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投資戦略レポート

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2010年10月16日

 円高圧力が高まる
 
 東京市場は先週、波乱の動きとなりました。それまでは底値圏で方向感のない動きが続いていましたが、米国株の下落や円高進行を受け週中ごろから後半にかけて急落、一時は年初来安値更新かという動きになりました。終値ベースでは7月1日に付けた年初来安値(9191円)を下回ることはなかったものの、取引時間中には7月6日のザラバ安値(9076円)はもとより、昨年11月のザラバ安値(9076円)を下回る場面もありました。日経平均株価が10日連続25日移動平均線を上回る状態が続いていたため、底を固めつつあるとの見方もあったのですが、一気に投資心理が悪化しています。
 ここへ来ての株価急落は円の独歩高が主因。欧米諸国が自国通貨安を背景に景気を立て直そうともくろんでいるときに、「景気は回復基調にある」との判断から政府・日銀が動こうとしないため、金融緩和に踏み切った欧米諸国との金利差が縮小し、円高圧力が高まる構図になっています。10日の日銀金融政策決定会合で日銀が金融緩和に動かなかったため、円高圧力懸念から株価が急落し、12日も円相場が1ドル=84円台に上昇したことを受け、売り一色の展開となりました。
 これは迅速な対応が求められているのに、一向に動こうとしない政府・日銀に対してマーケットがしびれを切らした結果です。日本だけの円売り介入では効果がないとの見方がありますが、いま問われているのは企業や家計に大きな影響を及ぼす円高・株安にどう立ち向かうかということに尽きます。主要通貨に対する円の独歩高は企業を海外生産に走らせ、国内雇用を失わせ、そして国内の活力を削ぐ結果になります。2000年以降の国内景気の低迷がそれを物語っています。

 今後の焦点は円高阻止に向けた政府・日銀の対応に

 市場の反乱を受け、12日に財務省と日銀の担当者が内外の金融市場について意見交換したり、菅首相が急激な円高について「動きが激しい」と語ったりしたことは評価していいと思います。円高・株安に対して政策当局が緊張感を持ってきたとみられるからです。ただ伝えられるところでは円高阻止に向けた具体的内容はまったくありません。まだ口先介入といえるほどでもありませんが、いつまでもこうしたことを続けることは出来ません。
 今後の焦点は円高阻止に向けた政府・日銀の具体的動きに移ります。円売り介入や追加金融緩和などの具体的な対策が出なければ一段と円高になり、日経平均の9000円割れも考えられます。休むも相場といいまから、為替が円高修正の動きに変わるまで様子を見るのも一法でしょう。ただ日経平均は欧州問題や円高を受け、年初からの下落率が12.8%に達するなど世界でも際立った下げになっています。7月から世界市場が回復しているなか、取引時間中とはいえ、年初来安値を更新したのも日本株だけです。常識的に考えれば、ここからの一段安は乏しいようにも思います。円高・ドル安の流れがいずれ一服すると期待する方は、売られすぎた輸出関連株や下げ止まった輸出関連株などを狙うのも一法ではないかと見ています。

2010年8月9日号

 米景気の先行き不透明感が新たな重荷に
 
 東京市場は底値圏で方向感のない動きが続いています。海外市場の流れを受けて上げ下げを繰り返す動きから抜け出せません。先週の日経平均株価の週間騰落幅はプラス105円(1.10%)。7月1日に付けた年初来安値(9191円)や7月22日に付けた安値(9220円)を割り込みそうな相場付きではありませんが、掴みどころのない動きが続いています。ここまで相場がひどくなったらきっかけ次第では一気に反発するものですが、いまのところそのきっかけになりそうなものも見当たりません。 
 欧州主要銀行のストレステスト結果が想定の範囲内に収まったことで、ギリシャ問題をきっかけとしたユーロ問題はひとまず後退しましたが、それに替わって今度は米国問題がマーケットの最大の懸念材料となっています。予想を下回る経済指標の発表が相次ぎ、景気減速懸念が台頭してきたからです。21日の議会証言でバーナンキFRB議長が、米経済は緩やかな回復過程にあるものの、先行きは「異例なほど不確か」と指摘したことも投資家心理を悪くする形になっています。
 30日発表した4~6月期の米実質GDP成長率は前期比2.4%と1~3月の3.7%から大幅に鈍化しました。設備投資の好調などを背景に4期連続のプラス成長とはなっていますが、企業が雇用増に慎重なため、GDPの7割を占める個人消費は緩やかな増加にとどまったままです。景気対策を主眼としたこれまでの財政主導の回復から民需主導の回復へとバトンタッチがうまく進まなければ米景気は踊り場をさまよう恐れがありますが、こうした米経済の先行き不透明感が新たな重荷になりつつあるわけです。

 売られすぎた輸出関連株などが狙い目

 6日発表した7月の米雇用統計も予想を下回るものでした。非農業部門の雇用者数は前月比13万1000人の減少。前月に続き米政府の国勢調査に伴う臨時職員が減ったことが主因ですが、市場で注目されている民間部門の雇用者数は7万1000人の増加にとどまりました。市場予想(8万3000人)をやや下回ったうえ、6月の雇用増加数が前月比3万1000人の増加と5万2000人下方修正されたため、雇用の回復に足踏み感が強まる形になっています。これを受け、6日の米国市場でNYダウは一時160ドル近く下げる場面がありました。ただ売り一巡後は急速に下げ幅を縮小、終値は21ドル(0.2%)安の10653ドルまで戻しています。今週10日に開くFOMCで金融緩和策が議論されるとの観測が浮上、金融緩和への期待が膨らんだ形になっています。 
 バーナンキFRB議長は米景気の回復が思わしくなければ追加金融緩和の可能性も排除しないと表明しているため、今週以降は米国の追加金融緩和策がどういうものになるかが焦点となりそうです。米国の金融緩和は円高圧力につながるだけに、日本株にはネガティブに作用しそうです。
 ただ円高・ドル安はもう3年以上も続いています。3年前の07年6月は1ドル=124円台でした。それがいまは85~86円台。この3ヶ月でも10円近い円高になっています。今回の円高は日本経済のファンダメンタルズを背景にしたものではなく、消去法的に買われた円高にすぎません。サブプライム問題や金融危機でドルが買えないから仕方なく円が買われているだけです。積極買いではないため、きっかけ次第では反転の可能性は高いと考えられます。
 休むも相場といいまから、今後も円高が続くと見ている方は休んだほうがいいでしょう。いずれ円安に転じると見るなら買いです。欧米主要国の株式市場は欧州銀行のストレステスト結果公表を手掛かりに7月上旬から反転し、戻りを試す展開になっています。底値から上昇率は英・独・仏・米・加で10%前後にもなります。それに比べ日本株はまだ4.9%しか上げていません。ギリシャ、スペインなど当事国を除くと欧州危機で下落率が最も大きかったのは日本株でしたから、東京市場ももう少し10%近く戻しておかしくありません。ここは円高・ドル安の流れがいずれ一服することを期待し、売られすぎた輸出関連株や下げ止まった輸出関連株などを狙う局面ではないかと見ています。

2010年8月2日号

 米景気の先行き不透明感が新たな重荷に
 
 東京市場は底値圏で方向感のない動きが続いています。海外市場の流れを受けて上げ下げを繰り返す動きから抜け出せません。先週は週間で日経平均株価が107円(1.13%)上昇しました。終値は9537円。7月1日の年初来安値(9191円)や7月22日の安値(9220円)を割り込みそうな動きではなく、これまでのような悲観一色の相場展開ではありませんが、掴みどころのない相場が続いていることに変わりはありません。ここまで相場がひどくなったらきっかけさえあれば一気に反発するものですが、いまのところそのきっかけになりそうなものも見当たりません。
 23日発表した欧州主要銀行のストレステスト結果が概ね想定の範囲内に収まったことで、ギリシャ問題をきっかけとしたユーロ問題はひとまず後退しましたが、それに替わって今度は米国問題がマーケットの最大の懸念材料となりつつあります。予想を下回る経済指標が相次ぎ、景気減速懸念が台頭してきたからです。バーナンキFRB議長が21日の議会証言で、米経済は緩やかな回復過程にあるものの、先行きは「異例なほど不確か」と指摘したことが投資家心理に影を落とす形になっています。
 30日に米商務省が発表した4~6月期の米実質GDP成長率は前期比2.4%増となりました。設備投資の好調などを背景に4期連続のプラス成長とはなったものの、伸び率は前期の改定値(3.7%)を下回り、経済成長の減速を映す形となっています。業績が回復したとはいえ、企業が雇用増に慎重なため、GDPの7割を占める個人消費は緩やかな増加にとどまったまま。景気対策を主眼としたこれまでの官需主導の回復から民需主導の回復へとバトンタッチがうまく進まないと米景気は踊り場をさまよう恐れがありますが、こうした米経済の先行き不透明感が新たな重荷になりつつあるわけです。

 好業績銘柄などが狙い目

 4~6月期のGDP成長率が予想をやや下回ったため30日のNYダウは120ドル近く下げる場面がありましたが、7月のシカゴ購買部協会景気指数(PMI)が予想を上回る改善を示したため、その後は下げ幅を縮小、前日比1.22ドル安の10465ドルで取引を終えました。先行きに対する確たる見通しがないため経済指標に一喜一憂する展開です。景気に方向感が出てくるか、金融・財政当局による新たな政策が発動されるまでは、米国株も上値を取ってくるのは困難なように思われます。
 とはいえ主要国の株式市場は、欧州主要銀行のストレステスト結果公表を材料に7月6日ごろから反転、底値から10%近く上昇した水準まで戻しています。それに比べ日本株はまだ3.7%しか戻していません。ギリシャ、スペインなど当事国を除くと、欧州危機で下落率が最も大きかったのは日本株でしたから、東京市場も底値から10%近くは戻しておかしくありません。
 マーケットには無気力感さえ漂っていますが、ここまで地合いが悪化したら、これ以上、悪化のしようがありません。米景気の減速懸念から円高・ドル安の流れになりつつありますが、東京市場はテクニカル的にも売られすぎ状態になっているだけに、ここは買いに分があるように思います。決算発表が本格化しているため、決算を発表した銘柄か、売られすぎた銘柄、下げ止まった銘柄などが狙い目ではないかと見ています。

2010年7月26日号

 欧州のストレステストを無難に通過
 
 東京市場は底値圏で方向感のない動きが続いています。海外市場の流れを受けて上げ下げを繰り返す動きから抜け出せません。先週は日経平均株価が4営業日中、3営業日下落。22日まで5日続落する弱い動きとなっていましたが、週末の23日は210円(2.28%)高と急反発。週間の騰落幅はプラス22円と上昇して引けました。日経平均の終値は9400円。
 23日の相場にはこれまで見られなかった強さも感じられました。寄り付き前の外国証券経由の売買注文が差し引き2090万株の大幅買い越しだったように外国人買いも流入。後場は一段高となり、一時、253円高の9474円まで上昇する場面もありました。欧州金融機関へのストレステストの結果発表を控え、海外投資家からの買い戻しや新規買いも入っていたようです。前日までの5日間で575円下げていたため、空売りを仕掛けていた向きの買い戻しも上げに拍車をかけました。後場中ごろから対ドル、対ユーロで円が上昇したなかでの大幅高だけに流れが変わったのではと思わせる動きでした。
 この背後にあるのは欧州株の反発だと思われます。欧州株は22日も前日に続いて全面高の展開となっていました。フランス株は前日比3.05%、英国株は1.90%、ドイツ株は2.53%、スペイン株は2.61%といずれも1%を超える大幅な上昇。23日に発表される欧州主要銀行のスレステスト結果が概ね良好なものになりそうで、市場の不透明感が薄れるとの期待が高まったからです。欧州株のこうした動きを見て米市場でも行き過ぎた悲観が後退したのでしょう。21日の米市場では建機大手キャタピラーやスリーM、貨物大手UPSの好決算を受け、企業業績への期待からNYダウが201ドル(2.0%)高と急伸。それまでは好決算を発表しても先行き悪くなるだろうとの観測から売られる展開が続いていただけに、こうした地合いの変化が先週末の日本株の上昇を支えたのではないかと思われます。

