市場ではこれが好感され、金融株が買われました。同法案は株価の押し下げ要因となっていましたが、今後は懸念要因ではなくなってきます。
 EUは7月に金融機関の資産査定(ストレステスト)結果を公表します。銀行の資本不足が明らかになった場合、各国政府が即座に資本注入に動くかは不明ですが、査定結果の公表は少なくても不安解消につながります。資本注入が必要な金融機関が出てきたとしても、かつてのように信用不安が広がることはないはずです。欧州問題がこれで解決するわけではありませんが、順調なら欧州不安は来月で一応の収束を見るのではないかとみられます。
 相場の地合いは悪くなっていますが、ここで弱気になる必要はないと思います。日経平均はダブルボトムを形成し、すでに底は付けているとみられるからです。ユーロ不安を受けた株価下落率も当事国のギリシャ・スペインなどを除くと群を抜いています。6月9日に付けた年初来安値9439円を下回ってどんどん下がっていくとは思えません。積極買いとまではいきませんが、売られすぎた銘柄や底値圏にある銘柄は狙い目ではないかと考えます。

2010年6月21日号

 日経平均はダブルボトムを形成
 
 東京市場は次第に落ち着きを取り戻して来ました。不安心理が払拭されたとまでは云えませんが、5月下旬から6月上旬までのような過度な不安心理は薄らいだように思います。日経平均株価はチャート上、5月25日の9459円と6月9日の9439円でダブルボトムを形成した可能性が強まっていましたが、先週、ネックラインの9914円を上回ったことで、ダブルボトム形成となりました。売買代金はと細っていますが、チャートは上昇余地が広がるいい形になったと云えます。
 先週は日経平均株価が週間で290円(2.99%)上昇。18日の終値は9995円と10000円を割り込みましたが、16日には19営業日ぶりに心理的なフシ目の10000円を回復する場面もありました。10000円の大台を回復した後は方向感のない動きになっていますが、海外での材料待ちという状況からは致し方ないのかもしれません。国内要因で考えれば、大台回復である種の目標達成感みたいなものが出ていましたので、一息ついた後、方向性を見極めている段階と言えなくもありません。先々週から先週にかけて日経平均は5連騰し、底値から556円上昇した水準まで来ましたので、もはや下値リスクを心配する状況ではなくなっています。流れは変わったと見ていいと思います。

 狙い目は外需関連株か

 欧米株式市場はこのところしっかりした展開になっています。欧州で新たな不安が次々出てくる状況が終息したとは云えませんが、問題含みのところはあらかた出尽くしたのではないかと思います。となれば、これまでの相場下落で欧州不安はかなり織り込まれた可能性もあるわけです。ユーロ不安の震源地になった南欧諸国だけでなく、ドイツなどユーロ加盟国の多くが一斉に財政削減に舵を切ったことから、ユーロ不安は後退しつつあると見るべきではないかと思います。緊縮財政による景気悪化懸念は残るものの、欧州諸国の株価が5月25日ごろを底に軒並み反騰しているのは、その表れではないかと見られます。
 こうした中、EUは17日の首脳会議で、金融機関の資産査定(ストレステスト)を7月に公表すると発表しました。査定結果をいち早く公表し、資本注入も行った米国は、金融機関に対する不安払拭に成功しましたが、欧州では査定結果が公表されなかったため、市場の不信を増幅し、今回の危機を招いたという反省があったからです。銀行の資本不足が明らかになった場合、各国政府が即座に資本注入に動くかは不明ですが、市場では欧州の金融機関は不良債権が膨張し、高水準の引き当てを迫られていると見ているだけに、査定結果の公表は不安解消につながるはずです。例え資本注入が必要な金融機関が出てきたとしても、かつてのように信用不安が広がることはないと見られます。順調なら欧州不安は来月で一応の収束を見るのではないでしょうか。
 外国人の大量の日本株売りが5月の相場急落の主因となりましたが、その売越額は急速に縮小しています。寄り付き前の外国証券経由の売買注文もここへ来て買い越しになる日が増えており、外国人の売買にも変化が出てきたのではないかと思われます。自国の株式市場が落ち着いてきたため、日本株にも目を向ける余裕が出てきたからでしょう。
 5月の日経平均株価の下落はユーロ不安など海外要因が原因でした。そのため海外要因が落ち着けば、企業業績などファンダメンタルズのよさが織り込まれる動きになるとみられます。日本株はユーロ不安の震源地となった南欧諸国を除くと世界で最もきつい下げに見舞われただけに、不安後退となれば反発は大きなものになる可能性があります。東京市場はテクニカル的にも売られすぎ状態になっていましたので、ここからは買い考えるべきでしょう。今回の株価下落は決算発表期間中に起きました。好決算が株価に反映されていない銘柄も相当な数にのぼります。狙い目となるのはそういう銘柄でしょう。円高・ユーロ安の流れに一巡感も見られるので、内需関連よりは外需関連の方がいいように思います。

