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シコー技研 インテルに入ってるモーター

日経ビジネス(2008.4.28-5.5合併号)に興味ある記事が出ていましたので紹介します。以下がその本文です。

 ポケットに入れた携帯電話が「ジィジィジィ」と小刻みに動き、着信があったことを伝える。携帯を振動させているのは、超小型モーターだ。 今では当たり前の振動機能が広く普及した背景には、米国の巨大企業と日本のベンチャー企業の協力があった。 米モトローラが、世界最小となる携帯を開発中に振動機能を搭載しようと、小型モーターを探していた時のこと。日本の電機メーカーの担当者が“お土産”を出した。それこそがシコー技研の振動モーターだった。
 携帯に組み入れる部品では、小ささと馬力が重視される。当時の端末の大きさは、横7cm、縦9cm、厚み2cmほど。この小さい電話に、基板やコネクター、各種部品を組み込む。モトローラが部品を探していた頃、シコー技研は世界最小の直径4mmの振動モーターを開発した。だからこそ“お土産”になるほどだったのだ。
 シコー技研のモーターは小さく、軽く、そして薄い。その理由は白木学社長が開発したモーターの構造にある。 まず、電気を流す導線を巻きつける芯がない。従来のモーターは導線を芯に巻きつけてできていた。巻きつけると形状を保ちやすいためだが、一方で芯の分だけ体積も大きく、重量も増えてしまう。そこでシコー技研は芯をなくして、体積と重量を約3割減らした。 また細い導線を使っている。モーターの馬力は導線の長さに比例するため、細い導線を使うことで、小さくても馬力を落さない。
 とはいえ、細い導線を使い、かつ芯をなくすことは容易ではない。そこでシコー技研は、製造方法から見直した。 ただでさえ芯をなくすと形状が崩れやすいが、細い導線を使えば、さらに安定しなくなる。そこで、特殊な接着剤を使ったり、独自の巻き方をする製造方法を編み出したりして、芯がなくても形状が安定する仕組みを整えた。
 こうして1996年にモトローラは世界最小の“振動携帯”を発表。振動機能が売り物になった。それを契機にシコー技研には国内外の携帯メーカーから振動モーターの注文が相次ぎ、今では月に2000万個を出荷している。
 
 外から見えないが、製品の心臓部を担い、最新機能を支える。 これがシコー技研のモーターの特徴だ。実は、携帯向け以外にも大手ハイテク企業に採用された商品がある。 インテルで、94年に当時世界最薄だったシコー技研のファンモーターが採用された。パソコンのCPU(中央演算処理装置)を冷ますためだ。
 また携帯のオートフォーカスカメラにも、同社の小型モーターが使われている。今では当たり前の“ケーターカメラ”機能だが、ヒットまでには多くの苦しみを味わった。
 そのモーターの開発は、2003年にある大手電機メーカーの依頼で始まった。厚さを保ったまま「縦14.5mm、横13.0mm」にまで小さくできたため、同社の白木社長は「さらに小型化を進め、このオートフォーカス用モーターで売り上げを伸ばす」と意気込んだ。1つの5000万円の金型をいくつも購入し、さらなる小型化に挑んだ。
 だがこのモーターは、白木社長が思ったほど、注文がなかった。そのため開発費がかさんだ影響で、営業利益が18億4400万円(2005年12月期)の赤字に転落、投資家からは「オートフォーカス事業の撤退」まで要求された。
 それでも白木社長はあきらめなかった。「自分が携帯のカメラ機能を不便に思っていた。ピントを合わせるオートフォーカスは需要があると思っていた。当時売れなかったのは、小型化が進む携帯端末に対して、オートフォーカス向けのモーターが大きく対応し切れなかっただけだ」と当時を振り返る。
 2006年秋、モーターの磁石の形状や配置を工夫し、課題であった縦と横の幅を「縦9.4mm、横9.4mm」にまで小型化した。すると、白木社長の予想が当たり、世界トップクラスの携帯端末メーカーから月に数百万台の注文が来た。今年はこのモーターの売上高が前年度比で2倍以上に増える見込み。 2006年12月期には売上高の70%を振動モーターが占めていたが、今では携帯向け振動モーターとオートフォーカス用モーターの売上高比率がそれぞれ40%程度。それほどオートフォーカス用モーターの伸びは大きい。
 こうしてシコー技研は、先端商品である携帯やパソコン市場で存在感を示す。だが白木社長は「我が社の製品のシェアは、いつも最初は100%でも、その後、必ず落ちていく」と気を緩めない。従業員が100人未満のベンチャー企業のため、危険意識は高い。中国や韓国勢が追従製品を出せば、価格競争で勝てないこともあるからだ。 だからこそ、白木社長は「ヒット商品は過去の栄光。常に新しい商品を作り続けていく」と社内で呼びかける。

 とはいえ、限られた資源の中でやみくもに開発商品を増やすわけにはいかない。そこで白木社長は「一般の人の視点に立った時に、その技術は需要があるのかどうか」という考えで、開発商品の取捨選択を行っている。 ベンチャー企業では、優れた技術を追求するあまり、「業界で最小」や「他社より優位」という考えにとらわれて、製品の機能や顧客の使いやすさが置き去りになることもある。需要がないのに開発を続ければ、資源の無駄遣いになる。
 白木社長も苦い経験をした。30年前のアナログレコーダープレーヤーに使う回転モーターの開発競争である。レコードの音をきれいに出すには、レコードの回転速度を一定に保たなければならない。そのため、モーター各社は、レコード盤を回すモーターの歪み(回転ムラ)を少なくすることに力を注いだ。シコー技研も多額の投資をし、数字競争に明け暮れた。
 人間の耳で識別できる回転速度の乱れは、回転ムラが0.15%より多い場合であると言われる。つまり、回転ムラが0.15%のモーターを開発したら、スペック競争は終わるはずだった。だが、「もっと回転ムラの少ないモーターが欲しい」というメーカーの声もあり、部品各社はそれに応えようとした。
 シコー技研も同じだった。同社は、自らが開発した最小の回転ムラである0.06%のモーターを、他社も作れるようになると、0.04%、0.03%とスペック競争に挑んでいった。だが、必ずしも技術向上に合わせて、売上高が伸びるわけでもなく、投資対効果の見方から開発をやめた。それからは顧客目線で「思考」する姿勢を貫く。
 今、白木社長が力を入れているのは、量産体制の強化にある。ファンモーターも、携帯の振動モーターも突然、何十万という単位に注文が増えて、量産が追いつかなかった経験を持つ。そのため生産の拡大計画を練っている。
 肝心の開発では、「携帯向けの新しいモーターを開発している」(白木社長)という。成功すれば、小さなモーターが、流行りの新機能をまた生み出すかもしれない。

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