 過度な悲観は変わる方向に

 欧州の銀行監督当局で構成する欧州銀行監督委員会は23日夕方(日本時間24日未明)、域内20カ国の銀行91行のストレステスト結果を発表しました。景気や市場環境が予想以上に悪化した場合に自己資本比率が6%を下回る資本不足と認められたのは、ヒポ・レアルエステート(独)やスペインの貯蓄銀行など中堅以下の7行。不足とされた額は7行合計で35億ユーロ(約3900億円)でした。資本不足と認定された銀行は事前予想より少なく、査定が甘いのではないかとの不安もくすぶりそうですが、これを受けた23日の米国市場では重要日程を無難に通過したことから、好業績や増配など好材料の出た銘柄を中心に買い直され、NYダウは前日比102ドル(1.0%)高、ハイテク株の比率が高いナスダック指数も同23ポイント(1.0%)高とともに1ヶ月ぶりの高値で取引を終えました。
 リーマンショックのトラウマが残り、世界的に市場のセンチメントは悪い方、悪い方へ傾いていました。市場が一種の恐怖状態に陥っている中では、まともなことをいくら言っても見向きもされません。先週21日ごろまではまさにこういう状況でした。ストレステスト結果を受けた23日の米国株の動きからも、こうしたセンチメントは変わりつつあるのではないでしょうか。
 底値圏で箸にも棒にもかからない「どうしようもない」相場が続いているので、マーケットには無気力感さえ漂っています。東京市場は「何をやってもダメ」といったあきらめのムードになっていますが、ここまで地合いが悪化したら、これ以上、悪化しようがありません。あとは良くなるだけだと思います。テクニカル的にも東京市場は売られすぎ状態になっています。欧州のストレステストを通過したことで流れが変わってくる可能性は充分あります。ここは余力を残しながら、売られすぎた銘柄や下げ止まった銘柄を仕込むときではないかと見ています。

2010年7月20日号

 米景気の先行き不透明感が新たな懸念材料に
 
 相場には方向感がありません。先週は海外市場の流れを受けて日経平均が乱高下。14日には258円高し、先行きに期待感が広がったと思ったのも束の間、15、16日と続落。特に16日は前日比277円安と厳しい下げになりました。5営業日中、4営業日下落する展開で、日経平均の週間の下落幅は177円(1.85%)となりました。
 16日の下げは特異な下げだったように思います。米国で市場予想を下回る経済指標の発表が相次いでいたことや、外為市場で円高・ドル安に振れたことから、10:00過ぎから下げ足が加速。先物への外国証券の仕掛け的な売りもあり、裁定解消売りから指数だけがするする下げる形となりました。米国景気の先行き懸念から市場心理が悪化し、買いが入りにくくなっていることがこうした相場を演出しています。
 一難去ってまた一難。東京市場はそんな状況になっています。先々週まではギリシャを始めとした欧州問題が株価の最大の懸念材料となっていました。しかし今月23日のストレステスト結果公表を前に、資本不足になった銀行にはEU基金などを活用して資本注入することが決まってからは欧州金融システムへの不安が後退。先々週あたりからは格付会社のポルトガル国債の格下げを受けても欧州株が下げなくなったことで、市場では欧州の財政不安はほぼ織り込まれたとの見方が広がっています。金相場がピークアウトしたとみられることや、ユーロが対ドル、対円で強含んできたことからもその可能性は大でしょう。こうしたなか米国問題が相場の懸念材料としてまた浮上してきたわけです。
 
 狙うのは売られすぎた銘柄や下げ止まった銘柄

 16日の米国市場でNYダウは大幅続落し、前日比261ドル(2.5%)安の10097ドル、ナスダック指数も70ポイント(3.1%)安の2179ポイントで取引を終えました。バンク・オブ・アメリカやグーグルなど主要企業の決算内容が市場予想に届かなかったことや、7月の消費者信頼感指数が市場予想を大幅に下回ったことで、米景気の先行き懸念が高まったことが背景。米市場では、企業の力強い決算が景気の先行き不透明感を払拭するとの期待から株式が買われていましたが、市場予想を下回る経済指標や弱い経済指標が相次いでいることで、そうした期待が剥落しつつあります。
 ただ市場予想を下回る経済指標は春先まで急回復が続いていた米経済が巡航速度に軟着陸していることを示す結果とも考えられます。どん底から急浮上してきた経済がある一定の水準まで回復すると踊り場を迎えるように、経済指標もいいものと悪いものが出てくるのは当然です。米経済は全体的には改善しているものの、悪い指標や予想を下回る経済指標に過剰に反応しているだけではないかとも考えられます。
 投資家のリスク資産外しの動きは一巡しつつありますが、半面、外為市場では米景気の減速懸念が強まり、投資マネーがドルから円やユーロに向かっています。16日の米国市場では円相場が一時1ドル=86円台前半まで上昇、7ヵ月半ぶりの高値を付けました。株式市場では先週あたりから円高・ドル安が懸念材料となっていますが、日本経済への影響が大きい米国景気、円・ドル相場の動向が今後の日本株を見極めるポイントとなりそうです。
 東京市場は底値からやや戻してはいますが、底値圏にあるのは事実。底打ち感はなかなか出ませんが、ここからの一段安も考えにくいので、下げた場面があったら買いを入れるべきでしょう。全力買いはお勧め出来ませんが、余力を残しながら、売られすぎた銘柄や下げ止まった銘柄を仕込むときではないかと見ています。

2010年7月12日号

 相場反転の機運も
 
 先週はあっという間の1週間とも、長い1週間ともいえる1週間だったのではないでしょうか。調整色の強い相場が続き、先が読めない状態だったのですが、1週間が経過して日経平均株価は382円(4.15%)上昇。6日には日経平均が9091円まで下げ、一時は9000円割れかという場面もあったのですが、終わってみれば取引時間中の安値から494円も上昇して引けています。5営業日中、4営業日上昇する展開で、日経平均の動きからは底打ちした可能性も感じさせる動きとなっていますが、投資マインドは回復していません。
 週後半からの上昇で下値不安はひとまず後退したものの、反発力が鈍く、底を入れたとの見方は広がって来ないのがマインドが回復しない原因ではないかとみられます。先週は相場を見ていて流れが変わったのではと感じさせられた日が2回ありました。1回目は日経平均が9091円まで下げてから急反発してきた6日、2回目は256円高した8日です。8日は大幅反発したのに東証1部の売買代金は前日より372億円しか増加しませんでした。売り方の買い戻しで株価が上昇したからですが、これは下落相場がトレンド転換するときよく見られる現象です。昨年3月と11月の相場反騰時も買い戻しがきっかけとなりました。これでもかというくらい悪材料が続いても9000円を割れなくなったので、売り方が下値は堅いとみて一斉に買い戻してきたからではないかと見ています。
 悪材料を挙げればきりがありませんが、東京市場はすでに売られすぎ状態にあり、テクニカル的にはいつ反発してもおかしくありません。東証1部上場銘柄の平均PBRが1.04倍と解散価値すれすれの水準まで低下していることからも、下押し懸念は乏しいと見られます。悪材料が相次いでも9000円を割らなかった今回の動きをきっかけに日経平均の9000円以下はないとの見方が広がってくれば、相場反転の機運も高まってきます。

 投資対象は売られすぎた銘柄や下げ止まった銘柄

 9日の米国市場でNYダウは4日続伸し、前日比59ドル(0.6%)高の10198ドルで取引を終えました。ダウ平均の週間の上げ幅は511ドル(5.3%)で、昨年7月以来、約1年ぶりの大きさとなります。今週から始まる米主要企業の決算発表を前に、業績への期待が高まったのが背景といわれています。これが事実なら「過度な不安」が後退したことになります。米国株は良好な経済指標が発表されても事前予想を下回る内容だったため、これまでネガティブに評価されていました。順調と予想される4~6月期決算をネガティブな目(いま業績が良くても先行き悪化するのではという見方)でなく冷静に見ることが出来たら、上昇余力も生まれます。
 リーマンショック以降、NYダウはこれまで4回、大きな調整を入れています。その時期・期間は昨年1~3月が9週(下落率26.65%)、昨年6~7月が4週(同7.42%)、今年1~2月が4週(5.71%)、そして今年4~7月が10週(同13.56)です。期間でみても値幅でみても調整は充分です。米国経済の2番底懸念が薄らいでいることもあり、きっかけ次第では一気に反転する可能性もあり得るわけです。
 欧州の金融機関の資産査定(ストレステスト)結果が23日に公表されることになり、欧州の金融システムの透明性が高まることもマーケットにはプラス。金相場はすでに下落に転じており、米長期金利も低下基調が止まっています。投資家のリスク資産外しの動きは一巡しつつあり、円に流れ込んでいたマネーもドルやユーロ、新興国通貨に戻り始めています。ユーロ不安をきっかけとした「過度な不安」が後退してきたことで、マーケットは落ち着きを取り戻しつつあるように思います。
 前述したように東京市場は売られすぎ状態にあり、業績や投資尺度からも底値ゾーンに到達したことは疑いないと思います。通常であれば「買いに出る」レベルに到達しているものの、なかなか底打ち感が出ず、買いに二の足を踏ませる状態になっています。こういう局面では投資家心理ではなく、テクニカル指標を信じるべきではないかと思います。全力買いはお勧め出来ませんが、余力を残しながら、売られすぎた銘柄や下げ止まった銘柄を仕込むときではないかと見ています。

2010年7月5日号

 調整局面も、相場は方向感のない状態
 
 東京市場は調整色の強い相場が続いています。先週は5営業日中、4営業日が下落する展開で、日経平均株価は6月9日に付けた年初来安値を更新してしまいました。日経平均の週間の下落幅は534円(5.48%)。TOPIXは1日まで8日続落する厳しい下げとなっています。ダブルボトムを形成し、一時は反騰局面に転じるかと思われていたのですが、逆に年初来安値を更新してきたことで、先行きの見通しが立てにくくなっています。自律的な相場形成が出来ないため、海外要因を受けて寄り付いた後はその水準を挟んだ狭いレンジの動きが続いており、方向感の乏しい展開となっています。
 こうした相場になっているのは世界景気の先行きに不透明感が増してきたことが主因。欧州危機、米国の雇用不安、中国の景気減速懸念などグローバルな悪材料に囲まれ、世界景気の2番底に対する、そこはかとない不安が投資家の景気回復に対する自信を喪失させ、ひとまず持ち株を手放す動きにつながっているようです。ギリシャ危機などを受けて欧州諸国が財政再建を優先する政策に一斉に舵を切ってきたことも、世界景気の下押し要因として意識されています。外国人の日本株売りは5月ごろに比べ大きく縮小していますが、放出の動きが止まったわけではないため、方向感らしきものはまだ出てきません。

 アク抜けのタイミングを探る段階

 2日発表した6月の米雇用統計で、非農業部門の雇用者数は前月比125000人の減少となりました。民間部門の雇用者数は83000人増加したものの、前月まで雇用者数を押し上げていた米政府の国勢調査に伴う臨時職員が225000人減少したのが原因。非農業部門の雇用者数が半年振りに落ち込んだことに意外感はないものの、製造業での回復が鈍く、全体では雇用改善に減速感が出る形になっています。これを受け同日のNYダウは120ドル近く下落しましたが、その後は下げ渋り、終値は46ドル(0.47%)安の9686ドルまで戻しています。減少幅が予想より大きかったものの、民間部門の雇用改善基調は続いていると受け止められたからでしょう。
 今月末までに欧州主要金融機関の資産査定(ストレステスト)結果が公表されます。銀行の資本不足が明らかになった場合、各国政府が即座に資本注入に動くかは不明ですが、査定結果の公表は市場の不安解消につながります。資本注入が必要な金融機関が出てきたとしても、かつてのように信用不安が広がることはないはずです。資産査定結果公表によって欧州問題が解決するわけではありませんが、順調なら欧州不安は今月末で一応の収束を見る可能性もあります。
 東京市場は閉塞感に覆われたようになっていますが、企業業績や投資尺度から見る限り、底値ゾーンに到達したことは疑いないと思います。東証1部上場銘柄の平均PBRは1.04倍とすでに解散価値すれすれの水準まで低下しているほか、ボリンジャーバンドのマイナス2σを下回る水準まで日経平均は下落しています。通常であれば「買いに出る」レベルに届いているものの、なかなか底打ち感が出ず、投資家は買いに二の足を踏む不思議な状況が続いています。財政再建の方向に各国の政策バイアスがかかってきたため、米国や日本の景気に腰折れ懸念が出ているからです。いまは足元の好業績が「買う理由」にならず、むしろ、いずれ坂道を転げ落ちていくような疑心に駆られ、買いが引っ込み、売りが自己増殖していく異常な相場付きになっています。とはいえ株価が底値ゾーンに到達しているのも事実。ここはアク抜けのタイミングを慎重に探るときではないかと思います。