2010年6月14日号

 流れが変わった可能性も
 
 東京市場は次第に落ち着きを取り戻しています。不安心理はまだ払拭されてはいませんが、先々週から先週前半までのような過度な不安心理はかなり和らいだように思います。日経平均が底を入れたとはまだ云えませんが、チャート上は6月9日の9439円で目先の底を入れた可能性があります。
 先々週から先週にかけては首相が交代するなど政治的なビッグイベントがありました。今週以降は、菅新首相が所信表明演説で打ち出した政策をどのように具体化していくかが焦点となってきます。メディアは、大都市のインフラ整備を進めるため「大都市圏戦略基本法」の制定を目指すなど、新政権の新成長戦略の骨格が11日明らかになったと伝えていますが、その工程表に盛り込まれた主な政策を見ると、前政権にはみられなかった強い意気込みみたいなものが感じられます。東京市場は前政権の政権運営能力のなさを織り込んで実態以上に下げていた面もあったとみられるだけに、株価には多少なりとも追い風になるのではないかと思います。
 騰落レシオが16日連続で80%を割り込むなど東京市場はテクニカル的にいつ反転してもおかしくない状態にあります。そうした中の10日と11日の続伸。日経平均が続伸するのは今月に入って初めてですが、株価が大きく売り込まれたあと反転するときは、必ず何日か続伸します。先週末にかけての東京市場の動きは流れが変わった可能性を予感させるものでした。
 5月末から6月にかけて東京市場は小康状態から反発局面に入ろうかという状況になっていましたが、そのときは6月4日のNYダウの急落(323ドル安・3.2%)に打ち砕かれてしまいました。ハンガリーの財政不安と予想を下回る5月の米雇用統計が原因でした。しかしその後のメディア報道で、ハンガリーの財政問題は大したことがないことが明らかになりました。米雇用統計についても、事前の期待値が高かっただけで、改善傾向が続いていることに変わりはありません。

 ここは買いを考えるところ

 欧米株式市場はこのところしっかりした展開になっています。ハンガリー問題については特に懸念されるレベルの問題ではないことも明らかになっています。欧州で新たな不安が次々に出てくる状況が終息したとは云えませんが、問題含みのところはあらかた出尽くしたのではないかとも思えます。ということは、これまでの下げ過程で欧州財政不安はかなりの部分、織り込まれた可能性があるわけです。ユーロ不安の震源地になったギリシャ、スペインなど南欧諸国だけでなく、ドイツなどユーロ加盟国の多くが財政削減に一斉に舵を切ったことから、今回、問題になったユーロ不安はひとまず後退する可能性が出てきたのではないでしょうか。緊縮財政による景気悪化懸念は残るものの、欧州諸国の株価が5月25日ごろを底に軒並み反転しているのは、その表れではないかと考えられます。
 米国株もここへ来て堅調な足取りになっています。NYダウは11日も続伸、前日比38ドル高の10211ドルと10000ドルを回復して引けています。週間の上昇幅は280ドル(2.82%)。中国政府が10日、発表した5月の貿易統計で、輸出が前年同月比48.5%増の1317億6100ドル、輸入が48.3%増の1122億2800万ドルと、輸出入とも大幅に伸びたため、世界景気の先行き不透明感が後退したと受け止められたこと、6月の消費者態度指数(ミシガン大学調べ)が予想以上に伸び、消費者心理の悪化懸念が薄らいだことなどが要因。5月の米小売売上高は政府の住宅購入減税が4月で終了したため、8ヶ月ぶりに前月実績を下回りましたが、前年同月比ではプラスを維持しており、個人消費が緩やかに回復していることに変わりはありません。
 外国人は5週連続日本株を売り越しており、日本株下落の主因ともなりましたが、その売越額は5月第3週の3024億円から第4週321億円、6月第1週69億円と急速に縮小しています。11日の寄り付き前の外国証券経由の売買注文は6日ぶりに差し引き380万株の買い越しとなりました。買い越しとなるのは今月2回目ですが、売り越し幅が次第に減少して買い越しに転じていることから、外国人の売買にも変化が出てきたのではないかと思います。自国の株式市場が落ち着いてきたため、日本株にも目を向ける余裕が出てきたのではないかと見られるからです。
 5月の日経平均株価の下落はユーロ不安など海外要因が原因でした。そのため海外要因が落ち着けば修復相場になるとみられます。日本株はギリシャ、スペインなどユーロ不安の震源地となった当事国を除くと世界で最もきつい下げに見舞われていただけに、ユーロ不安後退となれば、反発は大きなものになる可能性大でしょう。東京市場はテクニカル的にも売られすぎ状態になっていますので基本的には、ここからの一段安はないとみています。したがって下げた局面があれば押し目買いの好機と捉えるべきでしょう。今回の株価下落は決算発表期間中に起きました。好決算が株価にあまり反映されていません。積極的とまではいかなくても、ここは買いを考えるときでしょう。好業績が織り込まれていない銘柄、売られすぎた好業績銘柄などが狙い目となりそうです。

2010年6月7日号

 過度な不安心理は薄らぐ
 
 5月31日号で「流れが変わった可能性も」と指摘しましたが、東京市場は次第に落ち着きを取り戻しています。不安心理はまだ払拭されてはいませんが、先週前半までのような「過度な不安心理」はかなり薄らいだように思います。日経平均が底入れしたとはまだ云えませんが、チャート上は5月25日の9459円で当面の底を入れた可能性が高まっています。先週末の日経平均株価はそこから442円上の9901円。下へののりしろも大きくなっており、下値リスクも後退しています。
 先週は鳩山首相が退陣し、菅直人副総理・財務相が新首相に選出さるという政治的なビッグイベントもありました。市場の関心は菅首相が財政再建や中長期の成長戦略を打ち出せるかに集まっていますが、肝心の閣僚人事や党役員人事は週明けに発表されるとのこと。新内閣が発足するのは8日からとなる見通しですが、それまでは国内要因では株価は動きようがありません。日本経済に対する投資家の危機意識は強く、新内閣発足直後から政策実現に向けた具体策を速やかに打ち出さなければ、市場の期待が失望に変わる可能性もありますが、この点についてはJCブレインでは楽観しています。少なくとも今の株価は鳩山前政権の政権運用能力のなさを完全に織り込んでおり、最上ではなくても平均的な政権運用能力があれば、好感される可能性が大と思うからです。
  理想を掲げながらも原理主義に走らず、リーダーシップもあり、厚生大臣のとき、それなりの実績もあげています。いまの日本経済に必要なのは中期的な成長ビジョン。それを実現する具体策が打ち出されれば好材料となるはずです。また5月以降の株価下落はユーロ不安など海外要因で暴力的に下げさせられたものだけに、海外要因が落ち着けばファンダメンタルズの良さが株価に反映される動きになるとみられます。

 好業績が織り込まれていない銘柄や売られすぎ銘柄などが狙い目

 そうした中、4日発表の5月の米雇用統計が市場予想を下回り、米国株が急落しました。NYダウは前日比323ドル(3.2%)安の9931ドルと4ヶ月ぶりに1万ドルを割り込んだほか、ハイテク株比率の高いナスダック指数も83ポイント(3.6%)安と大きく売り込まれました。失望売りが広がったためですが、これは事前の期待値が高かったからではないかと思います。非農業部門の雇用者数は前月比43万1000人増となりましたが、市場予想の51万人を下回りました。国勢調査に伴う臨時雇用が高水準で、雇用の実態を反映する民間部門の雇用者数は4万1000人増にとどまり4月の21万8000人増から縮小。景気回復ペースの鈍化が意識される形となりましたが、発表前から50万以上という数字が一人歩きし、市場は楽観的になっていました。当社でも予想を大幅に上回るものでない限り織り込み済みとか、材料出尽しで売られるのではないかと思っていたくらいです。
 4日の米国株の急落には欧州財政不安が浮上してきたことも影響しています。今回はハンガリーの政府関係者が、「財政状況が従来考えられていたより深刻だ」と表現したことが伝わり、欧州の財政問題がどこまで広がるか分からないことに対する警戒感が広がりました。ハンガリーはユーロ加盟国ではありませんが、ドイツやオーストリアなどとの経済的な結びつきが強く、ユーロ安の一因となったようです。4日の欧州株は軒並み大幅安となっていますが、下げが大きくなったのは米雇用統計が発表された午後からであり、ハンガリー問題の影響は現在のところ限定的と見た方がいいのではないかと思います。
 欧州からは悪材料が次々と出てきますが、今回のハンガリー問題、そして同国への融資残高が大きいオーストリアの金融機関の信用問題等については、ギリシャ危機が発生する遥か前から指摘されていました。ユーロを巡る金融市場の混乱が収まったわけではありませんが、これまでの下げで、ユーロ不安は相当程度株価に織り込まれたのではないかとみられます。ギリシャ、スペインなど当事国を除いた独、仏などユーロ不安に揺れる国の株価はいずれも5月25日に底を入れた形になっています。
 東京市場は基本的に売られすぎ状態になっていますので、ここからの一段安はないと考えています。したがって下げた局面があれば押し目買いの好機と捉えるべきでしょう。今回の株価下落は決算発表期間中に起きました。好決算を発表した銘柄でも欧米株の急落から強制的に下げさせられたものも多く、好決算が株価にあまり反映されていません。ここは積極的とまではいかなくても、買いを考えるときでしょう。好業績が織り込まれていない銘柄や売られすぎた好業績銘柄が狙い目となりそうです。