2010年6月28日

 相場は方向感のない状態に
 
 東京市場は調整色の強い相場となっています。先週は5営業日中、3営業日、日経平均が100円以上も下落。人民元相場の弾力化を好感して21日に急伸した分を帳消しにしたどころか、週間で258円(2.58%)も下落する結果となりました。自律的な相場形成が出来ず、海外要因を受けて下落した後は方向感のない動きとなっています。売買代金が1兆円を割れそうな日もあり、ちょっとした売り物が出れば下げ、買い物が入れば上げと、どこを向いているか分からない状態になっています。
 こうした相場になっているのは世界景気の先行きに不透明感が増してきたからです。米国では5月の雇用統計に続いて5月の中古住宅販売件数、新築住宅販売件数が市場予想を大幅に下回り、住宅市場の回復の遅れも鮮明になっています。こうしたなか欧州諸国がギリシャ危機などを背景に財政立て直しを優先する政策に一斉に舵を切りつつあり、欧州経済、延いては世界経済に悪影響を及ぼすとの懸念が出てきています。
 財政政策を巡っては成長を損なわないようにすべきだとする米国と、財政立て直しを放置して投機対象になることを恐れる欧州が完全に対立する構図となっています。こうした状況では投資スタンスを明確にすることが出来ず、結果として外国人も日本株に対し様子見となり、スタンスのはっきりしない状態になっています。東京市場のメインプレイヤーである外国人が動かなければ、日本株に方向性が出るはずもありません。

 狙い目は売られすぎた銘柄や底値圏にある銘柄か

 米国の上下両院は25日、金融危機の再発防止のため、1930年代以来の包括的な金融規制改革となる金融規制改革法案の一本化で合意したと発表しました。今週にも上下両院で採決する方針で、オバマ大統領は7月4日までの署名・成立を目指していると伝えられています。高リスク投資の制限や取引の透明化で金融機関の収益が低下するのは避けられないものの、過度な規制は市場の効率性を阻害するとして、銀行本体からの完全分離を求められていたデリバティブ取引は、通貨や金利など本業のリスク回避に関連する取引については本体に残すことが認められました。自己勘定での高リスク取引についても、ヘッジファンドや買収ファンドへの投資を完全に禁止することはせず、自己資金の3%を上限に認めることが決まりました。市場の効率性に配慮した形になっており、5月に上院で可決した法案よりも規制色はやや後退した内容にになっています。25日のNY市場ではこれが好感され、金融株が買われました。同法案は株価の押し下げ要因となっていましたが、今後は懸念要因ではなくなってきます。
 EUは7月に金融機関の資産査定(ストレステスト)結果を公表します。銀行の資本不足が明らかになった場合、各国政府が即座に資本注入に動くかは不明ですが、査定結果の公表は少なくても不安解消につながります。資本注入が必要な金融機関が出てきたとしても、かつてのように信用不安が広がることはないはずです。欧州問題がこれで解決するわけではありませんが、順調なら欧州不安は来月で一応の収束を見るのではないかとみられます。
 相場の地合いは悪くなっていますが、ここで弱気になる必要はないと思います。日経平均はダブルボトムを形成し、すでに底は付けているとみられるからです。ユーロ不安を受けた株価下落率も当事国のギリシャ・スペインなどを除くと群を抜いています。6月9日に付けた年初来安値9439円を下回ってどんどん下がっていくとは思えません。積極買いとまではいきませんが、売られすぎた銘柄や底値圏にある銘柄は狙い目ではないかと考えます。

2010年6月21日号

 日経平均はダブルボトムを形成
 
 東京市場は次第に落ち着きを取り戻して来ました。不安心理が払拭されたとまでは云えませんが、5月下旬から6月上旬までのような過度な不安心理は薄らいだように思います。日経平均株価はチャート上、5月25日の9459円と6月9日の9439円でダブルボトムを形成した可能性が強まっていましたが、先週、ネックラインの9914円を上回ったことで、ダブルボトム形成となりました。売買代金はと細っていますが、チャートは上昇余地が広がるいい形になったと云えます。
 先週は日経平均株価が週間で290円(2.99%)上昇。18日の終値は9995円と10000円を割り込みましたが、16日には19営業日ぶりに心理的なフシ目の10000円を回復する場面もありました。10000円の大台を回復した後は方向感のない動きになっていますが、海外での材料待ちという状況からは致し方ないのかもしれません。国内要因で考えれば、大台回復である種の目標達成感みたいなものが出ていましたので、一息ついた後、方向性を見極めている段階と言えなくもありません。先々週から先週にかけて日経平均は5連騰し、底値から556円上昇した水準まで来ましたので、もはや下値リスクを心配する状況ではなくなっています。流れは変わったと見ていいと思います。

 狙い目は外需関連株か

 欧米株式市場はこのところしっかりした展開になっています。欧州で新たな不安が次々出てくる状況が終息したとは云えませんが、問題含みのところはあらかた出尽くしたのではないかと思います。となれば、これまでの相場下落で欧州不安はかなり織り込まれた可能性もあるわけです。ユーロ不安の震源地になった南欧諸国だけでなく、ドイツなどユーロ加盟国の多くが一斉に財政削減に舵を切ったことから、ユーロ不安は後退しつつあると見るべきではないかと思います。緊縮財政による景気悪化懸念は残るものの、欧州諸国の株価が5月25日ごろを底に軒並み反騰しているのは、その表れではないかと見られます。
 こうした中、EUは17日の首脳会議で、金融機関の資産査定(ストレステスト)を7月に公表すると発表しました。査定結果をいち早く公表し、資本注入も行った米国は、金融機関に対する不安払拭に成功しましたが、欧州では査定結果が公表されなかったため、市場の不信を増幅し、今回の危機を招いたという反省があったからです。銀行の資本不足が明らかになった場合、各国政府が即座に資本注入に動くかは不明ですが、市場では欧州の金融機関は不良債権が膨張し、高水準の引き当てを迫られていると見ているだけに、査定結果の公表は不安解消につながるはずです。例え資本注入が必要な金融機関が出てきたとしても、かつてのように信用不安が広がることはないと見られます。順調なら欧州不安は来月で一応の収束を見るのではないでしょうか。
 外国人の大量の日本株売りが5月の相場急落の主因となりましたが、その売越額は急速に縮小しています。寄り付き前の外国証券経由の売買注文もここへ来て買い越しになる日が増えており、外国人の売買にも変化が出てきたのではないかと思われます。自国の株式市場が落ち着いてきたため、日本株にも目を向ける余裕が出てきたからでしょう。
 5月の日経平均株価の下落はユーロ不安など海外要因が原因でした。そのため海外要因が落ち着けば、企業業績などファンダメンタルズのよさが織り込まれる動きになるとみられます。日本株はユーロ不安の震源地となった南欧諸国を除くと世界で最もきつい下げに見舞われただけに、不安後退となれば反発は大きなものになる可能性があります。東京市場はテクニカル的にも売られすぎ状態になっていましたので、ここからは買い考えるべきでしょう。今回の株価下落は決算発表期間中に起きました。好決算が株価に反映されていない銘柄も相当な数にのぼります。狙い目となるのはそういう銘柄でしょう。円高・ユーロ安の流れに一巡感も見られるので、内需関連よりは外需関連の方がいいように思います。

2010年6月14日号

 流れが変わった可能性も
 
 東京市場は次第に落ち着きを取り戻しています。不安心理はまだ払拭されてはいませんが、先々週から先週前半までのような過度な不安心理はかなり和らいだように思います。日経平均が底を入れたとはまだ云えませんが、チャート上は6月9日の9439円で目先の底を入れた可能性があります。
 先々週から先週にかけては首相が交代するなど政治的なビッグイベントがありました。今週以降は、菅新首相が所信表明演説で打ち出した政策をどのように具体化していくかが焦点となってきます。メディアは、大都市のインフラ整備を進めるため「大都市圏戦略基本法」の制定を目指すなど、新政権の新成長戦略の骨格が11日明らかになったと伝えていますが、その工程表に盛り込まれた主な政策を見ると、前政権にはみられなかった強い意気込みみたいなものが感じられます。東京市場は前政権の政権運営能力のなさを織り込んで実態以上に下げていた面もあったとみられるだけに、株価には多少なりとも追い風になるのではないかと思います。
 騰落レシオが16日連続で80%を割り込むなど東京市場はテクニカル的にいつ反転してもおかしくない状態にあります。そうした中の10日と11日の続伸。日経平均が続伸するのは今月に入って初めてですが、株価が大きく売り込まれたあと反転するときは、必ず何日か続伸します。先週末にかけての東京市場の動きは流れが変わった可能性を予感させるものでした。
 5月末から6月にかけて東京市場は小康状態から反発局面に入ろうかという状況になっていましたが、そのときは6月4日のNYダウの急落(323ドル安・3.2%)に打ち砕かれてしまいました。ハンガリーの財政不安と予想を下回る5月の米雇用統計が原因でした。しかしその後のメディア報道で、ハンガリーの財政問題は大したことがないことが明らかになりました。米雇用統計についても、事前の期待値が高かっただけで、改善傾向が続いていることに変わりはありません。

 ここは買いを考えるところ

 欧米株式市場はこのところしっかりした展開になっています。ハンガリー問題については特に懸念されるレベルの問題ではないことも明らかになっています。欧州で新たな不安が次々に出てくる状況が終息したとは云えませんが、問題含みのところはあらかた出尽くしたのではないかとも思えます。ということは、これまでの下げ過程で欧州財政不安はかなりの部分、織り込まれた可能性があるわけです。ユーロ不安の震源地になったギリシャ、スペインなど南欧諸国だけでなく、ドイツなどユーロ加盟国の多くが財政削減に一斉に舵を切ったことから、今回、問題になったユーロ不安はひとまず後退する可能性が出てきたのではないでしょうか。緊縮財政による景気悪化懸念は残るものの、欧州諸国の株価が5月25日ごろを底に軒並み反転しているのは、その表れではないかと考えられます。
 米国株もここへ来て堅調な足取りになっています。NYダウは11日も続伸、前日比38ドル高の10211ドルと10000ドルを回復して引けています。週間の上昇幅は280ドル(2.82%)。中国政府が10日、発表した5月の貿易統計で、輸出が前年同月比48.5%増の1317億6100ドル、輸入が48.3%増の1122億2800万ドルと、輸出入とも大幅に伸びたため、世界景気の先行き不透明感が後退したと受け止められたこと、6月の消費者態度指数(ミシガン大学調べ)が予想以上に伸び、消費者心理の悪化懸念が薄らいだことなどが要因。5月の米小売売上高は政府の住宅購入減税が4月で終了したため、8ヶ月ぶりに前月実績を下回りましたが、前年同月比ではプラスを維持しており、個人消費が緩やかに回復していることに変わりはありません。
 外国人は5週連続日本株を売り越しており、日本株下落の主因ともなりましたが、その売越額は5月第3週の3024億円から第4週321億円、6月第1週69億円と急速に縮小しています。11日の寄り付き前の外国証券経由の売買注文は6日ぶりに差し引き380万株の買い越しとなりました。買い越しとなるのは今月2回目ですが、売り越し幅が次第に減少して買い越しに転じていることから、外国人の売買にも変化が出てきたのではないかと思います。自国の株式市場が落ち着いてきたため、日本株にも目を向ける余裕が出てきたのではないかと見られるからです。
 5月の日経平均株価の下落はユーロ不安など海外要因が原因でした。そのため海外要因が落ち着けば修復相場になるとみられます。日本株はギリシャ、スペインなどユーロ不安の震源地となった当事国を除くと世界で最もきつい下げに見舞われていただけに、ユーロ不安後退となれば、反発は大きなものになる可能性大でしょう。東京市場はテクニカル的にも売られすぎ状態になっていますので基本的には、ここからの一段安はないとみています。したがって下げた局面があれば押し目買いの好機と捉えるべきでしょう。今回の株価下落は決算発表期間中に起きました。好決算が株価にあまり反映されていません。積極的とまではいかなくても、ここは買いを考えるときでしょう。好業績が織り込まれていない銘柄、売られすぎた好業績銘柄などが狙い目となりそうです。

2010年6月7日号

 過度な不安心理は薄らぐ
 
 5月31日号で「流れが変わった可能性も」と指摘しましたが、東京市場は次第に落ち着きを取り戻しています。不安心理はまだ払拭されてはいませんが、先週前半までのような「過度な不安心理」はかなり薄らいだように思います。日経平均が底入れしたとはまだ云えませんが、チャート上は5月25日の9459円で当面の底を入れた可能性が高まっています。先週末の日経平均株価はそこから442円上の9901円。下へののりしろも大きくなっており、下値リスクも後退しています。
 先週は鳩山首相が退陣し、菅直人副総理・財務相が新首相に選出さるという政治的なビッグイベントもありました。市場の関心は菅首相が財政再建や中長期の成長戦略を打ち出せるかに集まっていますが、肝心の閣僚人事や党役員人事は週明けに発表されるとのこと。新内閣が発足するのは8日からとなる見通しですが、それまでは国内要因では株価は動きようがありません。日本経済に対する投資家の危機意識は強く、新内閣発足直後から政策実現に向けた具体策を速やかに打ち出さなければ、市場の期待が失望に変わる可能性もありますが、この点についてはJCブレインでは楽観しています。少なくとも今の株価は鳩山前政権の政権運用能力のなさを完全に織り込んでおり、最上ではなくても平均的な政権運用能力があれば、好感される可能性が大と思うからです。
  理想を掲げながらも原理主義に走らず、リーダーシップもあり、厚生大臣のとき、それなりの実績もあげています。いまの日本経済に必要なのは中期的な成長ビジョン。それを実現する具体策が打ち出されれば好材料となるはずです。また5月以降の株価下落はユーロ不安など海外要因で暴力的に下げさせられたものだけに、海外要因が落ち着けばファンダメンタルズの良さが株価に反映される動きになるとみられます。

 好業績が織り込まれていない銘柄や売られすぎ銘柄などが狙い目

 そうした中、4日発表の5月の米雇用統計が市場予想を下回り、米国株が急落しました。NYダウは前日比323ドル(3.2%)安の9931ドルと4ヶ月ぶりに1万ドルを割り込んだほか、ハイテク株比率の高いナスダック指数も83ポイント(3.6%)安と大きく売り込まれました。失望売りが広がったためですが、これは事前の期待値が高かったからではないかと思います。非農業部門の雇用者数は前月比43万1000人増となりましたが、市場予想の51万人を下回りました。国勢調査に伴う臨時雇用が高水準で、雇用の実態を反映する民間部門の雇用者数は4万1000人増にとどまり4月の21万8000人増から縮小。景気回復ペースの鈍化が意識される形となりましたが、発表前から50万以上という数字が一人歩きし、市場は楽観的になっていました。当社でも予想を大幅に上回るものでない限り織り込み済みとか、材料出尽しで売られるのではないかと思っていたくらいです。
 4日の米国株の急落には欧州財政不安が浮上してきたことも影響しています。今回はハンガリーの政府関係者が、「財政状況が従来考えられていたより深刻だ」と表現したことが伝わり、欧州の財政問題がどこまで広がるか分からないことに対する警戒感が広がりました。ハンガリーはユーロ加盟国ではありませんが、ドイツやオーストリアなどとの経済的な結びつきが強く、ユーロ安の一因となったようです。4日の欧州株は軒並み大幅安となっていますが、下げが大きくなったのは米雇用統計が発表された午後からであり、ハンガリー問題の影響は現在のところ限定的と見た方がいいのではないかと思います。
 欧州からは悪材料が次々と出てきますが、今回のハンガリー問題、そして同国への融資残高が大きいオーストリアの金融機関の信用問題等については、ギリシャ危機が発生する遥か前から指摘されていました。ユーロを巡る金融市場の混乱が収まったわけではありませんが、これまでの下げで、ユーロ不安は相当程度株価に織り込まれたのではないかとみられます。ギリシャ、スペインなど当事国を除いた独、仏などユーロ不安に揺れる国の株価はいずれも5月25日に底を入れた形になっています。
 東京市場は基本的に売られすぎ状態になっていますので、ここからの一段安はないと考えています。したがって下げた局面があれば押し目買いの好機と捉えるべきでしょう。今回の株価下落は決算発表期間中に起きました。好決算を発表した銘柄でも欧米株の急落から強制的に下げさせられたものも多く、好決算が株価にあまり反映されていません。ここは積極的とまではいかなくても、買いを考えるときでしょう。好業績が織り込まれていない銘柄や売られすぎた好業績銘柄が狙い目となりそうです。

2010年5月31日号

 流れが変わった可能性も
 
 東京市場の動揺はまだ収まっていませんが、これまでのような過度な不安心理は和らいできたようです。先週は日経平均株価が心理的なフシ目の9500円を割り込み、9459円まで下げる場面もありましたが、26日以降は3日続伸となり9762円で引けました。3日続伸するのは約2ヶ月ぶり。3日間の上げ幅は303円で、急落した25日の下げ幅(298円)を完全に埋める形になりました。
 外部環境の改善を受け、これまでリスク回避の姿勢を強めていた投資家が再び買いを入れてきたようで、先週は後半にかけ相場の流れが変わったのではと思わせるような動きとなりました。きっかけは27日に「中国がユーロでの外貨準備の運用を見直す」との英経済紙の報道を、中国当局が否定したこと。これが引き金になって悲観心理が和らぎ、海外の投資マネーが安全とされる資産からリスクの高い資産へと流れ込み、株式や原油など国際商品が一斉に買われる展開になりました。売られ続けていたユーロが上昇に転じただけでなく、金融機関のドル調達コストの目安となるロンドン銀行間取引金利(LIBOR)も3週間ぶりに低下するなど銀行間の相互不信もやや後退する形となっています。
  米国債が売られ、原油先物相場が値を戻す展開となっているうえに、下落が続いていた豪ドルなどの新興・資源国通貨が大きく反発していることから、リスク資産から安全資産にマネーを移し変える動きは一巡した可能性が出て来ました。これまで世界のマーケットは、リーマンショック時のようなユーロ危機が今にも起こるかのような見立てで動いていたように思います。7500億ユーロもの巨額な緊急融資制度の創設でユーロ諸国の財政不安は当面(3年間)は顕在化しないはずですから、金融市場の混乱は過度な悲観が原因だったといえなくもありません。今回のユーロ危機は「懸念」であって目前の危機ではありません。この点が2年前の金融危機とは決定的に違います。

 好業績が織り込まれていない銘柄などが狙い目

 大型連休明け後の東京市場の下げは、ギリシャに端を発した欧州諸国の財政不安など外部環境の悪化が原因でした。企業業績が順調に回復するなどファンダメンタルズの良さは変わっていないので、外部環境が落ち着けば、東京市場は再び戻りを試す展開になると考えるべきではないかと思います。4月5日の年初来高値からの下落率が16.6%に達しているだけでなく、騰落レシオやボリンジャーバンドなどのテクニカル指標も売られすぎ状態になっていましたので、東京市場はテクニカル的にいつ反転してもおかしくない状態にあります。日経平均はまだ目先の底を入れたといえる段階ではありませんが、チャート上は5月25日に付けた9459円で底を入れた可能性もあります。
 といっても金融市場の混乱が完全に収まったわけではありません。株式などのリスク資産からマネーが流出する動きは一巡した可能性が出てきたという程度のことで、肝心の欧州財政問題への懸念は残ったままです。このような状況では相場が一気に上値を取ってくる力強い上昇は望めません。時間をかけながらの回復になるのではないかと思われます。
 今回の相場急落は決算発表期間中に起きました。好決算を発表した銘柄でも、欧米株の急落から無理やり下げさせられたものもかなりあり、多くの銘柄で好決算が株価に反映されていません。ユーロの混乱はこれまでの株安過程で相当程度、織り込んだと考えられるので、ここは積極的とまではいかなくても、買いのチャンスでしょう。好業績が織り込まれていない銘柄や売られすぎた好業績銘柄が狙い目となりそうです。

2010年5月24日号

 テクニカル的にはすでに売られすぎ状態
 
 市場の動揺は収まりません。先週は日経平均株価が週間で678円(下落率6.48%)も下落、心理的なフシ目の10000円を割り込んだだけでなく、2月9日に付けた年初来安値も更新してしまいました。終値の9784円はドバイショックが世界的株安につながっていた昨年12月2日以来、5ヶ月ぶりの水準。ギリシャに端を発した欧州財政不安の混乱が収まらず、リスク回避の動きから株価下落に歯止めがかかりません。
 日経平均は4月5日の年初来高値からは13.7%、5月に入ってからでは11.5%の下落となります。強烈な下げですが、どこで下げ止まるのか、また反転の兆しはあるのか、読めない状態になっています。ただはっきりしていることはテクニカル的にはすでに売られすぎ状態になっているという点。下落率の大きさからもそうですが、ボリンジャーバンドはマイナス2σを突き抜けており、25日移動平均線からの下方カイリ率は8.67%、騰落レシオは68.6%と売られすぎとされる80%を下回っています。
 昨年11月の下落局面では高値からの下落率が14.6%、25日線からの下方カイリ率が7.32%、騰落レシオが57.6%となっていました。下落率や騰落レシオはそれよりやや上ですが、昨年11月安値のときは年初来安値からの上昇率が最大で53.4%、最小で19.0%(ザラバベース)でした。今回は最大で25.7%、最小で15.6%の上昇ですから、下落率の小ささや騰落レシオの低さは問題ではありません。企業業績は好調でファンダメンタル面には特段の問題はないので、欧州問題を巡る混乱が収まれば、市場は落ち着きを取り戻す公算大でしょう。

 相場反転を窺う展開か

 欧州発の混乱がここまで世界のマーケットを激変させるとは予想できませんでした。もしかしたら今回の急落は、欧州危機が回復しつつある世界景気に水を差すことを織り込み始めているのかもしれません。欧州地域が経済的に低迷しても米国や中国が落ち込まなければ影響は限定的なものにとどまると思いますが、欧州の混乱が域内にとどまらず、世界の金融システムに及べば、その悪影響は無視出来なくなります。具体的には、ギリシャやポルトガルなど南欧諸国が発行する国債がデフォルトとなり、それを保有している欧米金融機関が多額の損失を被るケースとか、融資が焦げ付くケースです。現に欧州市場では、銀行間の「相互不信」が高まりつつあり、金融機関のドル資金調達コストを示すLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)は昨年7月以来の水準まで上昇しています。もしそうなれば、金融システムが機能不全に陥り、リーマンショック後のような大混乱を招来しかねないのです。
 こうした状況でどのような投資スタンスを取ればよいか。いまは金融システムが機能不全に陥る最悪のケースを織り込み始めているように思いますので、そうした最悪のシナリオもありえると思うなら、混乱が落ち着くまで様子見を続けること、動くのはその後からとなります。
 いまの状況が「行きすぎ」だと思う人(当社もそうですが)は、下げた局面ではリスクテイクしていくべきでしょう。総額7500億ユーロ(約83兆円)の融資制度が設けられたので、かつてのように南欧諸国の国債が財政不安から売られることはなくなっています。マネーの「安全資産への逃避」が一巡すれば、市場は自然に落ち着いててくると考えるべきでしょう。円資産や米国債、安全資産の「金」への非難は行き過ぎの領域に入っているとみられます。
 原油先物相場についてはまだ底打ちしたといえる段階ではありませんが、すでに下げ渋る動きに変わっており、リスク資産圧縮が一巡しつつあることを示しています。安全資産の代表として買われた「金」先物も、5月14日に過去最高値の1トロイオンス(約31.1グラム)1249ドルまで買われた後は、一転して下げる展開が続いています。今回の金価格上昇は投資家のリスク回避の高まりがもたらしたミニバブルだったと云えなくもありません。
 連休明け後の下げは暴力的な下げでした。発表される決算は予想以上に良好で、株高への期待が膨らんでいたのに、米欧の株価急落が無理やり押し下げるという状態が続きました。大型連休明けの5月6日がそうでしたし、決算発表集中日を受けて期待が大きく膨らんだ17日もそうでした。今回の決算発表では好業績が株価に反映されていない銘柄は相当な数にのぼります。