2010年5月31日号

 流れが変わった可能性も
 
 東京市場の動揺はまだ収まっていませんが、これまでのような過度な不安心理は和らいできたようです。先週は日経平均株価が心理的なフシ目の9500円を割り込み、9459円まで下げる場面もありましたが、26日以降は3日続伸となり9762円で引けました。3日続伸するのは約2ヶ月ぶり。3日間の上げ幅は303円で、急落した25日の下げ幅(298円)を完全に埋める形になりました。
 外部環境の改善を受け、これまでリスク回避の姿勢を強めていた投資家が再び買いを入れてきたようで、先週は後半にかけ相場の流れが変わったのではと思わせるような動きとなりました。きっかけは27日に「中国がユーロでの外貨準備の運用を見直す」との英経済紙の報道を、中国当局が否定したこと。これが引き金になって悲観心理が和らぎ、海外の投資マネーが安全とされる資産からリスクの高い資産へと流れ込み、株式や原油など国際商品が一斉に買われる展開になりました。売られ続けていたユーロが上昇に転じただけでなく、金融機関のドル調達コストの目安となるロンドン銀行間取引金利(LIBOR)も3週間ぶりに低下するなど銀行間の相互不信もやや後退する形となっています。
  米国債が売られ、原油先物相場が値を戻す展開となっているうえに、下落が続いていた豪ドルなどの新興・資源国通貨が大きく反発していることから、リスク資産から安全資産にマネーを移し変える動きは一巡した可能性が出て来ました。これまで世界のマーケットは、リーマンショック時のようなユーロ危機が今にも起こるかのような見立てで動いていたように思います。7500億ユーロもの巨額な緊急融資制度の創設でユーロ諸国の財政不安は当面(3年間)は顕在化しないはずですから、金融市場の混乱は過度な悲観が原因だったといえなくもありません。今回のユーロ危機は「懸念」であって目前の危機ではありません。この点が2年前の金融危機とは決定的に違います。

 好業績が織り込まれていない銘柄などが狙い目

 大型連休明け後の東京市場の下げは、ギリシャに端を発した欧州諸国の財政不安など外部環境の悪化が原因でした。企業業績が順調に回復するなどファンダメンタルズの良さは変わっていないので、外部環境が落ち着けば、東京市場は再び戻りを試す展開になると考えるべきではないかと思います。4月5日の年初来高値からの下落率が16.6%に達しているだけでなく、騰落レシオやボリンジャーバンドなどのテクニカル指標も売られすぎ状態になっていましたので、東京市場はテクニカル的にいつ反転してもおかしくない状態にあります。日経平均はまだ目先の底を入れたといえる段階ではありませんが、チャート上は5月25日に付けた9459円で底を入れた可能性もあります。
 といっても金融市場の混乱が完全に収まったわけではありません。株式などのリスク資産からマネーが流出する動きは一巡した可能性が出てきたという程度のことで、肝心の欧州財政問題への懸念は残ったままです。このような状況では相場が一気に上値を取ってくる力強い上昇は望めません。時間をかけながらの回復になるのではないかと思われます。
 今回の相場急落は決算発表期間中に起きました。好決算を発表した銘柄でも、欧米株の急落から無理やり下げさせられたものもかなりあり、多くの銘柄で好決算が株価に反映されていません。ユーロの混乱はこれまでの株安過程で相当程度、織り込んだと考えられるので、ここは積極的とまではいかなくても、買いのチャンスでしょう。好業績が織り込まれていない銘柄や売られすぎた好業績銘柄が狙い目となりそうです。

2010年5月24日号

 テクニカル的にはすでに売られすぎ状態
 
 市場の動揺は収まりません。先週は日経平均株価が週間で678円(下落率6.48%)も下落、心理的なフシ目の10000円を割り込んだだけでなく、2月9日に付けた年初来安値も更新してしまいました。終値の9784円はドバイショックが世界的株安につながっていた昨年12月2日以来、5ヶ月ぶりの水準。ギリシャに端を発した欧州財政不安の混乱が収まらず、リスク回避の動きから株価下落に歯止めがかかりません。
 日経平均は4月5日の年初来高値からは13.7%、5月に入ってからでは11.5%の下落となります。強烈な下げですが、どこで下げ止まるのか、また反転の兆しはあるのか、読めない状態になっています。ただはっきりしていることはテクニカル的にはすでに売られすぎ状態になっているという点。下落率の大きさからもそうですが、ボリンジャーバンドはマイナス2σを突き抜けており、25日移動平均線からの下方カイリ率は8.67%、騰落レシオは68.6%と売られすぎとされる80%を下回っています。
 昨年11月の下落局面では高値からの下落率が14.6%、25日線からの下方カイリ率が7.32%、騰落レシオが57.6%となっていました。下落率や騰落レシオはそれよりやや上ですが、昨年11月安値のときは年初来安値からの上昇率が最大で53.4%、最小で19.0%(ザラバベース)でした。今回は最大で25.7%、最小で15.6%の上昇ですから、下落率の小ささや騰落レシオの低さは問題ではありません。企業業績は好調でファンダメンタル面には特段の問題はないので、欧州問題を巡る混乱が収まれば、市場は落ち着きを取り戻す公算大でしょう。

 相場反転を窺う展開か

 欧州発の混乱がここまで世界のマーケットを激変させるとは予想できませんでした。もしかしたら今回の急落は、欧州危機が回復しつつある世界景気に水を差すことを織り込み始めているのかもしれません。欧州地域が経済的に低迷しても米国や中国が落ち込まなければ影響は限定的なものにとどまると思いますが、欧州の混乱が域内にとどまらず、世界の金融システムに及べば、その悪影響は無視出来なくなります。具体的には、ギリシャやポルトガルなど南欧諸国が発行する国債がデフォルトとなり、それを保有している欧米金融機関が多額の損失を被るケースとか、融資が焦げ付くケースです。現に欧州市場では、銀行間の「相互不信」が高まりつつあり、金融機関のドル資金調達コストを示すLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)は昨年7月以来の水準まで上昇しています。もしそうなれば、金融システムが機能不全に陥り、リーマンショック後のような大混乱を招来しかねないのです。
 こうした状況でどのような投資スタンスを取ればよいか。いまは金融システムが機能不全に陥る最悪のケースを織り込み始めているように思いますので、そうした最悪のシナリオもありえると思うなら、混乱が落ち着くまで様子見を続けること、動くのはその後からとなります。
 いまの状況が「行きすぎ」だと思う人(当社もそうですが)は、下げた局面ではリスクテイクしていくべきでしょう。総額7500億ユーロ(約83兆円)の融資制度が設けられたので、かつてのように南欧諸国の国債が財政不安から売られることはなくなっています。マネーの「安全資産への逃避」が一巡すれば、市場は自然に落ち着いててくると考えるべきでしょう。円資産や米国債、安全資産の「金」への非難は行き過ぎの領域に入っているとみられます。
 原油先物相場についてはまだ底打ちしたといえる段階ではありませんが、すでに下げ渋る動きに変わっており、リスク資産圧縮が一巡しつつあることを示しています。安全資産の代表として買われた「金」先物も、5月14日に過去最高値の1トロイオンス(約31.1グラム)1249ドルまで買われた後は、一転して下げる展開が続いています。今回の金価格上昇は投資家のリスク回避の高まりがもたらしたミニバブルだったと云えなくもありません。
 連休明け後の下げは暴力的な下げでした。発表される決算は予想以上に良好で、株高への期待が膨らんでいたのに、米欧の株価急落が無理やり押し下げるという状態が続きました。大型連休明けの5月6日がそうでしたし、決算発表集中日を受けて期待が大きく膨らんだ17日もそうでした。今回の決算発表では好業績が株価に反映されていない銘柄は相当な数にのぼります。

2010年5月17日号

 混乱で市場は不安定な状態に

 連休明け後、急落した東京市場は底値圏で不安定な動きを続けています。先週の週間の日経平均株価の変動幅はプラス98円(0.95%)。決算発表で企業業績の回復基調が鮮明になっていますが、為替や米国株の動きなど海外要因に翻弄される展開から抜け出せません。日経平均の日中値幅は大きく、出来高も増加しているため沈滞ムードはありませんが、方向性は感じられません。欧州財政問題に加え、5月6日の米国株の記録的急落が市場を不安定な状況にしています。
 ギリシャに端を発した欧州の財政不安が収まらず、先週末の欧米市場は軒並み大幅下落して取引を終えました。スペイン株は6.64%の下落。ギリシャ、ポルトガル、イタリア株の下落率は3~5%で、仏CAC40指数は4.59%、英FTSE100指数や独DAX指数も3%を超える下落となっています。これを受け米国市場もNYダウが162ドル(1.51%)安、ナスダック指数が47ポイント(1.98%)安で引けています。
 EUによるユーロ防衛への巨額な金融支援策が打ち出され、ギリシャなどの当面の資金繰りへの不安は解消しましたが、根本にある財政再建への道筋がなお不透明なため、マーケットが再び警戒しだしてきたのが原因。各国が財政赤字削減に向けて打ち出した歳出カットなどの緊縮財政が回復基調にある世界経済に水を差すとの懸念が拭いきれないためです。この日はスペインで発表された4月の消費者物価指数が不安心理を増幅しました。エネルギーや食品を除いた「コア指数」が前年同月比で初めてマイナスとなり、デフレ懸念が広がってきたからです。

 外国人買いが期待できないため、省エネ相場でも動ける中小型株が狙い目

 財政難のギリシャの信用不安に加え、EU諸国の緊縮財政が域内の景気を冷やすとの懸念から、ユーロは対ドル、対円など主要通貨に対して軒並み売られており、これが株式市場を揺さぶる形になっていますが、いまは欧州問題が落ち着くのを待つ以外、手はないように思います。
 14日発表した4月の米小売売上高は前月比0.4%増と7ヶ月連続で増加、個人消費が緩やかに回復していることが裏付けられました。4月の米雇用統計でも非農業部門の雇用者数は4ヶ月連続で増加するなど雇用環境も改善しつつあります。企業業績も回復しており、米企業は金融危機以降、絞り込んできた人員採用を再開し始めたとも報じられています。
 本来なら景気回復を背景に米国株が立ち直って混乱の連鎖を断ち切って欲しいところですが、肝心の米国市場は株価急落を招いた取引システムへの不信もあって、買いが入らない状態になっています。ただチャート上、5月6日の取引時間中に付けたザラバ安値で米国株は当面の底は付けたと見られるので、時間の経過とともに落ち着きを取り戻し、戻りを試す展開になるのではないかと予想しています。
 自国市場が混乱しているため、外国人の日本株買いは当面期待できないと思いますが、今回の株価混乱の原因ははっきりしています。欧州財政問題が落ち着けば、業績の裏づけがある銘柄を中心に見直される可能性は大でしょう。外国人買いがなくても動ける省エネ型の中小型株が当面の狙い目といえます。