2010年5月17日号

 混乱で市場は不安定な状態に

 連休明け後、急落した東京市場は底値圏で不安定な動きを続けています。先週の週間の日経平均株価の変動幅はプラス98円(0.95%)。決算発表で企業業績の回復基調が鮮明になっていますが、為替や米国株の動きなど海外要因に翻弄される展開から抜け出せません。日経平均の日中値幅は大きく、出来高も増加しているため沈滞ムードはありませんが、方向性は感じられません。欧州財政問題に加え、5月6日の米国株の記録的急落が市場を不安定な状況にしています。
 ギリシャに端を発した欧州の財政不安が収まらず、先週末の欧米市場は軒並み大幅下落して取引を終えました。スペイン株は6.64%の下落。ギリシャ、ポルトガル、イタリア株の下落率は3~5%で、仏CAC40指数は4.59%、英FTSE100指数や独DAX指数も3%を超える下落となっています。これを受け米国市場もNYダウが162ドル(1.51%)安、ナスダック指数が47ポイント(1.98%)安で引けています。
 EUによるユーロ防衛への巨額な金融支援策が打ち出され、ギリシャなどの当面の資金繰りへの不安は解消しましたが、根本にある財政再建への道筋がなお不透明なため、マーケットが再び警戒しだしてきたのが原因。各国が財政赤字削減に向けて打ち出した歳出カットなどの緊縮財政が回復基調にある世界経済に水を差すとの懸念が拭いきれないためです。この日はスペインで発表された4月の消費者物価指数が不安心理を増幅しました。エネルギーや食品を除いた「コア指数」が前年同月比で初めてマイナスとなり、デフレ懸念が広がってきたからです。

 外国人買いが期待できないため、省エネ相場でも動ける中小型株が狙い目

 財政難のギリシャの信用不安に加え、EU諸国の緊縮財政が域内の景気を冷やすとの懸念から、ユーロは対ドル、対円など主要通貨に対して軒並み売られており、これが株式市場を揺さぶる形になっていますが、いまは欧州問題が落ち着くのを待つ以外、手はないように思います。
 14日発表した4月の米小売売上高は前月比0.4%増と7ヶ月連続で増加、個人消費が緩やかに回復していることが裏付けられました。4月の米雇用統計でも非農業部門の雇用者数は4ヶ月連続で増加するなど雇用環境も改善しつつあります。企業業績も回復しており、米企業は金融危機以降、絞り込んできた人員採用を再開し始めたとも報じられています。
 本来なら景気回復を背景に米国株が立ち直って混乱の連鎖を断ち切って欲しいところですが、肝心の米国市場は株価急落を招いた取引システムへの不信もあって、買いが入らない状態になっています。ただチャート上、5月6日の取引時間中に付けたザラバ安値で米国株は当面の底は付けたと見られるので、時間の経過とともに落ち着きを取り戻し、戻りを試す展開になるのではないかと予想しています。
 自国市場が混乱しているため、外国人の日本株買いは当面期待できないと思いますが、今回の株価混乱の原因ははっきりしています。欧州財政問題が落ち着けば、業績の裏づけがある銘柄を中心に見直される可能性は大でしょう。外国人買いがなくても動ける省エネ型の中小型株が当面の狙い目といえます。

2010年5月10日号

 大荒れの展開に

 先週の東京市場は大荒れの展開となりました。連休期間中に米欧株式相場が下落したことを受け、日経平均株価は立会いのあった2日間で692円(6.25%)も下落。とりわけ7日は、ギリシャに端を発したソブリン・クライシス(国家の信用危機)が米国に飛び火し、米国株が急落したことから、東証1部の93%超の銘柄が値下がりするほぼ全面安の展開となりました。
 6日の米国市場は異常でした。米メディアは、発注ミスで株価が急落したことを受け、コンピューターによる自動取引システムが一斉に損失回避の売りを出し、売りが売りを呼ぶ投げ売り状態になったと伝えています。ダウ工業株は14:30前後からわずか20分で600ドル超も下落、10000ドルの大台を割り込む場面もありました。取引時間中の下落幅は過去最大となる998.50ドルで、まさに歴史的な急落でした。終値は前日比347ドル安の10520ドルまで戻しましたが、この株価急落をきっかけに円が対ドル、対ユーロで急伸。この流れが東京市場に引き継がれ、輸出関連株を中心に大きく売られる展開となりました。
 欧州発の株安が米・日、アジア市場へと連鎖する形となっていますが、それは表面上、そう見えるだけであって、実際は違うのではないかと考えています。確かに欧州株は7日も揃って急落しています。しかしそれは時差の関係上、6日の米国株の急落を織り込んでいなかったからではないかと思います。ギリシャを始めとしたPIIG諸国の財政危機はこれまで何度も指摘され、マーケットを揺さぶってきました。その過程でギリシャ問題はかなり織り込まれた見るのが妥当ではないかと思います。ユーロ加盟国とIMFによるギリシャ支援(2010~12年の3年間で1100億ユーロの金融支援で合意)も決まっており、またギリシャも3年間で財政赤字を300億ユーロ削減する法案を可決、2012年までに財政赤字をGDP比3%以内にすることを目指しています。

 狙い目は好業績を発表した銘柄

 7日の米国株はNYダウが前日比139ドル(1.33%)安、ナスダック指数が54ポイント(2.33%)安とともに4日続落で引けました。朝方発表した4月の雇用統計で、非農業部門の雇用者数が前月比29万人増と4年1ヶ月ぶりの大きさとなったほか、主要小売業の4月の既存店売上高が5ヶ月連続でプラスになるなど景気回復を裏付ける指標が相次いだものの、市場の不安心理が強いため、相場を押し上げるには至りませんでした。6日の急落の原因が完全に解明されておらず、投資家が買いを手控えたことも下げ止まらない一因といえるでしょう。ダウ、ナスダック指数ともプラス圏まで戻してから下げているだけに売り圧力の強さが目立ちますが、今回の下げを調整局面と捉えれば見方も変わってきます。
 米国株は昨年3月以降、調整らしい調整もなく、ほぼ一本調子に上げてきました。この間の上昇率は実に7割超にもなります。下げるきっかけがなかっただけだと考えれば、今回のソブリン・クライシスほど最高のきっかけはありません。6、7日のNY市場の出来高はその前の日に比べ71%増、61%増と猛烈に膨らんでおり、売りたい投資家はあらかた売ったのではないかと思われます。終値で見た場合の4月高値からの下落率はNYダウが7.36%でナスダック指数が10.47%。6日の取引時間中に付けたザラバ安値までは下がらないと見られるので、市場が落ち着きを取り戻せば調整一巡感も台頭してくるでしょう。
 今回の米国株の急落は原因が分かっており、チャートも長い長い下ヒゲを引いた形になっています。底入れのシグナルです。それゆえ東京市場も、ここからの一段安はないと考えます。テクニカル指標からもすでに売られすぎ状態になっています。不安心理が残っているため、ある程度の乱高下はあるかもしれませんが、企業業績が想定超のペースで回復しているだけに、下がった局面は格好の買い場と捉えたほうがいいでしょう。決算発表が佳境を迎えており、好業績を発表した銘柄が個別に買われる展開になると予想しています。

2010年4月26日号

 値幅的な調整は終わった可能性も

 調整相場になってきました。先週の日経平均株価は週間で188円(1.69%)下落、3週連続の下落となりました。騰落レシオが150%を超える水準まで上昇していたため、高値警戒感が広がっていたなかでの下落。円安の流れが一服し、対ドル、対ユーロで円高に振れてきたため、ひとまず利益を確定しておこうとの売りが先行する形となっています。ただ、週初に193円安した後は11000円を挟んだ狭いレンジの動きに終始しており、下値を探るような動きにはなっていません。
 注目の騰落レシオは122.8%と過熱ゾーンとされる120%を超えていますが、一時の異常な状態からは低下しています。わずか1ヶ月前は日経平均の日中値幅が100円にも届かない膠着相場が続いていたのに、騰落レシオは3月17日から120%を超えていました。その後の7日間で日経平均が10828円から11339円まで511円(4.71%)上昇しただけで150%を超える水準まで上昇したことこそ、異常だったと思います。これまでの相場は株価の天井圏で見られる「熱気」からはほど遠いものでした。
 前週号で指摘したように、騰落レシオは異常値になったらあまり機能しないことが判明しています。チャートからは日経平均が底を入れたとはまだいえませんが、値幅的な調整は終わった可能性があります。あとは日柄の調整、足場固めではないかと予想しています。
  
 決算を吟味した売買が必要に

 騰落レシオが異常な水準まで上昇していたため、投資家はいつ調整が来てもいいように注文も慎重に出しているようです。市場関係者のほとんどが「慎重論」に傾いている状態のまま相場が天井を打ったためしはありませんから、相場が下押す場面があったら、押し目買いの好機と捉えた方がいいでしょう。
 先週末の米国市場でNYダウは5日続伸し、08年9月19日以来、1年7ヶ月ぶりの高値で取引を終えました。ナスダック指数も4日続伸となり、08年6月以来、ほぼ1年10ヶ月ぶりの高値に進んでいます。住宅統計が大幅に伸びたことから米景気回復期待が高まったのが主因ですが、ギリシャがEUやIMF(国際通貨基金)に資金支援を要請したと発表した後の高値更新だけに、世界の株式市場にはプラスに作用しそうです。実際に財政赤字が減少するまでギリシャの試練は続くとみられますが、EUとIMFの迅速な対応でギリシャ問題はひとまずヤマ場を越えたとみられるためです。投資家は今後、リスクを取りやすくなるでしょう。
 外国人の日本株買いも継続しています。投資主体別売買動向によると、外国人は5週連続日本株を買い超していますが、上場企業の業績が想定を上回るペースで回復しているため、今後もこうした基調は続くと見られます。
 今週から上場企業の決算発表が本格化します。業績に対する市場の反応を見ていますと、業績改善銘柄への感応度は悪くありませんが、増益予想を発表した銘柄でも売られるケースが出ています。2010年3月期の好業績はすでに織り込まれていると見られるので、今期の予想が市場の期待値に対してどうかということが今回は焦点となります。円高や海外景気の影響を受けにくい新興銘柄にも光が当たりつつありますが、今週以降は業績を基準にした売買が始まりますので、決算を吟味した投資が必要になります。

2010年4月19日号

 市場参加者のすべてが警戒し、下がると思っている中で、相場がどう動くか見極めるところ

 東京市場は調整局面に入ってきたようです。先週の日経平均株価は週間で102円(0.91%)下落し、2週連続の下落となりました。騰落レシオが150%を超える水準まで上昇していたため、過熱感が指摘され、高値警戒感が広がっていたなかでの下落。円安の流れが一服し、円相場が1ドル=92円台半ばまで上昇したことも利益確定売りを誘う結果となりました。ただ先週の下落は16日の急落があったためで、相場が下落基調に入ったといえるような下げではありません。
 16日の日経平均の171円(1.522%)の下落には、為替が円高に振れたことのほかに、米検索大手グーグルの株価下落も影響しています。好決算を発表したにもかかわらず同日の時間外取引で5%安まで売られたことから、16日の米国株安が連想され、東京市場での押し目買いを見送らせる要因になったと見られるからです。
 騰落レシオを除くテクニカル指標のほとんどは正常値に戻っていますが、投資家の騰落レシオに対する信頼度は教条的なものになっているため、ほとんどの投資家は今でも相場は過熱状態にあるとの見方をしています。当社の営業活動を通じてもそのことが良く分かります。株式初心者でさえそれなりの調整があると信じ込んでいるのですから。
 市場参加者のすべてが警戒し、下がるだろうと思っている中で相場が果たして下がるかです。騰落レシオが150%台という驚異的水準まで上昇したのは今回を除けば、①1991年2月の153.0%、②93年4月の156.0%、③94年2月の156.3%、④96年4月の152.6%、⑤97年5月の155.3%の5回あります。そのいずれのケースでも騰落レシオと株価が同時にピークアウトしたことはありません。調べたところ、騰落レシオがピークを付けてから3週間後から5ヵ月後に株価はピークを打っています。調整幅についても、②と③は多少の調整とはなっていますが、他のケースでは大した調整とはなっていません。
 今回の検証で騰落レシオは「異常値になったらあまり機能しない」ということが判明したように思います。騰落レシオは過熱ゾーンとされる120%を超え130%台になると完璧な形で調整するのに、150%を超える異常値になると、そこそこの調整はあるものの、調整といえるような調整はほとんどしていません。初めから騰落レシオはそういうものだと決めてかかっているため、気が付かなかっただけではないかと思います。 