2010年5月10日号

 大荒れの展開に

 先週の東京市場は大荒れの展開となりました。連休期間中に米欧株式相場が下落したことを受け、日経平均株価は立会いのあった2日間で692円(6.25%)も下落。とりわけ7日は、ギリシャに端を発したソブリン・クライシス(国家の信用危機)が米国に飛び火し、米国株が急落したことから、東証1部の93%超の銘柄が値下がりするほぼ全面安の展開となりました。
 6日の米国市場は異常でした。米メディアは、発注ミスで株価が急落したことを受け、コンピューターによる自動取引システムが一斉に損失回避の売りを出し、売りが売りを呼ぶ投げ売り状態になったと伝えています。ダウ工業株は14:30前後からわずか20分で600ドル超も下落、10000ドルの大台を割り込む場面もありました。取引時間中の下落幅は過去最大となる998.50ドルで、まさに歴史的な急落でした。終値は前日比347ドル安の10520ドルまで戻しましたが、この株価急落をきっかけに円が対ドル、対ユーロで急伸。この流れが東京市場に引き継がれ、輸出関連株を中心に大きく売られる展開となりました。
 欧州発の株安が米・日、アジア市場へと連鎖する形となっていますが、それは表面上、そう見えるだけであって、実際は違うのではないかと考えています。確かに欧州株は7日も揃って急落しています。しかしそれは時差の関係上、6日の米国株の急落を織り込んでいなかったからではないかと思います。ギリシャを始めとしたPIIG諸国の財政危機はこれまで何度も指摘され、マーケットを揺さぶってきました。その過程でギリシャ問題はかなり織り込まれた見るのが妥当ではないかと思います。ユーロ加盟国とIMFによるギリシャ支援(2010~12年の3年間で1100億ユーロの金融支援で合意)も決まっており、またギリシャも3年間で財政赤字を300億ユーロ削減する法案を可決、2012年までに財政赤字をGDP比3%以内にすることを目指しています。

 狙い目は好業績を発表した銘柄

 7日の米国株はNYダウが前日比139ドル(1.33%)安、ナスダック指数が54ポイント(2.33%)安とともに4日続落で引けました。朝方発表した4月の雇用統計で、非農業部門の雇用者数が前月比29万人増と4年1ヶ月ぶりの大きさとなったほか、主要小売業の4月の既存店売上高が5ヶ月連続でプラスになるなど景気回復を裏付ける指標が相次いだものの、市場の不安心理が強いため、相場を押し上げるには至りませんでした。6日の急落の原因が完全に解明されておらず、投資家が買いを手控えたことも下げ止まらない一因といえるでしょう。ダウ、ナスダック指数ともプラス圏まで戻してから下げているだけに売り圧力の強さが目立ちますが、今回の下げを調整局面と捉えれば見方も変わってきます。
 米国株は昨年3月以降、調整らしい調整もなく、ほぼ一本調子に上げてきました。この間の上昇率は実に7割超にもなります。下げるきっかけがなかっただけだと考えれば、今回のソブリン・クライシスほど最高のきっかけはありません。6、7日のNY市場の出来高はその前の日に比べ71%増、61%増と猛烈に膨らんでおり、売りたい投資家はあらかた売ったのではないかと思われます。終値で見た場合の4月高値からの下落率はNYダウが7.36%でナスダック指数が10.47%。6日の取引時間中に付けたザラバ安値までは下がらないと見られるので、市場が落ち着きを取り戻せば調整一巡感も台頭してくるでしょう。
 今回の米国株の急落は原因が分かっており、チャートも長い長い下ヒゲを引いた形になっています。底入れのシグナルです。それゆえ東京市場も、ここからの一段安はないと考えます。テクニカル指標からもすでに売られすぎ状態になっています。不安心理が残っているため、ある程度の乱高下はあるかもしれませんが、企業業績が想定超のペースで回復しているだけに、下がった局面は格好の買い場と捉えたほうがいいでしょう。決算発表が佳境を迎えており、好業績を発表した銘柄が個別に買われる展開になると予想しています。

2010年4月26日号

 値幅的な調整は終わった可能性も

 調整相場になってきました。先週の日経平均株価は週間で188円(1.69%)下落、3週連続の下落となりました。騰落レシオが150%を超える水準まで上昇していたため、高値警戒感が広がっていたなかでの下落。円安の流れが一服し、対ドル、対ユーロで円高に振れてきたため、ひとまず利益を確定しておこうとの売りが先行する形となっています。ただ、週初に193円安した後は11000円を挟んだ狭いレンジの動きに終始しており、下値を探るような動きにはなっていません。
 注目の騰落レシオは122.8%と過熱ゾーンとされる120%を超えていますが、一時の異常な状態からは低下しています。わずか1ヶ月前は日経平均の日中値幅が100円にも届かない膠着相場が続いていたのに、騰落レシオは3月17日から120%を超えていました。その後の7日間で日経平均が10828円から11339円まで511円(4.71%)上昇しただけで150%を超える水準まで上昇したことこそ、異常だったと思います。これまでの相場は株価の天井圏で見られる「熱気」からはほど遠いものでした。
 前週号で指摘したように、騰落レシオは異常値になったらあまり機能しないことが判明しています。チャートからは日経平均が底を入れたとはまだいえませんが、値幅的な調整は終わった可能性があります。あとは日柄の調整、足場固めではないかと予想しています。
  