 下がった局面は押し目買いの好機

 騰落レシオが「異常値」になっているため、投資家は行け行けどんどんではなく、注文も恐る恐る出しているようです。市場参加者やこれから参加しようと考えている投資家がすべて警戒している中では、多少の調整はあっても、大きな調整は起こらないと考えるべきではないでしょうか。従って下押す場面があったら押し目買いの好機と捉えた方がいいように思います。
 ただ先週末の米国市場で、米証券取引委員会(SEC)が、サブプライムローンを裏付けとした有価証券の販売に絡み、投資家に重要事実を開示しなかったとして、米金融大手ゴールドマン・サックスを証券詐欺罪で訴追したと発表したことを受け、NYダウやナスダック指数が急落したことには注意する必要があります。他の金融機関にも訴追が広がる可能性があるうえに、米政府が今回の金融危機の原因となった金融取引について規制を強化する可能性があるからです。16日の米国株の急落はグーグル株の下落を懸念した下げではないため、もう少し様子を見極めなければなりません。
 16日のCMEの日経平均先物の終値は10915円。大証終値比175円安となっており、今週はこれにサヤ寄せする形で安く始まりそうです。ただ企業業績が急速に回復しているうえ、外国人の日本株買いも継続しているので、一段安はないと考えます。今回の株価上昇で日経平均は昨年3月の7054円を底値に戻りを試す展開に入ったことがほぼ確実となりました。若干の調整はあるかもしれませんが、過度に悲観的になる必要はないと考えます。慎重になりすぎ、これからやってくる上昇相場に乗り遅れてしまうことが最大のリスクではないかとみています。

2010年4月12日号

 過熱状態ながら、体感的にはそれが感じられない不思議な相場に

 東京市場は奇妙な相場付きになっています。先高期待が高まるなど市場の雰囲気は随分良くなっていますが、「過熱感なき過熱状態」となり、高値警戒感が広がる不思議な状況となっています。最大の理由は相場の過熱感を見る指標として信頼性の高い騰落レシオが過熱状態とされる120%を大きく上回って153.2%まで上昇したこと。1990年以降の最高が1998年2月の155.3%ですから、歴史的的水準まで上昇していることになります。このほか25日移動平均線からのカイリ率が5.5%と買われすぎとされる5%を上回っているほか、ボリンジャーバンド、RSI(相対力株価指数)などのテクニカル指標も高値警戒ゾーンに達しています。
 しかし体感的にはそれが感じられない不思議な状態となっています。売買代金は一時より膨らみ、1兆5000億円を超える日が多くなっていますが、過熱状態といえるような状況ではありません。日経平均株価は3月5日に、「日銀が追加金融緩和に踏み切る」と報じられて以来、ほぼ一本調子で上昇してきましたが、上昇率は11.77%にすぎません。昨年11月末から1月半ばまでの反発局面では21%上昇しましたから、それと比べても物足りなさが残ります。
 相場が上昇するときは信用買い残が増加するものですが、信じられないことに買い残は5週連続で減少しています。一方、売り残は5週連続で増加。この面でも奇妙な状況になっています。騰落レシオが早くから過熱状態を示していましたので、買い方は利食いしたあと買いを手控えるようになり、一方、売り方は自信を持ってカラ売りしたり、売り乗せしたりしていた構図が読み取れます。
 騰落レシオが過熱ラインとされる120%を超えてきたのは3月17日からです。そのころは日経平均の日中値幅が100円に届かない膠着相場となっていました。こうした相場が上昇に転じてきたのが3月26日からですが、上昇に転じたといっても日経平均が200円を超えて勢いよく上昇した日は1日もありませんし、3月25日からの上昇幅もわずか511円に過ぎません。東京市場はこのような相場付きで、かつて経験したことのないような高値警戒感が広がる形になっています。

 下がった局面は押し目買いの好機

 テクニカル指標で売りサインが出ているからといっても、必ずしも下がるとは限りません。大きな下落にはならず、スピード調整した後、再び上昇相場が始まるケースもまれにあります。今回はそうなるような気がします。振り返ってみれば2008年、2009年と過去の経験則が通じない相場でした。今回の騰落レシオにしても、値上がり銘柄数が値下がり銘柄よりもはるかに多く、歴史的な水準になったということは、見方を変えれば100年に1度といわれる記録的な不況の裏返しなのかもしれません。リーマンショック後はほぼすべてのテクニカル指標が過去に例がないほど悪化していました。その不況からの回復局面となれば、やはり過去に例がないほど過熱しても不思議ではありません。
 テクニカル指標が過熱状態を示しているので、投資家は物色対象には極めて慎重になっており、注文も恐る恐る出しています。市場参加者やこれから参加しようと考えている投資家はほとんどが過熱状態になっていることを承知していますので、すべてが警戒している中では大きな調整は起こらないと考えるべきでしょう。
 外国人の日本株買いは継続しています。今回の株価上昇で日経平均は昨年3月の7054円で大底を入れ、同年11月の9081円で2番底を形成し、戻りを試す展開に入ったことがほぼ確実となりました。今後、若干の調整はあるかもしれませんが、過度に悲観的になる必要はないと考えます。むしろ慎重になりすぎ、これからやってくる上昇相場に乗り遅れてしまうことが最大のリスクではないかとみています。下がった局面があれば押し目買いの好機と捉えるべきでしょう。

2010年4月5日号

 相場は過熱状態に

 相場付きが随分と変わってきました。日経平均株価は連日のように昨年来高値を更新、市場では先高期待も広がっています。売買代金は活況の目安とされる2兆円には届いていませんが、それでも1兆5000億円を超える日が相次ぐなど一時より膨らんでいます。為替相場が円高・ドル安の流れから円安・ドル高の動きに変わりつつあること、EC首脳会議でギリシャ支援策が決まったことなどを受け、不安心理が後退したこと、3月の日銀短観で、製造業だけでなく、非製造業の景況感回復も鮮明になったことなど、株式相場を取り巻く環境が総じていい方向に変わってきたことが背景。
 ただ騰落レシオが過熱ゾーンとされる120%を大きく上回る149.5%まで上昇してきたこともあって相場の過熱感を指摘する声も強くなっています。騰落レシオが149.5%となるのは1998年2月以来、約12年2ヶ月ぶりのことで、99年のIT相場や2003年4月からの大上昇相場を凌ぐ記録的な水準。25日移動平均線からのカイリ率も5.5%となっているほか、RSI(相対力株価指数)も90.1%と買われすぎとされる80%を超えています。
 このことから相場下落を心配する向きもいますが、ここで弱気になる必要はないと思います。過熱状態といってもそれは「短期的」なものであり、買い意欲の強さから、調整があったとしても下値は限定的でしょう。今回も相場上昇に乗り遅れた投資家は多く、下がった局面では押し目買いが入るとみられますし、2月第2週から7週連続で売り残が増えており、下がった局面では売り方の買い戻しも期待されます。騰落レシオが記録的な水準まで上昇したことは、見方を変えれば尋常でないことが起こり始めていると解釈しなければならないのかもしれません。尋常でないことといえば相場が上へ行くことでしょう。日本人の多くは日本経済や相場の先行きを悲観的にみすぎています。そうした見方が覆されるのではないかとも考えられます。

 物色対象は輸出関連及び内需関連の出遅れ株

 2日発表の3月の米雇用統計で非農業部門の雇用者数は前月比16万2000人の大幅な増加となりました。増加幅は07年3月以来3年ぶりの大きさで、雇用面でも底入れした形となっています。増加幅は市場予想の18万4000人を下回ったものの、国勢調査に従事する一時雇用者数が4万8000人と一部で言われていた10万人より少なかったことを考えると、上方修正とも云える内容。単月の振れをなくするため1~3月期を月平均でみれば5万4000人の増加となっており、1年前からは劇的な改善となっています。2日の欧米株式市場が復活祭で休場だったため、米雇用統計を受けて始まる最初の市場は東京市場ということになりますが、東京市場は好感して始まるのではないかと思われます。
  外国人は昨年12月の日銀の追加金融緩和をきっかけに日本株買いを積極化しています。3月第4週(23~26日)も370億円の買い越しになっており、昨年12月以降の買越額は早くも3兆1200億円と3兆円を上回っています。昨年1年間の買越額が1兆7775億円(うち12月が1兆3021億円)でしたから相当な金額です。これだけ大量の買いが長期にわたって続くということは、回復しつつつある世界景気を背景に、外需依存度の高い日本企業がその恩恵を最も受けるとの判断があるからでしょう。事実、JPモルガン証券では「ほとんどの外国人投資家が日本株に強気になった」と話しています。
  外国人が買い姿勢を強めているため、狙い目となるのは世界を相手にビジネスを展開している輸出関連株でしょう。ただ相場に過熱感が出ていますので、物色対象は上がる前の銘柄か、調整一巡感の出た銘柄に絞ったほうがいいように思います。また非製造業の景況感も急速に改善していますので、出遅れの内需株も狙い目といえます。

2010年3月29日号

 不安心理が後退、買い安心感が広がる

 先週号で「早ければ今週中に新値更新も」と指摘しましたが、日経平均株価は26日に前日比167円高の10996円となり、1月15日以来、約2ヶ月ぶりに昨年来高値を更新しました。高値圏で膠着感の強い動きが続いていましたが、チャート上、上に抜けた形となっています。円高・ドル安の流れに歯止めがかかり、円安の動きに変わりつつあること、EC首脳会議でギリシャ支援策が決まったことなどを受け、不安心理が後退、買い安心感が広がってきたためです。
 ただ騰落レシオが過熱ゾーンとされる120%を上回る134.0%まで上昇していることもあって、市場では高値警戒感も広がっています。25日移動平均線からの上方乖離率は4.56%で、買われすぎとされる5%を超えてはいませんが、信頼性の高い指標として人気の高い騰落レシオが買われすぎ状態を示しているため、短期的な過熱感を指摘する声が多くなっているわけです。売買代金も低調で、過熱している状況とはなっていません。
 日経平均は2月第2週から7週連続で上昇が続いており、この間、939円(9.3%)上昇しています。それなりの上昇(率)とはなっていますが、上げ過ぎといわれるほどの上昇率ではありません。日経平均の日中値幅が100円以下の膠着相場が続いていた関係で、騰落レシオを算出する値上がり銘柄数と値下がり銘柄数が拮抗した状態が続き、日経平均が大きく上昇したとき騰落レシオが上がるという技術的要因が影響しているように思われます。
  昨年11月27日の安値から今年1月15日高値までの日経平均の上昇幅は1901円で、上昇率は20.9%に達していました。当時の騰落レシオの最大値は1月6日の127.6%。安値からある程度上昇してきたのでそれなりの調整があってもおかしくありませんが、東京市場は上値追いの動きに拍車がかかる可能性も残しています。どちらに動いても対処できるよう、投資戦略を立てていたほうがいいように思います。