 決算を吟味した売買が必要に

 騰落レシオが異常な水準まで上昇していたため、投資家はいつ調整が来てもいいように注文も慎重に出しているようです。市場関係者のほとんどが「慎重論」に傾いている状態のまま相場が天井を打ったためしはありませんから、相場が下押す場面があったら、押し目買いの好機と捉えた方がいいでしょう。
 先週末の米国市場でNYダウは5日続伸し、08年9月19日以来、1年7ヶ月ぶりの高値で取引を終えました。ナスダック指数も4日続伸となり、08年6月以来、ほぼ1年10ヶ月ぶりの高値に進んでいます。住宅統計が大幅に伸びたことから米景気回復期待が高まったのが主因ですが、ギリシャがEUやIMF(国際通貨基金)に資金支援を要請したと発表した後の高値更新だけに、世界の株式市場にはプラスに作用しそうです。実際に財政赤字が減少するまでギリシャの試練は続くとみられますが、EUとIMFの迅速な対応でギリシャ問題はひとまずヤマ場を越えたとみられるためです。投資家は今後、リスクを取りやすくなるでしょう。
 外国人の日本株買いも継続しています。投資主体別売買動向によると、外国人は5週連続日本株を買い超していますが、上場企業の業績が想定を上回るペースで回復しているため、今後もこうした基調は続くと見られます。
 今週から上場企業の決算発表が本格化します。業績に対する市場の反応を見ていますと、業績改善銘柄への感応度は悪くありませんが、増益予想を発表した銘柄でも売られるケースが出ています。2010年3月期の好業績はすでに織り込まれていると見られるので、今期の予想が市場の期待値に対してどうかということが今回は焦点となります。円高や海外景気の影響を受けにくい新興銘柄にも光が当たりつつありますが、今週以降は業績を基準にした売買が始まりますので、決算を吟味した投資が必要になります。

2010年4月19日号

 市場参加者のすべてが警戒し、下がると思っている中で、相場がどう動くか見極めるところ

 東京市場は調整局面に入ってきたようです。先週の日経平均株価は週間で102円(0.91%)下落し、2週連続の下落となりました。騰落レシオが150%を超える水準まで上昇していたため、過熱感が指摘され、高値警戒感が広がっていたなかでの下落。円安の流れが一服し、円相場が1ドル=92円台半ばまで上昇したことも利益確定売りを誘う結果となりました。ただ先週の下落は16日の急落があったためで、相場が下落基調に入ったといえるような下げではありません。
 16日の日経平均の171円(1.522%)の下落には、為替が円高に振れたことのほかに、米検索大手グーグルの株価下落も影響しています。好決算を発表したにもかかわらず同日の時間外取引で5%安まで売られたことから、16日の米国株安が連想され、東京市場での押し目買いを見送らせる要因になったと見られるからです。
 騰落レシオを除くテクニカル指標のほとんどは正常値に戻っていますが、投資家の騰落レシオに対する信頼度は教条的なものになっているため、ほとんどの投資家は今でも相場は過熱状態にあるとの見方をしています。当社の営業活動を通じてもそのことが良く分かります。株式初心者でさえそれなりの調整があると信じ込んでいるのですから。
 市場参加者のすべてが警戒し、下がるだろうと思っている中で相場が果たして下がるかです。騰落レシオが150%台という驚異的水準まで上昇したのは今回を除けば、①1991年2月の153.0%、②93年4月の156.0%、③94年2月の156.3%、④96年4月の152.6%、⑤97年5月の155.3%の5回あります。そのいずれのケースでも騰落レシオと株価が同時にピークアウトしたことはありません。調べたところ、騰落レシオがピークを付けてから3週間後から5ヵ月後に株価はピークを打っています。調整幅についても、②と③は多少の調整とはなっていますが、他のケースでは大した調整とはなっていません。
 今回の検証で騰落レシオは「異常値になったらあまり機能しない」ということが判明したように思います。騰落レシオは過熱ゾーンとされる120%を超え130%台になると完璧な形で調整するのに、150%を超える異常値になると、そこそこの調整はあるものの、調整といえるような調整はほとんどしていません。初めから騰落レシオはそういうものだと決めてかかっているため、気が付かなかっただけではないかと思います。 