 物色対象は輸出関連株

 日経平均が昨年来高値を更新したことで投資家心理はかなり好転しそうです。世界景気が緩やかに回復しているため、通常なら「世界景気の敏感株」とされる日本株は有卦(うけ)に入ってもおかしくありません。そのような日本株がいまだリーマンショック前の株価を回復できず、危機前の水準を回復した英国や、ドイツ、米国、フランスに比べても出遅れが顕著になっています。政権交代で政策運営が不安定になっているうえに、デフレ脱却の道筋が見えないことが重荷になっているとみられますが、そのうち少なくとも後者については、日銀の追加金融緩和をきっかけに懸念は大きく後退しています。
 外国人は昨年12月の日銀の追加金融緩和をきっかけに日本株買いを積極化しています。3月第3週(15~19日)も1667億円の買い越しになったことから、昨年12月以降の買越額は早くも3兆830億円と3兆円を上回っています。これだけ長期にわたって大量の買いが続くということは、回復しつつつある世界景気を背景に、外需依存度の高い日本企業がその恩恵をもっとも受けるとの判断があるからだと思われます。
  外国人が買い姿勢を強めているため、狙い目となるのは世界を相手にビジネスを行っている輸出関連株でしょう。物色に当たっては上げている銘柄よりも、調整一巡感の出た、上がる前の銘柄を狙ったほうがいいように思います。新興銘柄を中心に小型株人気が続いていますが、東証1部が活況になれば新興株人気は沈静化しますので、注意が必要です。

2010年3月23日号

 早ければ今週中に新値更新も

 東京市場は高値圏で膠着感の強い動きとなっています。先週の日経平均株価の騰落幅はプラス73円(0.68%)。米国市場の動きを受けて上下どちらかに寄り付いた後はそのままという状態で、日経平均の日中値幅も100円を下回る日が多くなっています。売買も盛り上がりまん。
 しかし地合いは悪くありません。新興市場や低位株を中心に循環物色が続いており、先高期待が高まっているからです。先週末の日経平均株価は10824円。今年1月に付けた昨年来高値まであと158円と迫っており、きっかけ次第では1日で上抜ける水準になっています。ただ騰落レシオが128.5%まで高まっていることもあって高値警戒感も広がっており、一気に新値更新へと進むかは微妙な情勢。
 企業業績が想定超のペースで回復しているうえに、円高一服、米景気の先行き不安後退と外部環境が好転しているため、今週中にも新値更新となる可能性は充分あります。年度末の持ち合い解消売りや決算対策売りはピークを越し、株式需給が改善しているだけに、新値更新となれば上値追いに拍車がかかる可能性も大。

  狙い目は電機・精密・自動車・機械などのセクター

 決算期末を控え国内機関投資家は動きにくくなっていますが、市場のメインプレーヤーになっている外国人はここへ来て日本株買いを再開しつつあります。3月第2週(8~12日)は3586億円の大幅売り越しとなりましたが、これはSQ算出に伴う一時的な持ち高調整などの特殊要因が影響したもので、日本株の先行きについて弱気に転じたからではありません。現に寄り付き前の外国証券経由の売買動向は3月4日から12日連続で買い越し基調が続いています。注目すべきは外国人が3586億円売り越しても株価が下げなかった点でしょう。
 業績面では1年前は「先がまったく見えない」状況でしたが、今期は期初の大幅減益予想が増益に転じる見通しとなっています。野村証券金融研究所によれば、上場400社(金融除く)の2009年度の経常利益は前年度比7.4%増の予想。2010年度は同57.9%増予想となっています。株式市場は「変化」を最大の買い材料としますから、中長期的にみれば今年は強気で臨むべきでしょう。
 ただ前にも触れたように市場では高値警戒感が広がっていることも事実。調整場面が来ても即、対応できるよう、当面は半身の構えが必要でしょう。狙い目となるのは来期の収益をけん引する電機、精密、自動車、機械などのセクター。

2010年3月15日号

 当面は足元を固める展開か

 前週号で「少し動きが変わってきたような感じです」と指摘しましたが、まさにそのような動きでした。先週は日経平均株価が383円(上昇率3.7%)上昇し、戻り高値を一気に更新しました。12日の日経平均の終値は10751円、今年1月の昨年高値まであと231円と迫っています。売買代金は低調で、膠着感の強い側面も見られますが、相場の地合いは確実に好転しているようです。 
 国内外とも景気の回復を示す指標が相次いるうえ、円高の流れにも歯止めがかかり、買い安心感が広がったことが地合い好転の背景。今週は日銀金融政策決定会合や米FOMCが開催されます。追加金融緩和を検討している日銀が新たな金融緩和策を打ち出せば好感される可能性はありますが、市場はそれを先取りして上昇した面もあり、内容いかんでは材料出尽しになる可能性もあります。
  ナスダック指数がリーマンショック前の2008年9月以来の高値に進んできたうえ、NYダウも今年1月に付けた昨年来高値まであと101ドルに迫るなど日本株を取り巻く環境は次第に良くなっています。ただ東京市場は2月9月に付けた年初来安値から約1ヶ月で819円(上昇率8.2%)も上昇し、高値警戒感が強まっているだけに、一段高に進むのは困難。テクニカル指標もやや過熱気味になっていますので、当面は足元を固める展開になるとみられます。

  狙い目は輸出関連株

 欧州問題を巡るギリシャの財政再建策は今週、正式発表されますが、すでにその内容は明らかになっていますので、市場が動揺することはないと思います。東京市場の懸念要因となっていた米新金融規制案も当初の不安は大きく後退、円高懸念も米景気回復期待の高まりなどから和らぎつつあります。中国の金融引き締め懸念はなお残りますが、マーケットの重荷になっていた懸念要因は徐々に薄れています。
 決算期末を控え国内機関投資家は動きにくくなっていますが、市場のメインプレーヤーになっている外国人はここへ来て日本株買いを再開しつつあります。外国人は2月第2週から4週連続で日本株を買い越しており、3月第1週(1~5日)の買越額は前の週に比べ倍以上の2325億円と1月第3週以来の高い水準に達しています。膠着ムードの強かった相場が上放れたのはこれが原因だったわけです。世界経済が回復基調にあるだけに、外需依存度の高い日本企業がその恩恵を最も受けるのとの判断から買っているのだと見られます。
 外国人が買い姿勢を強めているため、狙い目となるのは輸出関連株。物色に当たっては、買われている銘柄よりも調整一巡感の出た、上がる前の銘柄を狙ったほうがいいように思います。

2010年3月8日号

 相場つきが変わった可能性も

 東京市場は膠着感の強い動きになっていましたが、先週末になって少し動きが変わったような感じです。「日銀が追加金融緩和の検討に入った」と報じたことで円高・ドル安の流れが一服したほか、中国政府が5日の全国人民代表大会(日本の国会に相当)で、積極財政と金融緩和を維持する姿勢を表明したことが契機となりました。5日の東京市場で日経平均は223円(2.20%)高と急伸しました。ドバイショックを受けて昨年12月に日銀が金融緩和に踏み切った後、円高修正が進み、日経平均が約1ヵ月半で2割超上昇した経緯があり、これを連想した買いが広がる展開となりました。
 売買代金は1兆2700億円と低調で、後場の日経平均の値幅は55円と鈍い動きでしたが、利益確定売りをこなしながら終日、高値圏を保った動きとなっており、相場の基調としては悪くありません。それまでの膠着感の強い、外部要因に左右される主体性のない相場とは違うような動きでした。
 PIIGS(ポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペイン)諸国の財政不安は残るものの、ギリシャ政府が打ち出した追加財政再建策や、その後の国債消化が順調だったことで、欧州の財政不安はひとまず後退しています。
 こうしたなか、5日発表した2月の米雇用統計で、非農業部門の雇用者数の減少幅が市場予想よりも小幅にとどまり、米景気回復に対する不透明感が後退する形となっています。これを好感し、5日のNYダウは122ドル(1.17%)高、ナスダック指数は34ポイント(1.48%)高となっています。NYダウは1ヵ月半ぶり、ナスダック指数は2008年9月3日以来、1年半ぶりの高値に進んでいます。

 輸出関連株が物色される可能性も

 先週号で厳しい経済環境のなか日経平均が下値を切り下げないのは、テクニカル面からいつ反転してもおかしくない状態になっているからだと指摘しました。上場企業の収益は想定超のペースで回復しており、東証1部上場企業の2010年3月期の連結経常利益は12.5%増加する見通しです(新光総合研究所調べ)。来期は増益幅がさらに拡大、今期予想比43%増となる予想。
 こうした業績の回復を背景に東京市場は上(=業績相場)に行きたがっているように見えますが、一方では、対ドル、対ユーロでの円高がそれを許さないねじれた構図にもなっています。このため相場は膠着。行き場を失った資金は円高などの影響を受けにくい新興銘柄や低位株などに流れ始めています。新興3市場が底堅い動きを見せ、マザーズ指数やヘラクレス指数、JASDAQ平均が方向感の分かるしっかりしたチャートを描いているのはそれが背景にあるからでしょう。
  ただ日銀の金融緩和検討、ギリシャの追加財政再建策発表、米雇用統計発表を受け、円高の流れが変わる可能性もあります。円は対ドル、対ユーロで高止まったままですが、円高・ユーロ安の動きはすでに一服しており、対ドルに対しても先週末にNY市場で1ドル=90円台に押し戻される円高修正の動きもみられます。こうした動きが続けば大きく調整していた輸出関連株が見直される公算が大きいだけに、日経平均(=東証1部)が膠着状態を脱する可能性もあります。
 今週以降は物色の流れが新興銘柄に来ても東証1部にきても即、対応できるよう、半身の構えが必要でしょう。

2010年3月1日号

 膠着感の強い動き

 東京市場は膠着感の強い動きになっています。上値は重く、下値も固いという相場状態。ただ商いは低調で、通常の下値は固いというレベルの固さではなく、ネガティブな材料が出れば日経平均の1万円割れも避けられない、頼りない固さと云った方がいいかもしれません。米国など海外株の動向と為替相場と株価指数先物によって相場が決まる方向感のない動きになっています。
 米国では予想を下回る経済指標が相次ぎ、景気の先行きに強弱感が対立しています。欧州ではギリシャの財政問題解決が喫緊の課題となっていますが、同様の問題は今後、PIIGS(ポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペイン)諸国へも波及する可能性があります。そうなれば通貨としてのユーロの価値が下落し、国際経済に深刻な打撃を与えかねません。ユーロの先行きには不透明感が強く、外国人投資家を中心に株式に対するリスクを取りにくくする要因となっています。
 こうした状況でも東京市場が下値を切り下げないのは、テクニカル面からいつ反転してもおかしくない状態になっているからでしょう。騰落レシオは2月12日から11日連続で70%台で推移しています。足元の株価は200日移動平均線(26日時点で10031円)が下支えするとみられますが、悪材料でいったん、1万円を割り込む局面があれば、そこは絶好の買い場と見た方がいいように思います。

 新興株人気が再燃する可能性も
  
 上場企業の業績は予想を上回るペースで回復しており、東証1部の2010年3月期経常利益は前期比12.5%増加する見通しです(新光総合研究所調べ)。そして来期は増益幅が一段と拡大、今期予想比43%増加する予想。今期のコスト削減による増益から、本業が回復して売り上げ、利益とも伸びる見通しです。
 こうした業績の回復を背景に東京市場は上(=業績相場)に行きたがっていますが、対ドル、対ユーロでの円高がそれを許さないというねじれた構図になっています。こうした相場の膠着を嫌い、円高などの影響を受けにくい新興銘柄や低位株などに資金は流れ始めています。新興3市場が底堅い動きを見せ、マザーズ指数やヘラクレス指数、JASDAQ平均が方向感の分かる堅調なチャートを描いているのは資金流入が背景にあるからでしょう。
 新興銘柄も業績面での底はすでに入れています。投資家の信頼感はいまいちですが、売買代金が膨らみつつあるので、今週から始まるIPOをきっかけに人気が再燃する可能性も出てきたように思います。市場が業績相場に移行しつつありますので、狙い目となるのは好業績銘柄でしょう。材料出尽しや織り込み済みで売られた銘柄も、今後、見直される可能性大でしょう。