 下がった局面は押し目買いの好機

 騰落レシオが「異常値」になっているため、投資家は行け行けどんどんではなく、注文も恐る恐る出しているようです。市場参加者やこれから参加しようと考えている投資家がすべて警戒している中では、多少の調整はあっても、大きな調整は起こらないと考えるべきではないでしょうか。従って下押す場面があったら押し目買いの好機と捉えた方がいいように思います。
 ただ先週末の米国市場で、米証券取引委員会(SEC)が、サブプライムローンを裏付けとした有価証券の販売に絡み、投資家に重要事実を開示しなかったとして、米金融大手ゴールドマン・サックスを証券詐欺罪で訴追したと発表したことを受け、NYダウやナスダック指数が急落したことには注意する必要があります。他の金融機関にも訴追が広がる可能性があるうえに、米政府が今回の金融危機の原因となった金融取引について規制を強化する可能性があるからです。16日の米国株の急落はグーグル株の下落を懸念した下げではないため、もう少し様子を見極めなければなりません。
 16日のCMEの日経平均先物の終値は10915円。大証終値比175円安となっており、今週はこれにサヤ寄せする形で安く始まりそうです。ただ企業業績が急速に回復しているうえ、外国人の日本株買いも継続しているので、一段安はないと考えます。今回の株価上昇で日経平均は昨年3月の7054円を底値に戻りを試す展開に入ったことがほぼ確実となりました。若干の調整はあるかもしれませんが、過度に悲観的になる必要はないと考えます。慎重になりすぎ、これからやってくる上昇相場に乗り遅れてしまうことが最大のリスクではないかとみています。

2010年4月12日号

 過熱状態ながら、体感的にはそれが感じられない不思議な相場に

 東京市場は奇妙な相場付きになっています。先高期待が高まるなど市場の雰囲気は随分良くなっていますが、「過熱感なき過熱状態」となり、高値警戒感が広がる不思議な状況となっています。最大の理由は相場の過熱感を見る指標として信頼性の高い騰落レシオが過熱状態とされる120%を大きく上回って153.2%まで上昇したこと。1990年以降の最高が1998年2月の155.3%ですから、歴史的的水準まで上昇していることになります。このほか25日移動平均線からのカイリ率が5.5%と買われすぎとされる5%を上回っているほか、ボリンジャーバンド、RSI(相対力株価指数)などのテクニカル指標も高値警戒ゾーンに達しています。
 しかし体感的にはそれが感じられない不思議な状態となっています。売買代金は一時より膨らみ、1兆5000億円を超える日が多くなっていますが、過熱状態といえるような状況ではありません。日経平均株価は3月5日に、「日銀が追加金融緩和に踏み切る」と報じられて以来、ほぼ一本調子で上昇してきましたが、上昇率は11.77%にすぎません。昨年11月末から1月半ばまでの反発局面では21%上昇しましたから、それと比べても物足りなさが残ります。
 相場が上昇するときは信用買い残が増加するものですが、信じられないことに買い残は5週連続で減少しています。一方、売り残は5週連続で増加。この面でも奇妙な状況になっています。騰落レシオが早くから過熱状態を示していましたので、買い方は利食いしたあと買いを手控えるようになり、一方、売り方は自信を持ってカラ売りしたり、売り乗せしたりしていた構図が読み取れます。
 騰落レシオが過熱ラインとされる120%を超えてきたのは3月17日からです。そのころは日経平均の日中値幅が100円に届かない膠着相場となっていました。こうした相場が上昇に転じてきたのが3月26日からですが、上昇に転じたといっても日経平均が200円を超えて勢いよく上昇した日は1日もありませんし、3月25日からの上昇幅もわずか511円に過ぎません。東京市場はこのような相場付きで、かつて経験したことのないような高値警戒感が広がる形になっています。

 下がった局面は押し目買いの好機

 テクニカル指標で売りサインが出ているからといっても、必ずしも下がるとは限りません。大きな下落にはならず、スピード調整した後、再び上昇相場が始まるケースもまれにあります。今回はそうなるような気がします。振り返ってみれば2008年、2009年と過去の経験則が通じない相場でした。今回の騰落レシオにしても、値上がり銘柄数が値下がり銘柄よりもはるかに多く、歴史的な水準になったということは、見方を変えれば100年に1度といわれる記録的な不況の裏返しなのかもしれません。リーマンショック後はほぼすべてのテクニカル指標が過去に例がないほど悪化していました。その不況からの回復局面となれば、やはり過去に例がないほど過熱しても不思議ではありません。
 テクニカル指標が過熱状態を示しているので、投資家は物色対象には極めて慎重になっており、注文も恐る恐る出しています。市場参加者やこれから参加しようと考えている投資家はほとんどが過熱状態になっていることを承知していますので、すべてが警戒している中では大きな調整は起こらないと考えるべきでしょう。
 外国人の日本株買いは継続しています。今回の株価上昇で日経平均は昨年3月の7054円で大底を入れ、同年11月の9081円で2番底を形成し、戻りを試す展開に入ったことがほぼ確実となりました。今後、若干の調整はあるかもしれませんが、過度に悲観的になる必要はないと考えます。むしろ慎重になりすぎ、これからやってくる上昇相場に乗り遅れてしまうことが最大のリスクではないかとみています。下がった局面があれば押し目買いの好機と捉えるべきでしょう。

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