2010年2月22日号

海外要因に左右される展開

 東京市場は海外要因に左右される展開から抜け出せません。米国の新金融規制案や中国の金融引き締め懸念、ギリシャの財政不安に加え、先週は米国の公定歩合引き上げ(0.25%)が市場を直撃しました。週末の19日には日経平均が212円(2.05%)下落。市場の自信のなさが裏付けられた結果となりました。
 米金利引き上げは円安につながるため日本株にとっては必ずしも弱材料ではありませんが、中国市場と関連の深い香港市場が2%超下げたため、春節明けの22日の上海市場に対する警戒感が広がったほか、19日の米国株の下落を警戒した売りに押される動きとなりました。市場では米公定歩合の引き上げが政策金利の引き上げに直結するとの見方は少ないものの、外部要因に変化が起こった場合、日本にとっての2大市場となりつつあるNY市場と上海市場がどう反応するか確認してからでないと動けないような状態になっています。
 このことは日本の機関投資家が株式投資に対していかに自信を喪失しているかを如実に表しています。東京市場は今後も海外要因、とりわけ外国人動向に左右される相場展開から抜け出すことは不可能と考えざるを得ません。世界屈指の運用資金を持ちながら自国市場の主導権さえ握れない状況ですが、肝心の米国株は19日、上昇しています。NYダウは9ドル高の10402ドルと約1ヶ月ぶりの高値となり、ナスダック指数も2ポイント高の2243ポイントと6日続伸、1月21日以来の高値で引けています。公定歩合引き上げは米金融市場や経済が正常化してきた証しだと好意的に捉えられたようです。

 株価は戻り歩調に 

 19日のCMEの日経平均先物が大証終値比135円高の10275円で引けていることもあり、今週の東京市場は売られすぎた分の修正から始まりそうです。市場の懸念材料とされているもののうち、米国の新金融規制案はかなり薄らいでおり、ギリシャの財政不安も、EU財務相理事会がギリシャの財政再建計画を承認したため、実施計画提出期限である3月16日まで混乱はひとまず回避される見通しとなっています。残るのは中国人民銀行が春節休暇入り前の12日の取引終了後に発表した今年2回目の預金準備率引き上げが中国株にどう影響するかです。金利水準の引き上げではありませんが、銀行の融資ペースを鈍らせるため、企業の設備投資意欲を抑制する効果があります。中国経済が過熱化しバブルになるのを防ぐための措置だけに株価にはプラスにはならないものの、大きマイナスにもならないと考えるのが一般的でしょう。
  19日に急落したとはいえ、東京市場は戻りを試す展開に入ったと見られます。移動平均線からのカイリ率やボリンジャーバンドなどテクニカル指標からはいつ反転してもおかしくない状態になっていました。127.6%まで上昇した騰落レシオが70.3%まで低下していることからみても、一段安は考えにくい状況になっています。
 1月下旬以降の相場調整局面で売り越しを続けていた外国人が2月第2週(8~12日)に3週間ぶりに買い越しに転じるなど、需給面にも明るさが出ています。企業業績が予想以上のペースで回復しているため、売り基調が強まる可能性は乏しくなっています。米国の利上げを契機に円安・ドル高の流れが鮮明になれば、世界的にも高い業績回復が期待されるだけに、日本株買いが膨らむ可能性もあります。
 決算発表の一巡で買い手掛かり材料がなくなっていますが、こうしたなかで狙い目となるのは売られすぎた銘柄でしょう。昨年11月末からの相場上昇を引っ張った自動車やエレクトロニクス関連などの外需関連株の多くは、1月中旬以降、大きく売り込まれ、テクニカル的にも売られすぎ状態になっています。そうしたなかから業績面でも期待できそうなものが狙い目となります。

2010年2月15日号

海外要因に左右される展開が続く

 東京市場は引き続き海外要因に左右される展開となっています。米国の新金融規制案や中国の金融引き締めに対する懸念はやや薄らいでいるものの、欧州の財政不安の高まりをきっかけに、金融証券市場では不安定な動きが続いています。かつての金融危機時のような厳しい動きではありませんが、株式だけでなく、金や原油など国際商品も売られていることから、投資マネーがリスクの高い資産を減らそうとする姿勢を鮮明にしており、それが日本株を揺さぶる構図になっています。
 今回はギリシャの財政不安がドルと並ぶ機軸通貨と期待されていたユーロの信認問題に発展しているため、ユーロ圏16カ国だけの問題ではなくなっています。EUは11日の臨時首脳会議で、「ユーロ圏の安定を守るため、必要ならば断固とした協調行動をとる」との声明を発表しましたが、ギリシャ支援についての具体策はなく、資金繰り難が現実味を帯びるまで支援は先送りされた形になっています。ギリシャの財政危機は一時的な支援で解決する問題ではないため、当事国が痛みを伴う歳出削減策を受け入れなければなりません。同様な問題はスペインやポルトガルでも起きており、ギリシャが国債の償還が相次ぐ4~5月までに市場の信認を取り戻せるかが焦点となっています。
 EUの臨時首脳会議でギリシャへの支援を表明した後も、ユーロ売りは止まっていません。受け皿となるのがドルと円ですが、現状ではドルが受け皿となりにくいため、消去法的に円が買われる展開となっています。結果的に円が対ユーロ、対ドルで強基調となり、これが日本株の足かせとなっています。

 狙い目となるのは売られすぎた外需関連株

 海外要因に左右される展開とはいえ、東京市場は下値抵抗力を備えてきたように思います。先週は日経平均の週間の騰落幅がプラス35円。終値では10092円と再び10000円の大台を回復して引けました。移動平均線からのカイリ率やボリンジャーバンドなどテクニカル指標からも売られすぎ状態にありましたので、反転の動きに転じてきた可能性もあります。127.6%まで上昇した騰落レシオも79.4%まで低下しており、売られすぎに近い状態になっています。1月中旬以降の下げで中国の金融引き締め懸念や米金融規制案、欧州の財政不安はかなり織り込まれたとみられるので、ここからは売りではなく、買いを先行させるべきでしょう。
 ここへ来て外国人の日本株買いに一服感も見られますが、世界景気が回復傾向にあることを考えると、売り基調が強まる可能性は乏しいと思われます。上場企業の業績回復も目立ってきましたので、円安傾向が鮮明になれば再度、外国人買いが膨らむ可能性もあります。
 決算発表が一巡したため、今週以降、買い手掛かり材料がなくなりますが、こうしたなか狙い目となるのは売られすぎた銘柄群。昨年11月末からの相場上昇を引っ張った自動車やエレクトロニクス関連などの外需関連株の多くは、1月中旬以降、大きく売り込まれ、テクニカル的にも売られすぎ状態になっています。そうしたなかから業績面でも期待できそうなものが狙い目でしょう。

2010年2月8日号

 海外要因に左右される展開

 東京市場は引き続き海外要因に左右される展開となっています。米国の新金融規制や中国の金融引き締めに対する懸念はやや薄らいでいるものの、欧州の財政不安の高まりをきっかけに、株安連鎖の波が世界に広がっています。かつての金融危機時のような厳しい株安連鎖ではありませんが、株式だけでなく、金や原油などの国際商品も大きく下げていることから、投資マネーがリスクの高い資産を減らそうとする姿勢を鮮明にしており、それが日本株を揺さぶる構図になっています。
 今回はギリシャの財政不安がポルトガルやスペインなど南欧諸国に波及し、欧州全体の懸念材料となっています。結果としてユーロ売りが加速。ドルが受け皿となりにくいため、消去法的に円が買われる展開となっています。先週5日は日経平均株価が前日比289円(2.89%)安と急落しましたが、下げに拍車をかけたのはこの円高だったと見られます。
 1月中旬以降の日経平均の下げはこうした外部要因を背景としたものですが、それについては事態の好転を待つ以外、手はありません。財政不安が喫緊の問題になっているギリシャについては、欧州主要国がユーロ防衛のため、何らかの手を打つはずです。

 東京市場はいつ反転してもおかしくない状態に

 海外要因に振り回されている東京市場ですが、先週1週間の下げは141円と大きくはありません。5日の急落で日経平均は直近安値を更新する形となりましたが、先週号でも指摘したとおり、いつ反発してもおかしくない状態にあるとみています。ボリンジャーバンドの-2σを下に突き抜けており、25日移動平均線からのマイナス乖離率も4.95%に広がっています。チャート上も、昨年11月27日の直近安値から今年1月15日の昨年来高値までの上昇幅の半値押し水準(10031円)近くまで下げています。経済の実態が回復の方向にあることを考えると、すでに下値を付けた可能性もあります。従ってここからは下がった局面があれば押し目買いの好機と考えるべきでしょう。
 5日発表した1月の米雇用統計は明暗入り混じる内容でした。失業率は9.7%と4ヶ月ぶりに10%を下回りましたが、非農業部門雇用者数は前月比2万人減少。市場では1.5万人の増加を予想していましたのでNYダウは売り先行で始まりました。ただ単月で数十万人以上が減少したかつての局面からは抜け出しており、減少幅も昨年12月の15万人から大きく縮小しているため、引けにかけては戻す展開。一時160ドル安まであったものが10ドル高で引けています。長い下ヒゲを引いて切り返してきた動きからみて、プラス基調に転じきれないもたもたした雇用情勢や欧州の財政不安はかなり織り込まれたように思います。
 東京市場はテクニカル的にはいつ反発してもおかしくない状態にありますが、外国人の日本株買いに一服感が出ていますので、1月15日に付けた昨年来高値を更新するまでには至らないと思います。更新するとすれば米国市場の調整一巡を待ってからでしょう。それまでは好材料の出た銘柄を個別に買う個別株物色が続くとみられます。決算発表が本格化しているため、物色対象は好業績銘に絞るべきでしょう。ただ好業績銘柄イコール株価上昇とは限らないので、好業績を期待して上昇している銘柄には注意が必要です。

2010年2月1日号

 東京市場はいつ反発してもおかしくない局面に

 東京市場は海外要因に左右される動きが続いています。中国の金融引き締め観測やオバマ米大統領の新金融規制案発表で、米国株が不安定な動きになっているのを受け、それに振り回されるような展開になっています。先週末の日経平均株価は10198円。週間の下落幅は392円(下落率3.7%)で、今年1月15日に付けた昨年来高値からは784円(同7.1%)の下落となっています。
 一方、先週末のNYダウは10067ドル。週間では105ドル(下落率1.03%)の下落となり、昨年11月6日以来、約3ヶ月ぶりの安値となっています。今年1月19日に付けた昨年来高値からは658ドル(6.14%)の下落。ハイテク株の比率が高いナスダック指数も同日の昨年来高値から173ポイント(7.45%)下落し、約2ヶ月ぶりの安値で引けています。好業績を発表しても好感されない動きや、昨年3月の金融危機後の安値から調整らしい調整もなく、ほぼ一本調子で上げてきたこれまでの動きから、米国株は本格的な調整局面に入ったと見られます。
  東京市場もこの影響を受けると思いますが、米国株と違い昨年7月と11月に調整を入れていますので、現水準から大きく下押すことはないとみています。テクニカル的にみれば日経平均はボリンジャーバンドの-2σを下抜けており、25日移動平均線からのマイナス乖離率も4.09%に広がっています。チャート分析上も、昨年11月27日の直近安値から今年1月15日の昨年来高値までの上昇幅の3分の1押し(10347円)を下回る水準まで下げています。半値押し水準が10031円ですから、値幅調整は終わった可能性が強く、いつ反発してもおかしくないところまで来ています。あとは日柄だけだと思います。ここからは下がった局面は押し目買いの好機と考えるべきでしょう。

 狙い目は好業績銘柄

 東京市場は本当は上に行きたいような動きになっているように思います。10~12月期決算発表が本格化しており、中国など新興国だけでなく、米国の需要底入れも見える好決算となっていますが、上述したような外部環境がこれに影を落とす形になっています。円高懸念がくすぶり、中国の金融引き締め懸念があるなか、米国の新金融規制案の中身が判明しない状況では、先行きへの不透明感は消えません。
 ここからの見通しについては東京市場のメインプレイヤーになっている外国人投資家がどう動くかを考えなければなりません。外国人は出遅れ感や世界景気の回復期待から日本株を9週連続で買い越していますが、怒涛の買い越しは今年1月の第2週で終わった感があります。日本には世界景気の回復で恩恵を受ける企業が多いため、世界景気回復期待のある間は日本株買いは継続する可能性はありますが、昨年12月から今年1月第2週までのように相場を大きく押し上げるような買い方は当面しないと見た方がいいように思います。
 東京市場は値幅調整が終了しつつあるとは云っても、外国人買いが細っているため、1月15日に付けた昨年来高値を更新することは当面、ないと見ます。更新するとすれば米国市場の調整一巡を待ってからでしょう。それまでは好材料の出た銘柄を個別に買う個別株相場が続くと見なければなりません。決算発表が本格化しているため、当面は好業績銘柄に物色の対象を絞るきでしょう。

投資情報の重要性

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